中国メディアはこのほど、「日中国交正常化の際、なぜ毛沢東は日本から賠償金を取らなかったのか」と題する記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 東京五輪の表彰台で、毛沢東の肖像をあしらったバッジをつけて表彰台に上がった中国の金メダリストが話題となった。国際オリンピック委員会(IOC)は五輪憲章違反の可能性があるとして中国に警告を与えたが、近年、中国では若者の間で毛沢東を再評価する人が増えてきているようだ。

 中国メディアの百家号はこのほど、「日中国交正常化の際、なぜ毛沢東は日本から賠償金を取らなかったのか」と題する記事を掲載した。日中国交正常化は、1972年に当時の田中角栄首相らが訪中して周恩来首相らと交渉を行い、最終的に合意して日中共同声明に署名したものだ。記事は、「毛沢東が戦後賠償を放棄した」とし、この決断を高く評価している。

 記事によると、毛沢東が戦後賠償を放棄したのは「田中氏の態度」が良かったからだという。とても友好的で「本当に国交を結びたいとの誠意」が感じられたという。それで毛沢東は、「日本は十分に非を認めて中国人に謝罪した」と考え、戦後賠償を放棄したとしている。

 また記事は、賠償を請求すればその負担が日本国民に来ることは明白で、毛沢東は「日本の民衆に罪はない」と考えたと主張。賠償金によって日本国民の生活が困難に陥ることを望まなかったことも、賠償放棄の理由だと説明し、毛沢東がいかに民衆のことを思う人物で、懐が大きいかを強調した。

 それで記事は、「これらの点を考えると、毛沢東の偉大さがよく分かる」と主張した。中国が自ら賠償金を放棄したことで日本は非常に感激し、賠償金ではなく経済援助を中国に対して行うようになったので、「これは毛沢東の深い戦略を体現したもので、その独特な知恵をよく示している」と称賛した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)