夫と同程度の額を稼いでいるが…家事は全部やらなくてはいけないの?(写真はイメージ)

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投資収入」と「実家の会社の役員報酬」をあわせると、夫と同じくらいの年収を得ている「主婦」の投稿が炎上している。

投稿者の主張は「同程度の稼ぎがあっても、やはり家にいる妻が家事の大部分を負担すべきでしょうか」というものだ。

夫婦には2人の子どもがいるが、夫はまったく家事育児を手伝わない。女性がたまに家事代行を頼むと、イヤミを言われてしまい...。家事負担の「不公平」を訴えている。

投資や役員報酬があっても、家にいる主婦のあなたが家事をするべき」VS「共働きに近い状況だから、夫も平等に家事を担うべき」と賛否激論だ。専門家の裁定は?

プロの家事代行を頼むと、夫はチクリ

話題になっているのは女性向けサイト「発言小町」(2022年3月2日付)に載った「夫と同等に稼げる主婦の場合」というタイトルの投稿だ。

投稿者は「いちおう主婦」と名乗り、子どもが2人。夫は会社員で年収600万円。女性は「投資収入」と「実家の会社の役員報酬」とあわせて年500万円〜600万円の収入があるという。

ただし、実家の会社では投稿者だけが「ある資格」を持っており、その資格を生かして「顧問」の仕事をしている。相談案件があった場合は出社するが、基本的にはほとんど家にいる。そして、悩みをこう訴えるのだ。

「ずっと家におり、家事育児全般をやっています。しかしたまにプロのお掃除などを頼むと、夫から『主婦のくせに』とチクリと言われます。夫は子どものことを含め、家の仕事はほとんどやりません」

ほかにも、「夫のお酒を買い忘れたり、夫の部屋の掃除が行き届いていなかったりした時に『主婦なのにできていない』と言われます」。これに対して、投稿者が「それくらいやってくれても」と言っても、「できる時間あるよね?」と返される始末。

家事負担について不公平だと感じるようになりました。何度かもう少し負担してほしいと話しましたが、『ずっと家にいるよね?』と言われます。同程度の稼ぎがあっても、やはり家にいる妻が家事の大部分を負担すべきでしょうか」

と疑問を投げかけるのだった。

「主婦であるあなたがやるべき」派の意見は?

この投稿には「主婦であるあなたがやるべき」という意見が少なくなかった。目立ったのは「投資で得た収入や役員報酬は不労所得的なものだから、共働きの夫婦とは違う」という見方だ。

「主婦だから、家事が仕事なんじゃないかなと思いました。収入は不労所得で、仕事している共働きではないから、共働きで家事も分担というのとはちょっと違う」
家事の割り当ては実働時間に応じてが、良いのではないでしょうか。例えばですが、朝8時前に出勤して夜21時に帰ってくる人と、家にずっといる人で家事の割り当てが同等は物理的に無理でしょう? あなたは在宅中にその収入のために何かする作業などはあるのでしょうか。(中略)だったら家事をしてほしいと旦那さんが思うのも自然かなと」
「家にいる間、ずーっと株の動きとか見ているのですか? そうではないのでしたら、やはり家事はあなたでは? もし株の上下を常にチェックしなければならないのでしたら、家の中にオフィススペースを設け、仕事と家を分けましょう。そして堂々と家事委託すればいいのです」

夫の心境をこう推測する人もいた。

「夫は、おそらく、お金は労働によって得るもの、俺にはそれしか出来ない、と思っている。そういう考えの人が世の中の大半です。また、夫は、人は自分の収入の範囲で生活すべきだ、とも考えている。これも、世の中の大半の人が持っている堅実な考えです」「不労所得に対するひがみもあるかもしれません。でも、俺の労働で家族を養うんだ、という気概もあるんだと思いますよ」

家事育児は夫婦で分担すべき」派の意見は?

