さいとう・たかを先生 ご冥福をお祈りいたします(2017年撮影)

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 孤高のスナイパーを描いた「ゴルゴ13」などで知られる劇画家のさいとう・たかをさんが、9月24日午前10時42分、膵臓がんのため亡くなったことを、さいとう・プロダクション並びにビッグコミック編集部が公式サイト等を通じて発表した。84歳だった。

 ビッグコミック編集部では「本誌にて『ゴルゴ13』を連載いただいております劇画家のさいとう・たかを氏が、2021年9月24日膵臓がんのため逝去されました」と発表。「氏には創刊の年から53年続く看板連載作品『ゴルゴ13』のご執筆ほか言葉に尽くせぬお力添えを賜りました。生前のご功績に心から賛嘆と感謝を申し上げ、謹んで氏のご冥福をお祈りいたします」としている。

 さいとう・プロダクションの発表によると、葬儀は新型コロナウイルス感染症の状況を考慮して親族のみで執り行われた。お別れの会について、ビッグコミック編集部は「今後の状況等を慎重に見極めつつ検討して参ります」と発表。「ゴルゴ13」の連載は「さいとう先生のご意志のもと、スタッフと編集部協力のうえ、今後も継続する予定です」としている。

 「ゴルゴ13」は、国籍・年齢・本名すべてが不明の一流スナイパー・ゴルゴ13の仕事を通して、各時代の世界情勢を反映したスリリングな物語が展開する劇画作品。1973年には、高倉健さん主演で実写映画化された。

 さいとうさんは1936年、和歌山県生まれ。大阪で育ち、1955年に「空気男爵」でデビュー。上京後、作品制作過程における分業化をはかった「さいとう・プロダクション」を設立した。1968年に「ゴルゴ13」の連載をスタート。同作は「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録にも認定された。同作以外にも「鬼平犯科帳」「仕掛人藤枝梅安」「無用ノ介」「雲盗り暫平」「サバイバル」「影狩り」ほか多数の代表作でファンに愛され、劇画の第一人者として業界を牽引し続けた。

 2017年に行われた、連載50周年の記念イベントに出席した際、さいとうさんは「この仕事をするようになったとき、どれだけやれるんだろうと不安だったのですが、1つの作品で50年間も描かせていただけるなんて夢にも思っていませんでした」「僕の中では、50年間もよく描いたなと思っていたのですが、担当編集者が『50年はまだ折り返しですよ』と言っていたので、もう少し描かせていただければと思っております」と語っていた。(編集部・入倉功一)