ホイップクリームと生クリームの違いは?調理師が徹底比較!

ホイップクリームと生クリームの主な違い

ホイップクリームと生クリームの大きな違いは、原材料です。ホイップクリームの原材料は、「植物性油脂のみ」または「植物性油脂と動物性油脂の両方」のどちらか。一方、生クリームは原材料が動物性油脂のみで、添加物なども一切入っていません。

生クリームと呼べるのは、動物性油脂のみが原材料かつ乳脂肪分が18.0%以上の「種類別:クリーム」の商品だけ。クリームに添加物が加わったものは「名称:乳等を主要原料とする食品」なので、生クリームとは別のものです。

価格は生クリームのほうが高価。200ccパックの商品で比較すると、ホイップよりも生クリームが100~200円高くなっています。

2つのクリームを泡立てて比較してみた

この記事では、植物性脂肪分40%のホイップクリームと、乳脂肪分35%の生クリームを泡立てて比較します。ホイップクリームと生クリーム各100ccを氷水に当てながら、ハンドブレンダーの低速で泡立てたものを用意しました。

実際に泡立てたクリームを食べたときの味や食感、絞り出したときの色と見た目の違いをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ホイップクリーム

植物性脂肪40%のホイップクリームをハンドブレンダーで泡立てたところ、八分立てになるまで約2分間かかりました。泡立ち加減の変化がゆるやかなので、クリームの泡立てに慣れていない人も安心です。

のちほど泡立てた生クリームと比較すると、クリームの手応えはやや重め。泡立てたあとしばらく放置しても、しっかりとかたさを保っていました。乳化剤や安定剤などの添加物が多く含まれていますが、使いやすさを優先するならホイップクリームがおすすめです。

味・食感

泡立てたホイップクリームは、生クリームと比べると密度が高いような、なめらかでもったりした食感。口の中でさらっと溶ける生クリームに比べると、やや口の中に残る時間が長いように感じました。

しかし、口溶けの割に味はしつこくなく、生クリームよりはあっさりしています。ホイップクリームには乳脂肪分が少ない、もしくは含まれていないので、ミルク独特の香りや味が苦手な方にはおすすめです。

泡立てたホイップクリームは、ほぼ白一色。生クリームのような黄色みがないので、よりお菓子を白く仕上げたいときは、ホイップクリームを使うとよいでしょう。

見た目

ホイップクリームは、生クリームよりも形を保ちやすい特徴があります。実際に絞り出した写真を比較してみても、ホイップクリームのほうが絞り出したときの筋が際立っていました。

デコレーションした形をできるだけ長く保ちたいときは、かたさの変わりにくいホイップクリームが作業に向いています。

生クリーム

乳脂肪分35%の生クリームは、ハンドブレンダーで八分立てにするまで約1分間かかりました。生クリームの泡立ちやすさは、乳脂肪分と関係しています。乳脂肪分が少ないほど泡立ちにくく、乳脂肪分が多いほど泡立ちやすいんですよ。

また、ハンドブレンダーやハンドミキサーで生クリームを泡立てる場合、とろみがつき始めると一気にかたく泡立ちます。泡立ちすぎてしまうと、分離することもあるので注意しましょう。

味・食感

泡立てた生クリームは、ふわふわの食感。乳脂肪分が体温でとろけるため、クリームが口の中でスーッと溶けていきます。ホイップクリームは口の中に少し残るような感覚があったのですが、生クリームはあっという間に口の中から消えていきました。

また乳脂肪分のみ使用しているため、ホイップクリームにはない、ミルクのコクと香りがあります。乳製品が好きな方はおいしく感じると思いますが、苦手な方にとってはしつこく感じるかもしれません。

生クリームはホイップクリームに比べると、うっすら黄色みを帯びています。白さを求める場合には向いていませんが、少し温かみを感じる見た目にしたいときは、生クリームがよいかもしれません。

見た目

使用した生クリームが乳脂肪分少なめで、ハンドブレンダーを使って泡立てたため、あまりツヤのないクリームになりました。しかし、乳脂肪分多めの生クリームを泡立て器で泡立てると、なめらかでツヤのあるクリームに仕上がりますよ。

また絞り出したクリームは、角が丸くやわらかな印象があります。見た目のツヤやなめらかさ、やわらかな雰囲気にこだわりたい場合は、生クリームを使うとよいでしょう。

用途や目的に合わせて使い分けよう!

「生クリーム」は添加物なども一切入っていない、動物性油脂のみを使った乳脂肪分18%以上のクリーム。「ホイップクリーム」は、植物性油脂と動物性油脂を混ぜたもの、もしくは植物性油脂のみを使用したクリームです。

どちらも味や見た目、扱いやすさに特徴があるので、特にお菓子を作る場合は、用途によって種類を使い分けましょう!