無料化ありがたい!の声 長野「新和田トンネル」 中京圏〜北関東“最短ルート”の実力
長野県の新和田トンネル有料道路が無料化されます。県内の諏訪地方と東信地方を短絡するだけでなく、首都圏を全く経由せずに名古屋方面と北関東を最短で結ぶことから、広域利用が多いというルート。どれくらい使えるでしょうか。
北関東〜名古屋「長野経由」はアリか?
長野県長和町と岡谷市を結ぶ「新和田トンネル有料道路」14.8kmが、2022年4月1日から無料化されます。前年に発表されたものの、回数券の払い戻しなども始まることから、2月24日(木)に長野県建設部が改めて無料化の旨を発表しました。
新和田トンネル有料道路(画像:長野県道路公社)。
国道142号、中山道の和田峠(標高1531m)をバイパスし、長野県の東信地方と諏訪地方を結ぶルートです。上信越道沿線の東信地方と中央道沿線の諏訪地方を高速道路だけで行き来すると、長野市へ迂回しなければなりませんが、この有料道路は3つのトンネルで両地域を短絡します。
通行料金は、普通車630円、軽自動車520円、大型車1050円と決して安くありません。SNS上では「あのトンネルがどれだけ有難いことか」「無料化はおめでたい」「東信から諏訪方面が行きやすくなる」といった喜びの声が見られます。
新和田トンネル有料道路は1978(昭和53)年に最初の区間が開通し、2004(平成16)年に延伸。無料化は2025年の予定でしたが、3年前倒しとなる形です。「県道路公社が管理する他の有料道路に比べても、大型車をはじめとして利用が多く、建設費と維持費の償還めどが立ちました」と長野県建設部は話します。
というのも、このルートは「北関東と中京方面を結ぶ広域の幹線道路」でもあるからです。両地域を最短で結ぶことから、高速道路料金を抑えつつ広域を走るトラックなどの利用が多く見られるといいます。
首都圏を全く経由しない点で、混雑を回避するメリットもありそうな新和田トンネルルート、どれほど「使える」のでしょうか。
ちょっと時間はかかるけど…
新和田トンネル有料道路は諏訪側で国道142号バイパスと一体化しており、長野道の岡谷ICに通じています。反対に東信側は、上信越道まで一般道を走る区間が長くなります。長野県道路公社によると、上信越道の東部湯の丸ICの利用が考えられるそうです。
岡谷ICの入口から新和田トンネル有料道路を経由し東部湯の丸ICまでは、Google mapで約52km、1時間11分と出ました。これを考慮し、名古屋ICから群馬の高崎ICまでを計算したところ、経路や料金は次のようになりました。
●首都圏通過ルート
・経路:名古屋IC〜東名/新東名〜圏央道〜関越道〜高崎IC
・距離:408.8km(4時間8分)
・料金:8460円(ETC普通車)
●新和田トンネル経由ルート(無料化後)
・経路:名古屋IC〜中央道〜岡谷IC〜新和田トンネルほか(国道142号、152号など)〜東部湯の丸IC〜上信越道〜関越道〜高崎IC
・距離:329.3km(4時間35分)
・料金:7460円(ETC普通車)
新和田トンネル経由は首都圏経由より所要時間は27分多くかかるものの、距離は80kmほど短く、料金は1000円安くなりました。
名古屋ICから栃木県の宇都宮IC(東北道)までの間も比較してみました。首都圏経由と比べると、所要時間は1時間以上多くかかるものの、距離はやはり約34km短く、料金は830円安いという結果でした。首都圏の渋滞が激しいときなどは、迂回ルートとして検討できるかもしれません。
無料化により「料金支払いへの抵抗がなくなるので、利用は増えるでしょう」と長野県建設部は話します。無料化の翌日、2022年4月2日からは、7年に一度開催される諏訪大社の「御柱祭」(2日から上社の「山出し」)も始まるため、このルートに注目が集まりそうです。