カリっと、とろり。すだち香るいちじくのフリット【中川たまさんの果物大百科! vol.1】
旬の香りと味わい。秋いちじくを皮ごと楽しむフリット
上品な甘さと爽やかな香りがクセになる旬の果物、いちじく。秋のいちじくはとろっとした濃厚な甘さが特徴で、ほかの食材と合わせてひと手間加えれば、特別な日やおもてなしにもぴったりのメニューに!
この連載では、旬の食材をシンプルに味わう料理が人気の中川たまさんに、いちじくを使ったおすすめレシピを4回に渡って教わります。
「いちじくは、ほど良い甘味、酸味、香りがとても上品なフルーツ。味わうほどに奥深く、絶妙なバランスでありながら主張が強すぎないので、いろいろな食材に馴染みます。
今回は、秋いちじく特有のとろみや甘味が生きるフリットをご紹介します。皮ごと揚げることで、香りと味わいをそのまま閉じ込めました。外側のカリッ、内側のとろっとした食感をお楽しみください」
カリッ、とろっと食感が楽しい!すだち香るいちじくのフリット
調理時間:10分
「いちじくを皮ごと切って、衣をつけて揚げるシンプルなフリット。皮の香りや濃い甘味を生かせますし、揚げると皮の繊維も気になりません。
揚げ焼き風に、少量の油でできることも嬉しいポイント。表面がカリッとなったらひっくり返して反対側の面を揚げればOKです。
火を通すことで、生で食べる以上に秋いちじくのやわらかな果肉感が強まります。最後に今が旬のすだちの皮をすりおろして爽やかな香りをプラス。カリッ、とろっとした食感の秋いちじくを存分に楽しんでください」
材料(2~3人分)
・いちじく……2個
・薄力粉……1/2カップ(約55g)
・炭酸水……100cc
・揚げ油……適量
・すだちの皮(すりおろし)……適量
・塩……少々
作り方
1. いちじくを洗って水気を拭き取り、皮付きのまま4等分に切る
2. ボウルに薄力粉と炭酸水を入れ、ムラがなくなるまで混ぜ合わせる
3. いちじくに衣をつけて、170℃程度の中温に熱した油でカリッと揚げる
4. いちじくを器に盛り付け、お好みですりおろしたすだちの皮と塩を散らす
コツ・ポイント
1. 衣は均一になるまでしっかり混ぜる
「天ぷらと違って、フリットは具材にまんべんなく衣をつける料理です。薄力粉と炭酸水は均一になるまでしっかりと混ぜてください。
と言っても、時間が経つと炭酸が抜けて粘り(グルテン)が出てしまいます。かき混ぜたあとは素早く調理をし、炭酸効果を生かしてさっくり仕上げましょう」
2. サクッとなったら揚げ終わりのサイン
「果物は、お肉やお魚と違って火をしっかり通す必要はありません。むしろ、いちじくの良さを引き出すには火を入れすぎず、中がとろっとした状態でとどめるのがベスト。外側の衣がサクッとなったら、速やかに油から引き上げましょう」
豊かな風味と上品な甘さは、フリットならでは
教えていただいたコツをおさえれば、失敗が少なくできるいちじくのフリット。少量の油でささっとできるので、手軽に家庭で作れることが、とても嬉しいですね。
とろっとした食感や上品な甘さ、美しい色合い……。秋いちじくの魅力を余すことなく引き出したひと皿です。皮ごと揚げることで果肉だけでは知り得なかった豊かな風味や、口から抜ける爽やかな香りに出会えるはず。最後に散らすすだちでさらに風味がアップします。ぜひ多くの方に試していただきたいです。
「いちじくは油との相性もとても良いので、ご紹介したフリットをアレンジしてもおいしいですよ。生ハムを巻いてからフリットにする、大葉と一緒に春巻きにするなど『揚げる』ことで楽しんでみてください」
中川さんが冒頭でもおっしゃる通り、いろいろな食材に馴染むいちじくの楽しみ方はまだまだ広がります。来週はいちじくと生ハムとナッツの洋風白あえをご紹介しますよ。お楽しみに!
取材・文/丸山夏名美
撮影/實重かおり(macaroni 編集部)