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 鍋が美味しい季節です。水炊き、寄せ鍋、ちゃんこ鍋、キムチ鍋、豆乳鍋など、日本人の冬の食卓には様々な鍋が並びますが、たまにはワンランク上をいくような贅沢な鍋もいただいてみたいものです。

 そこで筆者が注目したのがすっぽんです。高級食材であり、古くから「滋養強壮に良い」と言われる一方、入手するのが難しいのがすっぽんの特徴で、これまで筆者は一度も口にしたことがありませんでした。

 そんななか、大分県にある創業101年のすっぽん料理の名店『料亭やまさ』から「すっぽん鍋(すっぽんまるごと入門セット)」なる商品がリリースされました。これは気になる! ということでさっそく注文してみました!

「すっぽん鍋(すっぽんまるごと入門セット)」8000円(税込・送料無料)

 多くの文豪や芸能人たちも愛したという『料亭やまさ』の味を家庭で味わうことができ、さらにすっぽんそのものへの親しみも感じられるという、この画期的商品。さっそくいただいてみたいと思います!

すっぽんの甲羅酒とエンペラの湯引きで酒がグングン進む!

すっぽんの切り身、すっぽん鍋専用の出汁スープ、エンペラの湯引き、甲羅酒用の甲羅、料亭やまさ特製ぽん酢、自家製柚子胡椒、すっぽんスープがコンプリートされています

 鍋をいただく前に、『料亭やまさ』のコース同様、まずはすっぽんの甲羅酒とエンペラの湯引きからいただきます。すっぽんの甲羅は、あらかじめ香ばしく焼かれているもので、これに自前で用意した日本酒の熱燗を合わせていただくもの。甲羅の香ばしい風合いと、日本酒熱燗の甘さが見事に複合して、なんとも贅沢な気分に。そして、やはりどことなく体の芯が温まるような印象も受けました。

甲羅酒とエンペラの湯引き

 そして、エンペラの湯引きですが、エンペラとはすっぽんの硬い甲羅の周辺にあるエンガワ部分のことで、コラーゲン豊富で美肌効果があると言われるものだそうです。こちらは同梱されている『料亭やまさ』特製ぽん酢をつけていただきましたが、プルプルなのにコリコリしているという複雑な食感で、これまた酒にピッタリの一品。グングン酒が進んでしまいました。すっかりほろ酔いになった筆者ですが、ここからすっぽん鍋を試していきます!

透き通っている濃厚でコクのあるスープと、鶏肉の食感にも似た甘味あるすっぽんの身

これがすっぽんの身! まずは水で綺麗にすっぽんの身を洗います

 すっぽんの身は肉・魚とは明らかに違う風合いのものでした。このすっぽんの身を鍋に入れる前に、まず水で綺麗に洗います。鍋にお湯を張り、一度沸騰させてからすっぽん肉を入れアクを綺麗にすくった後、野菜類を投入し完成。すっぽん鍋で気をつける点はこの前段階のみで、あとはいたって普通の鍋のやり方で良いようです。

強火で一気に炊き上げ、アク取りをしっかりした方が美味しく仕上がります。そして完成したすっぽん鍋

 こんなに簡単なすっぽん鍋ですが、すでに鍋のスープは、すっぽん特有のどことなく青々しいコク深い風合いと野菜の出汁によって、いかにもうまそうなそして上品な香りを発しています。さっそくいただきましたが、これがもう……美味! 透き通った薄黄色のスープなのにコクが濃厚で、体がジワッと温かくなるような印象を受けました。

『料亭やまさ』特製ぽん酢でいただいたすっぽんの身

 そして、肝心のすっぽんの身。見慣れていない分、そのルックスはやや凶暴のようにも映りますが、鶏肉のような食感でありながら独特の甘みを感じる味。また、『料亭やまさ』によれば、このすっぽんの身はぽん酢か柚子胡椒でいただくと良いとのこと。

自家製柚子胡椒でいただいたすっぽんの身

 その推奨通りにいただきましたが、これがまた美味。ぽん酢のほうは、すっぽんの身のどことなく甘い風合いを酸味で押し上げるかのような上品な味になりました。そして、柚子胡椒のほうは、すっぽんの身を柚子胡椒の酸味とパンチでスキッとさせてくれるような風合いとなり、これもまた癖になる味。さらに酒が進んだことは言うまでもありません。

まさに「キング・オブ・鍋」と呼ぶにふさわしいすっぽん鍋

残った鍋のスープで、シメの雑炊を! クー、うまい!

