いい人すぎるガイ - 映画『フリー・ガイ』より
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 映画『フリー・ガイ』のショーン・レヴィ監督がインタビューに応じ、ライアン・レイノルズが演じた“いい人すぎる主人公”ガイは「カナダ人としてのライアンそのもの」だと明かした。

 自分がオンラインアクションゲーム「フリー・シティ」のモブキャラだと知ってしまった銀行の窓口係ガイが、プログラムを無視していい人すぎるヒーローとして立ち上がるさまを描いた本作。ライアンの当たり役となった過激で下品なマーベルヒーロー・デッドプールとガイの対比については、レヴィ監督も初期段階から強く意識していたのだという。

 「ライアンとの最初のミーティングでは、本作が純真さのメタファーになっていること、どうすればシニカルな世界で楽観主義と礼儀正しさが生き残れるのだろうか、という話をしたんだ。僕はライアンにこう言った。『デッドプールは人生の痛みによるシニカルな打ち身のようなもの。だけどガイは、カナダ人としての君そのものなんだ。本作では、これまでで最もカナダ人らしい君でいてほしい』とね。それが、僕が監督として彼に出した最初の指示だった。このキャラクターは間違いなく、ライアンの最も優しくて、理想主義的で、カナダ人らしいキャラクターになるよう意図されていたといえるよ」

 本作は、強盗、乱闘、何でもありの過激なゲームの世界で、背景として生きるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)たちに意識があったとしたら、彼らの人生はどんなものなのだろう? というアイデアから生まれた。レヴィ監督はこれまでも『リアル・スティール』や『ナイト ミュージアム』シリーズで俳優たちを実際には存在しないものと共演させてきたが、本作の場合はその設定上、この作業が非常に簡単だったのだという。

 「『リアル・スティール』や『ナイト ミュージアム』のような映画で僕の仕事になるのが、俳優たちに彼らが“一体何に反応しなくてはいけないのか”をとても明確に描写することだった。その点『フリー・ガイ』では、NPCたちは無秩序の暴力的な世界に慣れ過ぎているため、それに反応すらしない。目の前にミサイルが落ちても、カージャックされても反応しないんだ。だから今回、俳優たちには『君たちの隣や後ろでは超クレイジーなことが起きているけど、何が起きているかは言わないよ。なぜなら君のキャラクターはそうしたことが起きても瞬きすらしないから』と伝えた。無表情・無反応というのが、本作のユーモアのスタイルだからね」と解説していた。(編集部・市川遥)

映画『フリー・ガイ』は公開中