天ぷらをサクサクに!失敗しない衣作りと揚げ方、役立つ裏技も

天ぷらの衣がサクサクにならない理由

おうちで天ぷらを揚げるときに、いつも衣がべちゃっとしてサクサクにならない。こんな悩みを持っている人が、意外と多いのではないでしょうか。衣の作り方や油の温度、時間など、サクサクに揚がらない理由はさまざま。この記事では、おいしい天ぷらを作るコツや裏技などを紹介します。

サクサクしたおいしい天ぷらを作るコツ

小麦粉にでん粉などを配合して揚げやすくした、「てんぷら粉」が市販されています。この記事では家庭で常備している、普通の小麦粉で作る天ぷらについて解説。普段の天ぷら作りの参考にしてください。

もう失敗しない!天ぷら衣の作り方

小麦粉には薄力粉と中力粉、強力粉の3種類がありますが、天ぷらには一番グルテンの少ない、薄力粉を使用してください。グルテンは粘りのもとで、できるだけ粘らないような衣にするのが、サクサク天ぷらのコツ。小麦粉は網目のこし器でふるうことで、空気を含み軽く仕上がります。

生卵と水で卵液を作りますが、必ず冷水を使用。卵液の温度が高いと、グルテンが発生しやすいからです。卵液を小麦粉に加えたら、菜箸で縦と横に十字を切るように、ダマが残るくらいさっくりと混ぜます。混ぜすぎだけでなく、時間経過でも粘りが出るため、揚げる直前に作るのがポイントです。

油だけでなく食材と衣の温度にも注意

天ぷらはたっぷりの油の中で、泳がすように揚げることでさっくりと仕上がります。そのため、底の深い天ぷら専用鍋がおすすめです。食材によって揚げる温度が異なりますが、一度にたくさんの材料を入れるのはNG!油の温度が下がるのを防ぐためにも、鍋の表面積の半分くらいにとどめましょう。

特に魚介類は水気をきれいに拭き取って、揚げる直前まで冷蔵庫で冷やしておくこと。衣が入っている器も、氷入りのボウルの上にのせて、冷やしながら使用してください。材料と衣が冷たくて、熱い油との温度差があればあるほど水蒸気が逃げやすくなり、カラッとした仕上がりになります。

衣にひと手間!サクサク天ぷらを作る裏技

小麦粉で作る衣にひと手間加えるだけで、よりサクサクした衣の天ぷらが揚がる裏技を紹介します。これらのほとんどが、プロもおすすめするお役立ちの方法ばかりですよ。

卵の代わりにマヨネーズを使う

マヨネーズの製造メーカーがおすすめする方法で、意外と実践している人が多いようです。卵1個に対して、大さじ1杯のマヨネーズを加えるだけで、サクサクした天ぷらができると評判。

卵と植物油で作られるマヨネーズは、卵に近い風味があるのが特徴です。それでいて卵よりも水分が少なく、含んでいる油分が高温になって、衣の水分を蒸発しやすくしてくれます。

卵の代わりにマヨネーズ+焼酎

卵の代わりにマヨネーズを使うだけでなく、そこへ焼酎を少しプラスする方法。アルコールを多く含む焼酎は、水より沸点が低く気化しやすいので、さらに衣の水分の蒸発を促進してくれます。ただし焼酎の風味が残ることがあるため、お酒に敏感な人は注意。これも試してみたくなる裏技ですね。

衣に加える水の代わりに炭酸水

衣に加える水の代わりに、炭酸水を使用する方法です。炭酸水に含まれる気泡(炭酸)が油の熱によって衣から抜けるときに、水蒸気も一緒に逃がす効果が。

ただし炭酸が強すぎるものは、油に入れたときに、はねることがあるので気をつけてください。ビールでも同じ効果が期待できますが、ホップ独特の風味が残ることがあります。

衣にベーキングパウダーを混ぜる

衣に使用する薄力粉に、ベーキングパウダーを混ぜる方法があります。ベーキングパウダーは「ふくらし粉」と呼ばれる、パンやお菓子作りに利用される膨張剤のこと。水に反応して気泡(炭酸)が発生するので、炭酸水と同じ効果が生まれます。パウダーの原料であり、気泡を発生させる重曹でもいいですよ。

冷めてもサクサクを保つなら片栗粉

小麦粉を使用しないで、片栗粉だけを衣にする天ぷらもあります。片栗粉は小麦粉と比べて油を吸いにくいため、仕上がりはカリっとした軽い竜田揚げのような食感に。冷めてもカリッとしていて、お弁当のおかずに最適です。

やはりいつものサクサク天ぷらが好みという人には、小麦粉に片栗粉を混ぜた衣がおすすめ。サクサクした食感ながら、冷めてもべちゃッとしにくくなります。

天ぷらを揚げる油の温度と時間も重要

天ぷらを揚げるときは衣だけでなく、油の温度管理も大事なポイント。また揚げ上がりの見極めも大切な要素ですね。油に入れるとジャーっと音が大きく、泡が勢いよく大量に出ます。音が徐々に小さくなり、泡が小さく量が少なくなったら完成と、慣れれば音と見た目で把握することも可能です。

