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 昨年の暮れ、話題の映画『浅草キッド』を観て、久しぶりに浅草の風情が残る街並みを見たくなり、初詣前に浅草寺周辺を散策してきました。コロナ前に比べると、はっきりと外国人観光客が少なく、かなりのんびりしたムードでしたが、さりとてさすが1400年の歴史を誇るお寺の街だけあって、全国各地からやってきた観光客で賑わっていました。

浅草寺に向かう仲見世はコロナ後でも賑わっています

 修学旅行生らしき学生や着物姿の若者も多く、ベンチに座っておしゃべりをしたり、何かを頬張っている様子をよく見かけました。これは気になります。人ではなく、彼らが手にしている食べ物が。そう、仲見世周辺にはあちらこちらに行列のできるお店があるのです。

 というわけで今回は、浅草の浅草寺詣でのついでに買って食べたい行列店の絶品グルメをご紹介していきたいと思います。

幻の豚を使用した奥深い甘さの『浅草メンチ』

伝法院通りにある『浅草メンチ』の前には絶え間なく人の列が増えていきます

 最初に並んだのが、伝法院通りにある『浅草メンチ』というお店。とても小さな厨房でお店の人がメンチカツを揚げていて、次々に来訪するお客さんの接客もこなしています。

 筆者が受け取ったメンチカツも揚げたてのアッツアツ。お肉のジューシーな香りが鼻孔をくすぐり、これは間違いなくウマい! と食べる前から確信してしまうほど。

「浅草メンチ」1個300円

 パカッと割ってガブっと噛んでみると、ザクザク&サクサクとした食感に続き、豚肉とタマネギのとろ~りとした甘みと旨みが大洪水となって口内に充満します。しっかりと味つけされているうえ、肉自体の旨みが強いので、ソースなどは不要。そのままで十分美味しいです。

 衣は生パン粉を使用しており、中に使っているお肉は神奈川県の名産100選に選定されている幻の豚「高座豚」と牛肉をブレンドして使ってるんですって。あっという間にペロリと食べ終わっても、脂のくどさはゼロ。もっと食べたい! という気持ちになります。

 ちなみに「冷凍メンチ」(6個1800円、12個3600円)も販売しているので、その場で食べられなくてもお土産にできます。

8時間じっくり煮込んだルーで作る『豊福』の「黒毛和牛カレーパン」も美味!

『豊福』さんも伝法院通りにあります

 続いてご紹介する行列店は、『浅草メンチ』の並びにある『豊福』というお店です。こちらは「黒毛和牛カレーパン」が名物。メンチを食べたばかりですが、揚げ物として全然重くなかったので、続けてここにも並んでみました。

「黒毛和牛のカレーパン」1個350円

 カレーパンのフィリングのカレーは、国産黒毛和牛を使用し、オリジナルスパイスでなんと8時間以上煮込んだ逸品。ちょうど筆者の前の人で品切れになったので、7分ほど待ちになってしまいました。が、揚げたてを1番にもらうことができました。これはラッキー!

 そのアツアツを2つに割ってみると、湯気とともに8時間煮込んだとろとろのカレーがお目見え。見るからに濃厚で、スパイシーな香りがぐんぐん立ち上ってきます。これも間違いないはず!

揚げたてのカレーパンはコク深くて最高にウマい!

 かじってみると、パンの外側はカリッカリで、中はふわっとした生地。カレーは、肉や野菜などの旨みがぎゅっと濃縮されています。カラッとキレのよい油と柔らかなパンとカレー、その三位一体で旨みが増幅。うーん、たまりません。

 ちなみに店先の看板によれば、『豊福』さんのカレーは東京・西麻布の伝説のバーのオーナーの味なんだそう。バーでカレーを出していたのでしょうかね。確かにお酒にも合いそうな大人な感じが漂う極上のカレーパンでした。