 味は旨いし、体はポカポカするし、酒は進むし……で、想像以上にすっぽんの魔力に引き込まれた筆者でしたが、鍋の最後はやっぱり雑炊。コクがありながら上品なスープとお米との相性は抜群に良く、これまでに食べた「鍋のシメ雑炊」の中でも筆頭の旨い雑炊になりました。もちろん、米でなく、三つ葉などを乗せてうどんなども良いでしょうし、さらには意外とラーメンなんかも良いかもしれません。

 というわけで「すっぽん鍋(すっぽんまるごと入門セット)」を完食したわけですが、まさに「キング・オブ・鍋」と呼ぶにふさわしいのがすっぽん鍋であり、この『料亭やまさ』のセットは実に有意義かつ美味しくいただける商品だと思いました。大分県のお店に行かなくとも、日本全国各地でこの贅沢で珍しい味をいただけるのは本当にありがたいものです。

「すっぽんは、食通が最後に辿り着く食」だった!

101年前の『料亭やまさ』創業時の写真

 最後に「すっぽん鍋(すっぽんまるごと入門セット)」の販売元・『料亭やまさ』の担当者の方にも聞いてみました。


「当店は大分県の安心院(あじむ)に店を構える、創業101年目のすっぽん専門料亭です。今では、すっぽん料理は安心院の名物料理となりましたが、安心院におけるすっぽんの歴史は、まさに当店の誕生とともに始まったのです。

 当店のすっぽんの質には特にこだわりがあり、当店は九州産の極上すっぽんのみ使用しています。大分の清流を引いた当店専用の養殖池で餌にこだわり、約2年ほどの歳月をかけ、たっぷりと栄養を蓄えた極上すっぽんのみ使用。さらに、さばく約1ヶ月前から敷地内のいけすにて『すっぽんの餌絶ち』をします。これによって、クセと臭みがほとんどないすっぽん肉を提供することができます。

 すっぽんは古来から、滋養強壮、美容食として愛されてきた食材です。古くは、中国で楊貴妃が美容と健康のためにすっぽんを好んで食べていたという文献や、日本でも飛鳥時代にすっぽんが『天皇陛下に献上された』という文献も残されています。すっぽんの味は、鶏肉に近いあっさりとした肉と上質な魚にある上品な味わいです。牛や豚では一般的に脂身が黄色いものは質が低いと言われますが、すっぽんは異なります。ゆっくり時間をかけ冬眠をくり返すことで質の良い脂を蓄え、その証として脂身は黄色くなります。すっぽんは『食通が最後に辿り着く食』とも言われるほど、他にはない滋味深い味わいの食材です。

 当店では生姜や醤油、薬膳などで味をごまかすことなく、すっぽん本来の味を楽しんでいただけるよう、あえて『水炊き』にこだわっています。これを九州特有の甘みのある自家製のポン酢につけて食べるのが当店流です。お野菜に染み込んだすっぽんのお出汁、さらに、〆の雑炊のコクと旨みは、体の芯に沁みる唯一無二の滋味深い味わい。この『すっぽん鍋(すっぽんまるごと入門セット)』でも是非味わってください」(料亭やまさ・担当者)

 ある意味で、プチフルコース的な商品と捉えることもできる「すっぽん鍋(すっぽんまるごと入門セット)」。すっぽんの身はうまいし、体は温まるし、酒は進むしで感動の鍋に出会えるはずですよ!

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

『料亭やまさ』の「すっぽん鍋(すっぽんまるごと入門セット)」

https://yamasa-suppon.com/products/nyumon/