食楽web

 函館市電・堀川町駅のほど近く、庶民の台所「中島廉売」があります。昭和9年に起きた函館大火後、被害の少なかったこの地区では露天出店が増え、昭和11年までにはおよそ100軒が連なり、五稜郭などの中心地から人々が買い物に訪れるようになりました。

 その頃より、一般住宅を商店に改装する店舗が現れ、現在もその面影が残る商店がたくさんあります。鮮魚はもちろん、精肉、青果、加工品などの専門店がひしめき、廉売という名の通り、価格は抑えめ、惣菜類もボリュームたっぷり。ちらっとのぞいてみると掘り出し物があるかもしれません。

 さて、買い物の合間にぜひ立ち寄ってもらいたいのが、生鮮品売り場から少し外れたところにある立ち食い寿司店『シゲちゃんすし』です。お茶や箸、食器の上げ下げがセルフスタイルではありますが、その分、通常の寿司店ではありえない安さを誇ります。

 もちろん、ただ安いというわけではありません。その道、30年以上の大将の目利きにかなった、その時々で最高のネタを仕入れています。

 地元の中でも知る人ぞ知る名店『シゲちゃんすし』。筆者の母は開店当時のことを覚えていたようで、「お店が出来たときはすごく評判だった。今も続いているってことは変わらず美味しいってことよ」とのこと。早速、その実態を探りに行ってきました。

昭和の風情残る店内で、圧倒的に安くて新鮮なランチ寿司がおすすめ!

 店内はカウンターと荷物置き場があり、大人4人が並べば満員という広さ。テイクアウトにも対応していますので、事前に予約しておくと間違いなさそうですね。

 ランチタイムは「寿司盛り」850円、「15貫爆裂盛り」1600円と圧倒的にお得に楽しめます。もちろん注文したのは「15貫爆裂盛り」。

 貫数が多いので、握っていただいた順に食べ進めていきます。まずはマグロ、イカ、サーモン、タイなど王道の寿司ネタが並びました。

イカはコリコリ感とねっとりした甘みのバランスが絶品!

 シャリの温度も握り方もさすがの一言。口の中でネタと一緒にホロっと崩れる絶妙さです。ネタの管理も申し分なく、軍艦一つでも抜かりなく、丁寧な仕事ぶりを感じられました。

 さて、残りの寿司もドーンとやってきました。タコの頭、ガゴメ昆布、ホッキガイなど函館らしいメニューも満載です。たらこ、とびっこなど、魚卵も旨みたっぷり!

あっとうに間に完食! ごちそうさまでした。[食楽web]

 カウンター越しの大将と距離が近く、最初は緊張するかもしれませんが、気さくで威勢のよい大将がリズミカルに握る様子もごちそうなのです。唯一残念だったのが、時節柄、あまり会話を楽しめないことでしょうか。はやく日常が戻ることを願って、函館観光に来た際はぜひ足を運んでみてください。

(撮影・文◎亀井亜衣子)

●SHOP INFO

店名:シゲちゃんすし

住:北海道函館市中島町14-10中島廉売内
TEL:0138-51-0339
営:11:15~20:00 ※ネタがなくなり次第閉店
休:月曜、祝日