2021年5月に中国が暗号資産の規制を強化したことで、ビットコインの採掘速度(ハッシュレート)はそれまでの半分にまで低下していましたが、新たな調査からハッシュレートが中国の規制前と同レベルにまで回復していることが判明しました。中国に拠点を置いていたマイニング業者は、その拠点を北米など中国以外へ移したとみられています。

Bitcoin hashrate recovers from China’s May crackdown | Bankless Times

https://www.banklesstimes.com/2021/12/09/bitcoin-hashrate-recovers-from-chinas-may-crackdown/

Bitcoin Hashrate Approaches Full Recovery From China Crackdown

https://www.coindesk.com/tech/2021/12/09/bitcoin-hashrate-approaches-full-recovery-from-china-crackdown/

ビットコインは2020年に価格が急上昇し、2021年4月には史上最高値を6万3000ドル(約690万円)で更新したと報じられましたが、2021年5月にマイニングの拠点だった中国でビットコイン規制が発表されたことを受けて価格は約523万円にまで下落しました。

ビットコインの価格がさらに下落、中国の取り締まり強化が原因か - GIGAZINE



中国が暗号資産を規制した理由は、大量の電力を消費するマイニングが政府の掲げる「カーボンニュートラル」の方針と対立するものであったことにあります。暗号資産規制は5月以降も強化され続けており、11月には「暗号資産のマイニングに関わる国営企業の電力価格を上げる」と発表しています。

中国が「暗号資産のマイニングに関わる国営企業の電力価格を上げる」と発表 - GIGAZINE



しかし、ケンブリッジ大学のオルタナティブファイナンスセンターによる調査から、中国当局の規制強化により約50%低下していたビットコインのハッシュレートが、規制前と同レベルにまで回復したことを伝えています。ハッシュレートはネットワーク上のコンピューティング能力の尺度であり、もともと、世界のハッシュレートの71%を中国が占めていたとのこと。ハッシュレートの回復は、「中国以外の場所でマイニング事業が展開されだしている」ことを意味します。

調査によると、マイニング業者は主に北米に拠点を移しており、BTC.comのデータから、ハッシュレートは過去3日間で平均182.83EH/sであることが示されています。これは中国が規制を発する前の5月時点のハッシュレートである190.55EH/sとほぼ同等の数値です。

ハッシュレートは採掘難易度に正比例するため、記事作成時点で採掘難易度は高まる傾向にあります。暗号資産の市場レポートを提供するArcane ResearchのJaran Mellerud氏は、12月9日(木)から週末にかけて採掘難易度が7%上がると予測しました。Mellerud氏は、「調整が行われた後も、利益の大きさから誰もができるだけ早くマイニングをやりたがるでしょう。次の採掘難易度調整の直後に新たなビットコインの急落がない限り、年が明ける前にハッシュレートが史上最高に達することは間違いありません」と述べています。

なお、中国による規制後はカザフスタンが「次の採掘地」として浮上し、政府も歓迎していたのですが、電力不足により事業が継続できなくなり、最終的にはマイニングへの電力供給を制限するようになりました。