この記事をまとめると

◼︎海外では日本で不人気なクルマが人気車というケースがある

◼︎日本市場と比較するとその数なんと10倍以上という車種も

◼︎日本では販売を終えている車種も海外ではまだ人気車種として扱われている

日本ではイマイチでも海外では大人気なので結果オーライ

 日本の街中では、当たり前のように見かけるクルマが、海外では売られていないことがある。一方で、日本ではあまり多く売れていないのに、海外ではかなり売れている。そんなクルマもいろいろある。

 代表的な事例は、北米市場でのトヨタ「カローラ」と「カムリ」。また、ホンダ「シビック」と「アコード」である。

 この分野を、C/Dセグメントと呼ぶ。グローバルでは、クルマのボディサイズや車格で、小さい方からA、B、C、Dと分類されていて、自動車メーカーも新車を企画・開発する際にそうした表現を使う。

 その中で、CとDについてはC/Dセグメントと呼ばれることが多い。なぜならば、北米市場でのセダンで、基本構造を同じにしたCとDそれぞれのセグメントが、長年に渡り北米市場でのマス(市場でもっともパイが多い領域)だったからだ。

 その数は、「カローラ」「カムリ」「シビック」「アコード」それぞれが、年間で20万台後半から40万台近く売れる。日本市場と比べると、数十倍という巨大市場なのだ。

日本で消えたクルマも海外では主力車種として健在

 こうした流れが2010年代以降には、北米でいうコンパクトSUV市場にも該当するようになってきた。C/Dセグメントからの事実上は派生車というイメージだ。それが、「RAV4」と「CR-V」である。

 この流れに、日産は「ローグ(日本でのエクストレイル)」、またマツダは「CX-5」と「CX-30」で対抗している状況だ。またスバルでは、2000年代後半から北米市場シフトを一気に進めたことで、「フォレスター」「アウトバック」の販売台数が、日本市場と比べると圧倒的な急成長を見せている。

 中国市場でも、日本とは違ったクルマが数多く売れてきた。

 たとえば、日産の小型セダン「シルフィ」。日産は中国市場への本格参入時期が他の日系メーカーより早く、地場メーカーとも東風汽車のみと合弁事業を展開しており、中国市場の声をしっかり把握した上で、ベストセラーを生み出した来た。その象徴が「シルフィ」だ。主力車種ということもあり、「シルフィEV」も出た。

 同じく中国では、マツダ「アテンザ」が、なんと3世代に渡って新車を同時販売していた時期がある。欧州では、スズキ「SX-4」はハンガリーのマジャールスズキで製造が始まり、欧州で根強い人気を博した。日本では5ドアとセダンが販売されたが、市場のニーズをマッチすることが難しく、販売台数が伸びなかった。

 そのほかにも、市場の大きな北米を念頭に置いたり、また2000年代後半からの新興国における自動車市場拡大を考慮した、日本より海外市場を優先モデルはさまざま存在する。