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政治や経済、テクノロジー、文化、エンターテイメント。世の中のさまざまなニュースを環境アクティビストの視点から読む連載「ニュースから2分で読み解く、環境問題」がはじまります。

第1回目は、12月1日に発売されたマクドナルドの冬の風物詩・グラタンコロッケバーガーを入り口に、ファストフード店のメニューを環境負荷の視点から見ていきます。

■グラコロ、フィレオフィッシュ、エビフィレオの共通点は?

グラコロ、グラコロ〜♪ クリスマスの季節になると、グラコロのCMを思い出す人も少なくないかもしれない。いまや冬の風物詩と化したマクドナルド日本限定のスーパー売れっ子バーガーは、日本のファストフード店には珍しい「肉が入っていない」看板商品でもある。

マクドナルドで、肉が食べられない人でも楽しめるバーガーは、フィレオフィッシュかエビフィレオ。冬になるとここにグラコロが加わるわけだが、2021年10月、イギリスのマクドナルドでは新たな選択肢が生まれた。肉ゼロ、植物性食材100%のハンバーガー「マックプラント」の販売がスタートしたのだ。

この背景には、ヴィーガン人口の爆発的な増加がある。マックプラントが最も多くの店舗で導入されているイギリスでは、2016年から2019年の間にヴィーガン人口は4倍に。アメリカでは、2004年から2019年までの間になんと30倍以上に増えたとか。マックもこの勢いに乗ろうというわけだ。

ヴィーガンを選択する人にはそれぞれの理由があるが、主には、動物愛護や健康、そして「環境配慮」がある。

じつは、食肉の環境負荷はとても大きいのだ。なかでもすごいのは牛肉。国連の報告書によれば、例えばアマゾンの森林伐採の90%以上が、牛を育てたり、牛の餌をつくったりする土地を確保するためだと報告されている。

また、水も大量に消費する。ミシガン大学の研究によれば、牛肉100%のバーガーをひとつつくるためには、お風呂約10回分にあたる2,200リットル以上の水が必要という。それに対して、ヴィーガンバーガーの水の消費量はそのたった100分の1。少なくともビーフバーガーを食べるよりは、ケンタッキーフライドチキンに行くほうが環境負荷は少ないかもしれない。

おいしいと評判のマックプラントは、どんな味がするんだろう? 日本でもヴィーガンの人口は増えているため、そのうち食べられるようになるだろう。現にロッテリアやモスバーガー、バーガーキングといった大手チェーンでは、大豆が主原料のパティを挟んだバーガーをすでに販売している。

「いつか牛肉を一切含まないバーガーが看板商品になる!」とは、先進性で知られた創業者のマクドナルド兄弟ですら思わなかっただろう。今後、環境負荷の低い社会へと転換していくなかで、ファストフード店のメニューは一体どんな進化を遂げていくのだろうか?

(テキスト/清水イアン、編集・リードテキスト/原里実)