一方で、「夫には家事育児は夫婦で分担するということがわかっていない」と批判し、女性に共感を寄せる意見も多かった。

家事をプロに頼むこと(家事の外注)は大げさにとらえられがちですが、実は外食も家事の外注です。ご飯の準備・後片付けが要らなくなるのですからね。『ごめん、今日ちょっと疲れちゃったから、夕飯どこか外で済ませたいな』『おー、そうだな。そうしよう』という感覚を夫婦間で共有できませんか?」
「夫婦とは同等です。同等というのは誰がどれだけの収入があるかではなく、同等に助け合って生きていくという意味だと思います。私だったら収入はどっちがいくらではなく、1つのお財布として考えます。その上でできるほうが家事をやります」「収入の中で家事を時々外注する余裕があれば、それはいいと思います。主婦のくせに!という夫さんは間違い!」「プロに任せて細かい作業をしてもらうのに何が悪いの!と文句言いましょう」

女性と同じく、自宅で稼いでいる人からこんな共感の意見が。

「汗水垂らして稼げよ的な考え押し付けている人は苦手です。稼ぎは稼ぎです!」「私も家にいながら収入あって、出勤することはたまにしかなくて。私のほうが夫より稼いでいますが、毎日出勤している夫から文句なんて言われないし、家事についても、気づいたほうが・その時できる人間がやればいいって考えです」

投資などで稼ぐ女性は「主婦」といえるのか?

また、働き方が多様化している現在、投資などで稼ぐ投稿者が「主婦」を名乗ることへの疑問も見られた。するとこの夫婦の場合、共働きの状況に近い、というわけだ。

「あなたは投資と経営による収入がある。『主婦』は家庭内の実務を担う職業を指しますが、本当にそれが本業ですか? あなたが『主婦』を自称するなら夫のいうことはずれていないことになります」「『主婦だから』と言われて不満があるなら、まずあなた自身の認識を改めないと(夫との)話し合いにならない」
「あなたは主婦じゃない。働き方は昔と変わってきているので、必ずしも『汗水垂らして』が『働くこと』ではないのね。『主婦のくせに』と言うのは間違っていますね」「夫さんもたぶん、ココがわかっていないです」
「外働きしていなくても、株で利益を出したり、YouTubeで収入を得たりしているのと同様に、自宅にいるだけで養われているわけでもない」「私だったら(中略)主婦のくせになんて言われたら『家にいるけど専業主婦じゃないよ。あなたに養われているわけでもないんだから。家事折半とは言わないけど、あなたの部屋の掃除くらいは自分でやってよ』くらいは言いますね」

投稿者の悩みは「複数の悩みが絡み合っている」

J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の「投資や役員報酬で夫と同等に稼ぐ『主婦』が、夫に対して家事育児を要求するのはいけませんか」という内容に関する論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――今回の投書と回答者たちの意見を読んで、率直にどのように思いましたか。

川上敬太郎さん「投稿者さんの悩みは1つではなく、複数の悩みが絡み合っていると思いました。たとえば、『たまにプロのお掃除などを頼む』のを認めてもらえないことと、『主婦のくせに』と言われてしまうことには、共通する悩みもあるものの、別の悩みも含まれています。前者も後者も、投稿者さんが掃除を外部委託していることについて、夫から『手を抜いている』と決めつけられているように感じた点では共通の悩みだと思います。しかし前者には、プロに頼んでよりキレイにしてもらうことの必要性や発生する費用に対する意見の相違、掃除における技量不足をとがめられている気持ちなどの悩みも含まれているのではないでしょうか。一方、後者では、『主婦のくせに』と主婦業を軽く扱われているかのように感じることや、夫と同等の収入がある自分を認めてくれないこと、などへの悩みがあるように感じます。ほかにも、さまざまな異なる性質の悩みが重なっていると感じます。それらを一緒くたにしてしまうと、悩んでも、悩んでもスッキリせず、ずっとモヤモヤが残ってしまうのではないでしょうか」

このあとも、悩める投稿者に対する川上さんのアドバイスが白熱します――。<投資と実家の役員報酬得る「主婦」の悩み「稼ぎは夫と同程度...夫も家事負担してほしい」 投稿が炎上、専門家の裁定は(2)>に続きます。

(福田和郎)