焼き芋専門店のパリパリおさつチップスは食べ歩きに最適

『焼き芋専門店 芋やす』は2005年創業

 次に見つけた行列店は、浅草花屋敷のそばにある『焼き芋専門店 芋やす』です。国産の旬のさつまいもを使い、遠赤外線で焼き芋にして販売しているお店です。この日は茨城県産の最高級ブランド「紅天使」と、千葉県産のプレミアムな「紅はるか」の2種類。見ているだけでも、ねっとりホクホクの甘さが伝わってきます。

旬の品種のさつまいもを遠赤外線でじっくり加熱しています

『芋やす』では、焼き芋以外に、「干し芋シェイク」や「焼き芋サンド」(さつまいもを裏ごししたペーストをパンで挟んでサンドイッチにしたもの)など面白い商品がたくさんありました。

さつまいもを使ったさまざまなスイーツがあります

 中でも筆者が惹かれたのが、学生たちがベンチに座ってパリパリ食べていた「おさつチップス」(330円)です。

 おさつチップスというと、小さなスナック菓子のイメージが強いですが、ここのは生のさつまいもを縦に薄切りにして1枚1枚揚げているので、かなりビッグサイズ。

1枚がこんなに大きいおさつチップス。パリッパリで本当に美味しいです

 揚げたままのプレーンは330円で、プラス60円で「塩バター」、「チョコソース」、「キャラメルソース」などのトッピングを選ぶこともできます。今回はそのままの味を食べたかったので、プレーンを買ってみました。

「おさつチップス」(プレーン)330円

 食べてみると、カリッカリ&パリッパリで、噛めば噛むほどさつまいもの甘みがじわりと口に広がります。揚げてあるのに、こちらも油っぽさを感じさせません。正直言って、こんなに美味しいおさつチップスを初めて食べました。ちなみに、少し残して持ち帰り、数時間後に家で塩を振って食べたのですが、パリパリ感が持続していて、甘じょっぱさが酒のおつまみにピッタリでした。

1日3000個売れる『花月堂』の「ジャンボめろんぱん」

創業して77年目を迎える『花月堂』

 最後に立ち寄ったのは、西参道入り口にある『花月堂本店』。店の前で、若い女子たちが頬張っていたのが「ジャンボめろんぱん」(220円)。1日3000個売れると有名な浅草名物なのです。これもしっかりゲット。

 メロンパンといえば、表面の生地がボロボロと崩れるクッキー生地タイプや、逆にしっとりしたタイプとかなど、いろんなスタイルがありますが、こちらのは、こんがり焼き色がついた生地に、少しザラメがかかったオーソドックスなタイプ。

『花月堂』の「ジャンボめろんぱん」1個220円

 食べてみると外側はサクサクしていて、なんと言いますか、かまどの香りを感じる素朴な味わい。

 しかし、このメロンパンの真価は、この先にあります。袋に「やわから注意!」と書いてあるように、中が尋常ではなく超ふわふわなんです。噛むたびにサクフワ、サクフワ。エアリーな感じがとにかくスゴい! 口の中で、パンがふんわり消えていきます。筆者がこれまでに知っているメロンパンにはない食感です。

ちょっと尋常ではないふわふわ感

『花月堂』の公式ページによれば、この食感を出すため、「発酵」に通常の3倍も時間をかけているんだとか。一般的にはタブーに近い発酵時間らしいのですが、発酵学を学んだ店主による独自の技術を生かした製法なのだそうです。

 実際、その食感はかなり衝撃的で、お土産用(5個1000円)として追加購入したものをトースターで2分ほど加熱して食べても、店先で食べたサクフワ食感がそのまんま蘇り、店先とまったく同じ味が楽しめました。

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 今回ご紹介したお店以外にも、浅草・浅草寺周辺には行列ができるテイクアウト店がまだまだたくさんあります。初詣や旅行で訪れたら、ぜひ買ってみてください。

(撮影・文◎土原亜子)