お正月はやっぱりカレー! スパイスのプロが監修した「極上レトルトカレー」6選
食楽web
子どもの頃、CMで「おせちもいいけどカレーもね」というキャッチコピーを聞いて以来、もはや「正月といえばカレー」と思っている筆者ですが、皆さんの中にもおせちの後に、無性に美味しいカレーが食べたくなるという人もいるかと思います。そんなときのために常備しておきたいのがレトルトカレー。
今、売られているレトルトカレーは、欧風カレーはもとより、インド、スリランカ、はたまたタイ、ネパール、インドネシアなど選り取りみどり。そして筆者は日本のレトルトカレーは世界一美味しいんじゃないかとすら思っています。
そう考えるようになったのは、成城石井で売っていたマレーシア料理の名店『馬来風光美食(まらいふうこうびしょく)』(東京・荻窪)が監修したレトルトカレー「ルンダン」を食べてから。これが、目が丸くなるほどの衝撃的な美味しさだったので、続けて同じシリーズのやはり名店監修のカレーを次々購入していくと、どれもこれもちょっとヤバいくらい美味しい!
東京・荻窪のマレーシア料理の名店『馬来風光美食』が監修した「ルンダン」600円
そして、それらのレトルトカレーのすべてを「36チャンバーズ・オブ・スパイス」という会社が作っていたのです。正直言って、日本のこれまでのレトルトカレーのレベルを飛躍的にアップさせた企業の一つとしてリスペクトすらしています。
そこで今回は、その「36チャンバーズ・オブ・スパイス」で代表を務める田中淑鏡知さんに、同シリーズの中でもとくに人気の商品をセレクトしてもらい、その魅力を教えてもらったのでご紹介しましょう。
個性的で美味しすぎる本格カレーに感服
今回、「36チャンバーズ・オブ・スパイス」の田中さんが挙げてくれたレトルトカレーは、以下の7つ。成城石井などでは650円程度で売っています。
◎ユザーン&石濱監修「ベンガリーマトンカレー」
◎渡辺玲監修「ビーフ・ナハリ」
◎渡辺玲監修「ラール・マース」
◎『馬来風光美食』監修「ビーフルンダン」
◎『味楽来』監修「カンボジアチキンカリー」
◎『ピワン』監修「チキンカレー」
ベンガル、パキスタン、北インド、マレーシア、カンボジア、さらに吉祥寺のスパイスカレーの人気店などがずらり! というわけで、いったいどんなカレーなのか一挙にご紹介したいと思います。
ユザーン&石濱監修「ベンガリーマトンカレー」
ユザーン&石濱監修「ベンガリーマトンカレー」
インド・西ベンガル州からバングラデシュにかけて広がるベンガル地方。この地域の料理研究家であるシタール奏者・石濱匡雄氏とタブラ奏者のユザーン氏が監修したのが、この「ベンガリーマトンカレー」です。
具材には大きな羊肉、そしてジャガイモもゴロゴロ。スパイスはカイエンペッパーやクミン、ターメリック、コリアンダー、ガラムマサラ、カルダモン、シナモン、クローブ、ブラックペッパー、ローレルなどの11種類を使用しています。
口に含むと、薬膳的な深い香りが鼻孔をくすぐり、羊肉から染み出た独特の旨みが舌に広がります。
レトルト感はゼロ。圧倒的に本格的な味わい
スパイシーさを強調するタイプのカレーではなく、野菜、羊肉、香辛料といった食材の自然の香りと旨みを丁寧に引き出しているカレーで、香りもじつに穏やかな香りがして、まるで厨房からそのまま出てきたような手作り感も感じます。とくに羊肉好きな人は、ハマる味だと思います。
渡辺玲監修「ビーフ・ナハリ」&「ラール・マース」
インド&スパイス料理家・渡辺玲氏が監修した「ビーフ・ナハリ」と「ラール・マース」
次にご紹介するのは、東京のクッキングスタジオ「サザンスパイス」を主宰するインド&スパイス料理家・渡辺玲(あきら)氏が監修した「ビーフ・ナハリ」と「ラール・マース」の2つのレトルトカレーです。この2つ、まったくタイプの異なる味わいなのですが、甲乙つけがたいほど美味しいので2個買いがおすすめ。
まずは「ビーフ・ナハリ」。
「ビーフ・ナハリ」
レトルトパウチの封を開けると、いきなり大きな牛肉どかんとこぼれ落ち、シャバシャバしたスープ状のカレーで皿が満たされました。またたく間にクミンやコリアンダーの香りが立ち込めます。スープをひと口飲んでみると、長時間煮込んだ肉の旨みがしっかり溶け込んでいて、そこにエキゾチックなスパイスの風味、そしてショウガやにんにくなどの香味食材の粒感のある味が追いかけてきます。
そしてこのカレーの醍醐味はやっぱり大きな牛肉。しかもポイントは筋の部分なんです。
トロットロの牛肉の筋がウマすぎる
この筋がトロットロ。本来かたい筋部分ですが、ゼラチン状になるまでじっくり煮込んである証拠ですね。欧風のビーフカレーとは違い、さらりとしたスープで後味が軽いのに、しっかりとした食べごたえもある。そう、ステーキを1枚食べたくらいの満足感。ちなみに、特製ガラムマサラが別添えになっていて、これを食べる直前にかけると、けっこう辛くなります。
続いて、これも渡辺玲氏の監修の「ラール・マース」です。
「ラール・マース」
ラールは赤、マースは羊肉という意味で、真っ赤なソースに羊肉がゴロゴロ入ったカレーです。こちらは先程の「ビーフ・ナハリ」とは違って、濃厚でとろりとしたタイプ。
羊肉もゴロゴロ入っています
そしてこのカレーの特徴は、この鮮やかな赤色にあります。北インドのラージャスターン州の赤唐辛子が、赤くなるほどたっぷり使ってあるんです。ひと口目からかなり辛く、後口もピリピリ。でも辛いだけでなく、香味野菜やヨーグルトの甘みや酸味、そしてマトンの肉の旨みもしっかり感じられます。
ちなみに、もっと辛いのが好みという人に向けて、先程同様、別添えの特製ガラムマサラがついています。食べていると、どんどんこの辛さがやみつきになっていくから不思議。辛党にはぜひオススメしたいカレーです。
カレーの名店が監修するカレーも超本格的で旨し!
