華やかな香りがフワッ!鎧塚俊彦シェフの「ブルーベリーババロア」【ときめき!くだものレシピ #1】

華やかな見た目と香りのブルーベリーババロア

自宅にいる時間が長くなっている昨今、そっと心を癒してくれるようなスイーツが急に食べたくなることってありませんか?

「匠のおうちレシピ」では、9月の特集テーマ「まるごと くだもの!」に合わせて、日本を代表するパティシエの鎧塚俊彦シェフに、自宅で作れる“高見えスイーツ”を教わります。

芸術的なデザートで常に私たちを魅了してくれるスイーツの巨匠は、どんなレシピを伝授してくれるのでしょうか。

鎧塚シェフが手にしたのは、青紫につやめく、瑞々しいブルーベリー。

「ブルーベリーは6月から9月ごろに旬を迎える、甘酸のバランスがいいフルーツです。神奈川県小田原市にある『一夜城 Yoroizuka Farm(ヨロイヅカファーム)』でも、毎年たくさん栽培し、収穫しています。

9月といってもまだまだ暑いので、旬のブルーベリーを使って、涼しげなババロアを作ってみましょう」と鎧塚シェフ。

ババロアは、ゼラチンを溶かした液を2時間くらい冷蔵庫で冷やし固めて作ります。焼き菓子に比べると工程が少なく、スイーツのなかでもわりと手間がかからないほうなので、お菓子作りに慣れていない人でも挑戦しやすそうですね。

調理時間:2時間30分(凝固時間を含む)

「このレシピでは、クリーミーなババロアとさっぱりとした味わいのゼリーを作って2層にします。ほんのりとワインの香りが漂うゼリーと、フレッシュなブルーベリーの甘酸っぱさがよく合って、とても大人っぽい味に仕上がります。

小さなお子様がいるご家庭では、ワインを沸騰させて、しっかりアルコールを飛ばすと食べやすくなると思います」

材料(シャンパングラス2個分)

・ブルーベリー……7~8個
〈ゼリー〉
・水……80cc
・白ワイン……50cc
・グラニュー糖……20g
・板ゼラチン……2.5g

〈ババロア〉
・卵黄……1個
・グラニュー糖……20g
・牛乳……90cc
・生クリーム……90cc
・板ゼラチン……2g
・バニラビーンズ……1/4本

下準備

・板ゼラチン2.5g(ゼリー)と2g(ババロア)をそれぞれ氷水につけ、戻す

「板ゼラチンは冬ならそのまま真水で戻しても大丈夫ですが、夏場は氷水を使ってしっかりと戻してください。温水やなまぬるい水で戻すと、ゼラチンそのものの成分が溶けて分量が変わってしまい、凝固しなくなります」

作り方

1. 水にグラニュー糖を溶かす

まずは、ゼリーを作ります。鍋に水とグラニュー糖を入れて、中火に2分ほどかけます。グラニュー糖がしっかりと溶けて水が沸騰したら、すぐに火から下ろします。

2. ゼラチンと白ワインを加えて、冷やし固める

鍋を火から下ろしたら、事前に水で戻しておいた板ゼラチン2.5g(ゼリー)のみを手で水をしっかり絞ってから加え、余熱で溶かします(ババロアの板ゼラチンはそのまま氷水につけておく)。ゼラチンが溶けたら、氷をあてて冷やします。

ゼリー液が十分に冷えたら、白ワインを加えて混ぜ、冷蔵庫で約2時間冷やし固めます。

「ゼリー液の温度によってワインの香りと味が変化するので、ワインの香りを十分に楽しみたい方は、しっかりと冷やしてからワインを加えてください。

お酒が苦手な方やお子様と一緒に食べる場合は、水にグラニュー糖を溶かす工程でワインを加えて、一緒に沸騰させてアルコールを飛ばすとよいですよ」

3. 卵黄とグラニュー糖を白っぽくなるまで混ぜ合わせる

次に、ババロアを作ります。ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ、よく混ぜ合わせます。とろみが出て、卵黄が白っぽくなるまでしっかりと混ぜます。