揚げる油の温度は180℃が基本で、そこまで上がったら弱火にして温度を保ちます。180℃は魚介や肉類を揚げるのに適した高温で、実際には材料によって、温度や揚げる時間に違いがあるのは当然のこと。大きさや厚さによっても異なりますが、材料ごとの適温と揚げ時間を簡単に紹介します。

野菜やきのこ、根菜類は低温(150~160℃)

いろんな種類の天ぷらを揚げる場合は、アクの少ないものから低温で揚げ、最後に魚介や肉類を高温で揚げます。すぐに火が通る野菜を色よく揚げるときや、火が通りにくい根菜類をじっくり揚げる場合は、低温での調理がおすすめです。

大葉、ししとうなど……30~50秒
かぼちゃ、さつまいもなど……2~3分
しいたけ、しめじなど……1分ほど

※菜箸で油に衣を2~3滴落とし、底に沈んでからゆっくり上がってきたら低温。

なすや玉ねぎ、かき揚げは中温(160~170℃)

野菜のなかでもなすや玉ねぎは、低温で揚げると油を吸って味が落ちるため、やや高めの中温で揚げるほうがおいしいです。小えびや貝柱、野菜が入ったかき揚げは厚みがあるので、外側が焦げない程度の中温で揚げましょう。

なす(切り目を入れた1本)……1分~1分30秒
玉ねぎ輪切り(つまようじで刺したもの)……2分ほど
かき揚げ……1分30秒~2分

※油に衣を2~3滴落とし、少し沈んでから上がってきたら中温。

魚介や肉類を揚げるときは高温(170~180℃)

えびや魚などの魚介類、肉などを天ぷらにする場合は、高い温度で短時間に揚げるのがポイント。油の温度が低いと中まで火が通りにくく、素材独特のクセやくさみを感じるので、高温で揚げるのが基本です。

肉(牛、豚、鶏肉)……2~3分
えび(1本)……2~3分
きすなどの開いた魚……1分ほど

※油に衣を2~3滴落とし、沈まずに表面で散らばったら高温。

天ぷらを揚げるときの油はねを抑える方法

天ぷらを揚げているとき、材料を油に入れたとたんにパチパチとはねて、手や腕をやけどしたという人もいるのでは。主婦にとってやっかいな油はねの理由は、食材についた水分なんです。

肉や魚介、野菜の区別なく、素材に水分が残っていると油がはねるので、必ずよく拭き取ってください。さらに衣をつけるまえに、素材に小麦粉を振っておくのもよい予防法になります。

特にえびの下ごしらえは念入りに

油はねは、天ぷらで一番人気があるえびを揚げるときによく起こります。その原因はえびの尻尾に溜まった水分です。特に冷凍えびの尻尾には必ず水分があるので、下処理は念入りに。

尾の先とその真ん中にある尖った剣を切り落とし、軽くしごいて水分を取り除いておきます。それだけでかなりの確率で、油はねを防ぐことができるはずです。

冷めた天ぷらをサクサクに復活させるには

冷めた天ぷらは衣がべちゃっとして、決しておいしいとは言えませんね。そんな天ぷらを温めて、衣のサクサク感を復活させるいくつかの方法を紹介。自分にとって使いやすいと思うものを選んでください。

フライパンで温め直す

樹脂加工のフライパンを使用して油を引かず、弱火で焼く方法です。焦げつきに注意しながら、両面をしっかり焼けばサクサク感が戻ります。

魚焼きグリルで温め直す

コンロについている魚焼きグリルも、天ぷらの温め直しにぴったり。直火なので焦げやすいのを注意すれば、あとは魚を焼くのと同じ要領です。

トースターで温め直す

取り扱いが簡単で後片付けの必要がないので、温め直しにたいへん便利です。こちらも直火のヒーターで焦げやすいものの、使いやすさでは一番優れています。

レンジとトースターを併用

かき揚げなどの厚みのあるものは、トースターで温め直しても、中は冷たいままということがよくあります。そんな場合に中をレンジで温めてから、トースターで衣をカリッとさせる方法。両機器をバランスよく使用するのが、少しむずかしいかもしれません。

ある程度の経験とコツでサクサク天ぷら

天ぷらは、プロでも技術の習得に何年もかかるという、たいへん奥の深い料理です。経験と勘頼りの部分が多いため、家庭の主婦が同じように揚げるというのは、なかなかむずかしいもの。

しかしながらこの記事で紹介したなかに、天ぷらをサクサクに揚げるヒントがあったのではないでしょうか。それらを参考にして、おうちでぜひおいしい天ぷらを作ってみてくださいね。