今しか味わえない!固めで甘い “9月の桃” を使う簡単レシピ4選

晩生種の桃は扱いやすく料理におすすめ♪

おおよそ5月から10月頃まで堪能できる桃。9月の秋口から見られる晩生種の桃は、夏に旬を迎える桃に比べて実が固く、甘みが強めです。

8月頃まで出回る早生種の熟したジューシーな桃と違い、固めで甘い晩生種の桃は料理にぴったり。そこで本記事では、この時期の桃を存分に楽しめるレシピを、フルーツの扱いに長けているお菓子研究家の飯田順子さんにお聞きしました!

「フルーツの中でも特に桃が大好き」と話す飯田さん。普段からデザートやサラダなど、さまざまなレシピで桃を楽しんでいるそうです。桃レシピを多数お持ちの飯田さんに、まずは晩生種の桃についてお聞きしました。

「香りと甘みがやさしい桃は、いろいろな食材と合わせやすいフルーツなので、夏の桃はデザート用、秋の桃は料理用として使い分けています。夏時期の桃はやわらかく繊細ですが、秋に出回る晩生種は固めで扱いやすく、カットしても形が崩れにくいので調理しやすいんです。固めの食感がアクセントになり、甘い野菜のような感覚で使えます。

イタリアでも料理に使われていて、特にトマトやバジル、乳製品と相性が良いですね。ぜひ旬の桃を思う存分楽しんでください」

今回ご紹介するレシピは3つ+番外編。どれも工程自体は簡単ですが、桃を使うことで見た目も華やかに。さっそく教えていただきましょう。

1. 作り置きに最適!プチトマトと桃のハニーピクルス

調理時間:約15分(お湯を沸かす時間は含みません)
保存時間:冷蔵で約5日

「固めの桃は、食感が大事なピクルスにぴったり。やさしい甘さがあるので、ほのかな甘みを持つトマトとマッチしやすいんです。

レモンや白ワインビネガーの酸味を加えるのもポイント。しつこいベタっとした甘みではなく、爽やかな味わいに変化します。調味液に漬けておけば、日が経つごとに味が染み込んでいくので作り置きにもぴったりなレシピです。見た目が華やかなので、瓶に詰めてプレゼントしても喜ばれますよ」

材料

・桃……1/2個
・プチトマト……10個
a. はちみつ……大さじ3杯
a. レモン汁……小さじ2杯
a. 白ワインビネガー……小さじ1杯

作り方

1. 湯むきする

鍋にお湯を沸かしたら、プチトマトと桃を入れます。30秒ほど経ったら、氷水に入れて湯むきします。

「桃はお湯に全部浸からなくても大丈夫です。おたまで転がしながら熱すれば、まんべんなくお湯があたって湯むきしやすくなります。ミニトマトも皮をとると格段に口当たりがよくなるので、同時に湯むきしちゃいましょう」

2. 桃をカットする

桃を食べやすい大きさに切ります。

「桃はトマトと同じ大きさになるようカットしましょう。味の入り方が均一になるので、ムラなく仕上がります」

3. 調味液に漬ける

ボウルに(a)を入れて混ぜ合わせます。湯むきしたミニトマトとカットした桃を加えたら、冷蔵庫で1時間以上冷やします。

「白ワインビネガーがない場合は、リンゴ酢で代用するのがおすすめ。桃が淡白でやさしい味わいなので、酸味がまろやかな酢のほうが合いますよ」

2. 香り豊か!桃のアールグレイマリネ

調理時間:約15分(お湯を沸かす時間は含みません)
保存時間:冷蔵で約半日

「桃とアールグレイは香りの相性が抜群です。もともとはタルトにのせてお菓子にしていましたが、固めの桃を使うとまた違った味わいに。シャキシャキとした食感で、より前菜向きのひと皿になりました。もちろん冷たくしてデザートとして楽しんでもいいですよ。

桃は切り口の色が変わりやすいですが、茶葉のおかげで変色も気になりません。パパッと作れるので、おもてなしにもぴったりです」

材料

・桃……1個
a. アールグレイの茶葉……1g(ティーバックの約半分)
a. レモン汁……小さじ1杯
a. 砂糖……小さじ1杯
a. 白ワイン……お好みで小さじ1杯
・モッツァレラチーズ……1/2(なくても可)