「空気を含ませながらグラニュー糖をしっかりと溶かすことで、このあとに加える牛乳や生クリームなどの材料がなじみやすなります」

4. 牛乳にバニラビーンズを加えて、温める

バニラビーンズは片手で軽く押さえながら、横からスライドさせるように包丁を入れて半分にします。包丁でていねいにバニラビーンズの種を取り、さやと種に分けます。

「さやも捨てないでくださいね。このあとさやと種の両方を使います」

牛乳にバニラビーンズのさやと種を加えて中火で2分ほど温めます。沸騰直前まで煮たら、火から下ろします。

「バニラビーンズはさやも香りが強いんです。さやと種を一緒に加えて、バニラの甘い香りを牛乳にしっかり移します」

5. 3に4を加え、ゼラチンを溶かす

沸騰直前まで煮た3に4を加え、混ぜ合わせます。再び鍋に移し、もったりと濃度がつくまで中火で1、2分ほど煮ます。

「とろみがつくまでゆっくりと混ぜながら温めてください。沸騰させると固まってしまうので、絶対に沸騰させないようにここは慎重に!温度計を持っている方は、82度くらいを目安するとよいでしょう」

沸騰直前に火から下ろし、水で戻したゼラチン2gを手でしっかりと水気を絞ってから加え、溶かします。ゼラチンが完全に溶けたら、ボウルに移して氷をあて、20度くらいの温度になるまで冷やしておきます。

「ちなみに、ゼラチンを溶かしたあとに漉し器やザルを使って液を漉すと、よりなめらかな舌触りになりますよ」

6. 生クリームを立てる

ボウルに生クリームを入れ、氷をあてながら7分立てにします。7分立てとは、全体にとろみがつき、泡立て器で持ち上げるととろりと落ちるくらいの状態です。

7. 生クリームに5を混ぜ合わせ、冷やし固める

6に5を加えてよく混ぜます。なめらかなとろみが出たら、ババロアの完成です。

「卵液は、温度を20度くらいまでちゃんと下げてから生クリームに加えてください。20度とは、手で触ったときに夏場なら“冷たいな”と感じるくらいの温度です。卵液が温かいと分離してしまうので、温度管理には十分気をつけて」

とろみのついたババロア液を絞り袋に入れて、ていねいにシャンパングラスに流し込み、冷蔵庫で約2時間冷やして固めます。

「絞り袋を使えば、ババロアをグラスの端につけることなく、きれいに流し込むことができますよ。もちろん、スプーンや小さなお玉などで注いでもよいです」

8. ゼリーとブルーベリーを交互に飾る

冷蔵庫からゼリーを取り出し、ボウルを回しながらフォークで崩し、クラッシュゼリーを作ります。フォークを使うことで、お店のショーケースに並んでいるようなきらきらとしたゼリーができあがります。

ババロアを流し込んだグラスを冷蔵庫から取り出し、ババロアの上にゼリーとブルーベリーを交互に盛りつけます。

「ブルーベリーとゼリーの比率は、お好みで大丈夫です。ブルーベリーを半分に切って、断面が見えるように盛り付けるのもおすすめ。いつものブルーベリーとは、また違った表情を見せてくれますよ」

ババロアの濃厚さとゼリーの瑞々しさが見事にマッチ

見ているだけでも涼やかな気分になれる、美しいババロアが完成しました。9月といってもまだまだ暑い日が続きそうなので、今の季節にぴったりですね!

きらきらと輝くゼリーは、ほんのりと白ワインの香りが漂い、ブルーベリーの甘酸っぱさと見事にマッチ。さらに食べ進めると、ババロアとワインゼリー、ブルーベリーの3つの味のバランスが完璧で、計算し尽くされたものだということがよくわかります。ババロアとワインゼリーをあえて甘さ控えめにしているので、ブルーベリーのフレッシュさが際立つんです。

「今回はブルーベリーを使いましたが、ほかのものでもアレンジできるので、季節ごとの果物を使って楽しんでみてください。僕自身はメロンを使うことが多いです。メロンもとてもおいしいですよ」と鎧塚シェフ。

背の高いグラスに盛り付けることで華やかな見た目になりましたが、フルーツを変えて作っても、記念日のスイーツやおもてなしの席でさらに喜ばれそうですね。

次回は、「カスタードプリン 季節のフルーツ添え」をご紹介します。どうぞお楽しみに。

取材協力

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取材・文/千島絵里香
撮影/宮本信義