『馬来風光美食』監修の「ビーフルンダン」
続いて、冒頭でも紹介した荻窪のマレーシア料理の名店『馬来風光美食』監修のカレーは骨付きチキンのルンダンでしたが、今回ご紹介するのは「ビーフルンダン」。ちなみにルンダンとは、香辛料、ハーブ、野菜、ココナッツミルクで煮込むマレーシアの家庭料理のこと。
マレーシアならではの味わいでご飯とも相性抜群
ビーフルンダンは野菜類や肉が煮込まれたどろりとした濃厚スープで、食べてみると香辛料の辛さを感じるとともに、ココナッツミルクのまろやかさ、タマリンドの酸味などが加わってきて、レモングラス、スターアニス(八角)、シナモン、ショウガなどの風味が後味にしっかりと残るのが特徴です。
具材の牛肉はしっかりと歯ごたえがありますが、やわらかくて、噛むごとに浸透しているスープの旨味も感じます。やっぱり「ルンダン」はチキンもビーフも最高なんです。
池袋『味楽来』監修「カンボジアチキンカリー」
池袋の人気中国料理店『味楽来』監修「カンボジアチキンカリー」
続いては、池袋の人気中華料理店『味楽来(ミラクル)』の「カンボジアチキンカリー」です。同店の店主はカンボジア出身で、彼の作る「エスニックカレー」が昼夜問わず大人気。そのレシピを再現したのがこの商品です。
パッケージに「カライノダイジョウブ?」なんて書いてあるので、心して食べました。真っ赤な色にちょっと身構えますが、ひと口食べると「ん、甘い?」。ナンプラーの香りがしたり、ココナッツミルクの甘みもあったり。加えて、具材として入っているさつまいもがとても甘い。と思って調子に乗って2口、3口といくと、いきなり口の中がカーッと炎上してきました。ヒリヒリ、ヒリヒリ。こうなるとスープだけでなく、チキンも辛いし、さっきのさつまいもも辛い。
甘さのあとにやってくる刺激的な辛さがまた楽しい
辛いけど、なんだか止まらない。そう、クセになるんです。その理由は正直言って表現するのが難しいのですが、魚醤や豆板醤のせいなのか、辛さの奥の旨みに魅力があるんです。辛さがかなり持続するので、おせち料理の甘さを一変させるのにぴったりのカレーだと思います。
吉祥寺『ピワン』監修「チキンカレー」
『ピワン』監修「チキンカレー」
最後に紹介するのは、吉祥寺のスパイスカレーの名店『ピワン』。お店では、日替わりカレーと定番「チキンカレー」の2種盛りが名物です。とくにライスを中心に、左右に盛られるカレーの美しいビジュアルは有名ですね。そして、2つのカレーの合掛けハーモニーに感激します。
その定番のチキンカレーをレトルトで再現したのがこちら。
サラサラなのに滋味深い味わいにどハマリ必至
サラサラのスープにチキン。見た目はシンプルなのですが、スパイスはざっと数えるだけで30種類以上。魚醤や味噌、しょうゆ、ねりごまや陳皮、オイスターソースなどまで入っていて、なぜこんなにサラサラであっさりしているのだろうか? と不思議になるくらい。でもそうした食材から出る旨味が溶けこんでいるんですよね。滋味深く、スーッと体にしみわたるよう。このチキンカレーは、もはや常時ストックしておきたいほど美味しいです。
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というわけで、「36チャンバーズ・オブ・スパイス」の名店監修カレーシリーズは、とにかくどれもこれもハズレなし! 成城石井や大手スーパー、デパートなどでも売っているし、お取り寄せもできます。ぜひ1年の初めに、極上カレーを楽しんでみてください。
(撮影・文◎土原亜子)