作り方

1. 桃を湯むきする

鍋にお湯を沸かし、桃を30秒ほど湯通しします。冷水にとったら、湯むきします。

2. 桃を切る

桃をくし切りにカットします。

3. 材料を混ぜ合わせる

ボウルに2と(a)を入れ、やさしく混ぜ合わせます。冷蔵庫で30分以上冷やして完成です。

「モッツァレラチーズはお好みで仕上げにのせてくださいね。ティーバッグの茶葉は細かく刻まれているので、リーフより使いやすいですよ。時間が経つと桃から水分が出て自然と茶葉が開き、アールグレイの華やかな香りが広がります」

3. 上品で爽やか。桃の冷製パスタ

調理時間:約30分(お湯を沸かす時間は含みません)

「桃の冷製パスタは、私が桃の料理を作るようになったきっかけ。あるお店の桃のパスタに感動して、シェフに作り方を教わったんです。今回は自宅でも簡単に作れるようシンプルにアレンジしました。ミキサーで混ぜた桃のソースとパスタを混ぜ合わせるだけなので手軽ですよ。

固めの桃は食感がよく、やわらかい桃よりパスタに合います。さっぱりした桃の甘さに、生ハムの塩味とミントの爽やかさがよくマッチして、パクパク食べられるひと皿に」

材料(2人分)

・細いパスタ(カッペリーニ)……160g
・桃……1個
・生ハム……4~6枚
a. 白ワイン……小さじ1杯
a. オリーブオイル……大さじ1杯
a. ガーリックパウダー……少々
a. 塩……小さじ1/2杯
a. レモン汁……1/2個分(大さじ2)
・こしょう(ホワイトペッパー)……適量
・ミント(ざく切り)……適量

作り方

1. 湯むきした桃をカットする

鍋にお湯を沸かし、桃をさっとゆでて湯むきします。半分は飾り用に薄切りにし、もう半分の桃はソース用にざく切りにします。

2. 桃のパスタソースを作る

1と、(a)をフードプロセッサーでピューレにし、冷蔵庫で冷やしておきます。

「生のにんにくだと風味が強すぎて、桃の淡い味わいが損なわれてしまうので、ガーリックパウダーをチョイスして。白ワインがご自宅にない場合は、入れなくても大丈夫です」

3. パスタをゆでる

お湯2Lに対し大さじ2杯の塩を入れ、パスタをゆでます。冷製パスタなので、表示時間より1分多くゆでるのがポイント。ゆであがったら冷水にとりよく洗って、氷水で冷やします。

「通常の太さのパスタでも大丈夫ですが、今回は細めのカッペリーニを使います。細いパスタのほうが桃のソースがよく絡むので、よりおいしく仕上がりますよ」

4. 水分をよく拭き取る

キッチンペーパーで3の水気をしっかり切ります。

「ここがこのレシピの一番のポイントです。水っぽいと味がぼやけてしまうので、しっかり水気を拭き取ります。サラダピルスナーがあると、しっかり水気が切れるのでおすすめ」

5. パスタソースと和える

2のソースと絡め、刻んだミントを半分加えます。味を見て足りなければ塩こしょうを加えて、味を調えます。お皿に盛り付けて薄切りの桃を散らしたら、生ハムと残りのミントの葉をのせて完成。

「ブラックペッパーだと刺激が強すぎて桃の味が負けてしまうため、やさしい辛味のホワイトペッパーのほうが合います」

番外編!桃のロースト アイスクリーム添え

調理時間:約30分

「固い桃は料理に合うとご紹介しましたが、食感を楽しむデザートにしても良いです。このレシピは、まさに焼きりんごの桃バージョン。やわらかい桃だともっとジュワッとしたとろけるようなおいしさになりますが、固い桃だと食感が残るのが魅力。焼きリンゴに近い食感が楽しめます」

材料

・桃……1個
・グラニュー糖……大さじ1杯
・レモン汁……小さじ1杯
・バター……適量
・バニラアイス……適量

コツ・ポイント

「作り方は皮をむかずに桃を半分に切ったら、種をとったくぼみに調味料を入れて焼くだけ。お好みでバターものせると、風味がさらによくなります。オーブンなら200℃で20分、オーブントースターなら強めの温度で焼き色がつくまで焼いてくださいね」

夏の桃と一味違う晩生種。魅力を存分に堪能して

「しっかりとした食感に、やさしい甘さが広がる晩生種の桃。とても使い勝手が良いのでぜひいろいろ試してみてください」と飯田さん。桃を使った料理は見た目もかわいらしく、ひと皿加えるだけでも食卓を華やかにしてくれます。

桃の旬もあとわずかですが、アレンジレシピで晩生種特有の味わいを楽しんでみてくださいね。

取材・文/大瀧亜友美
撮影/實重かおり(macaroni 編集部)