松重豊

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 冴えない中年男が、行く先々のお店でたったひとり“ひたすら食べまくる”という異色のドラマ『孤独のグルメ』。'12年の放送開始以来、大好評で、今年も第9弾シリーズが放送中だ。その大人気シリーズで、主人公に扮しているのが俳優・松重豊。

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「舞台となる飲食店が“どこも美味しそう!”というのもこのドラマの魅力ですが、人気を得ている理由は何といっても、見ているこちらが心配になるほどの松重さんの食べっぷり。いちばんの見どころです(笑)」(テレビ誌ライター)

 コロナ禍、しかも飲食を伴う撮影とあって、局内からは慎重な意見もあった。

「松重さん自ら“今だからこそやりましょう。大変な困難と戦う飲食店の助けに少しでもなりたい”とおっしゃって制作が決定したそうです」(同・テレビ誌ライター)

 それだけ松重にとって大切な作品なのだ。

「48歳にしてつかんだ初主演作であり、出世作だからです。松重さんは役者として芽が出るのが遅かった。20代後半には“食っていけない”と役者を辞めて建設会社の正社員として働いていた、という苦労人で。『孤独のグルメ』が大当たりして、ドラマや映画だけでなく、CMにも引っ張りダコに。人気俳優の仲間入りを果たしたわけですから」(同・テレビ誌ライター)

だんだんと車のグレードも上がって……

 そんな松重が、都内の閑静な住宅街の一角にある60坪超の土地にひっそり一軒家を建てて引っ越してきたのは3年ほど前。近所の住民が言う。

「毎朝、ワンちゃんを連れてお散歩されていますよ。いつも笑顔で挨拶してくださってね。この間は、駅前の喫茶店で、ご夫婦でお茶しているところをお見かけしましたよ」

 引っ越してくる以前は、神奈川県内でマンション住まいをしていた松重。20年ほど前に新築で購入して以来、お気に入りの住まいだったそう。

「奥さんと息子さん、娘さんと4人で住んでいましたよ。マンションの駐車場に松重さんの車も止まっていましたけど、40代、50代とだんだんといい車に乗るようになって、それがいつの間にか2台持ちになってね(笑)。それで今度は一軒家建てて。いや、たいしたもんですよ」(同じマンションに住んでいた住人)

 その一軒家、実は高齢の母のことを考えて建てたのだという。松重の知人が言う。

「数年前、松重さんのお父さんが亡くなられたときに、ひとりぼっちになってしまったお母さんを心配して、地元の福岡から呼び寄せたんです。“ひとりが気楽”というお母さんを説得して、すぐ近くに部屋を借りて住まわせていたんです。

 ゆくゆくは同じマンション内にもうひとつ部屋を買って、お母さんと“マンション内同居”を考えていたそうなんですが、売りに出る部屋がなくて。それで同じ沿線の別の場所に土地を買って二世帯住宅を建てたんです。“おふくろをひとりにしてはおけないから”ってね」

 8月下旬のある日、“孤独のグルメ御殿”……もとい“親孝行御殿”から車で出てきた松重に声をかけた。

「自分の判断では答えられないなぁ(苦笑)。事務所に問い合わせてください」

 改めて事務所に尋ねると、

「本人は“役者は私生活を見せてはいけない”という考えでして。お答えできません」

 もう、そんなに照れなくてもいいじゃない。