「社会人ってガチで時間なくね?」というスレッドが8月3日、5ちゃんねるに立った。「残業ないなら時間はある」「ん?あるだろ? 1日8時間ぐらいやで?」といった指摘もあったが、「6:00 起きる、準備と移動 8:00〜17:00 仕事 17:00〜21:00 残業 22:20 帰宅 飯風呂 23:00 疲れて眠る」と、ほとんど自由時間のない仕事日のスケジュールを書き込む人もいた。

「往復の通勤時間がクソ無駄」という指摘もあった。テレワークを経験したことで、あらためてその思いを強くした人もいるだろう。通勤しなくなって運動不足になったという話を聞いたこともあるが、健康的な徒歩通勤ならまだしも、満員電車に揺られるとなると話が違ってくる。あまり運動にもならず、リラックスも暇つぶしもできず、周囲への気遣いが必要な満員電車通勤は、疲労感がまるで違う。1日の何分の1かをそんな苦行に費やすのは心底つらい。(文:石川祐介)

「国民の休日」は多いけど…。


一方、スレには「年間休日125くらいあるだろ」という指摘もあった。確かに土日が年間104日、国民の休日が16日、年末年始で3日休みとすると、それで123日にはなる。これだけあれば、リフレッシュもできるはずだ。しかし、現実的にはそんな風にうまくいかないケースもある。先程のスケジュールのように長時間クタクタになるまで働いていると、せっかくの休みも「気力がない」「寝るだけ」ということになるからだ。

そもそも、カレンダーどおりに休めない人もたくさんいるだろう。そんな働き方を長期間続けていると、「ほとんどの時間を仕事ために使ってて、なんのために生きてるのか分からなくなる」という書き込みのように、人生に迷いが生じることにもなりかねない。深刻な話だ。

みんなサッサと仕事を終わらせて帰ろうぜ、という職場ばかりでもない。それどころか「お前ら、わざと労働時間を延ばしたいのか?」と言いたくなるような言動をする同僚・上司もいる。スレッドでも、こんな体験談が語られていた。

「先輩がみんな残業してる中『お先失礼します』なんて言えねえよ。最初の1年は帰らされてたけど、2年目からは帰ろうとしたら妙に嫌な顔されたわ」

先輩の仕事を手伝えるならまだしも、分担が終わって手持ち無沙汰なのに、ただ職場に「いるだけ」だと何の意味もない。そういう雰囲気のためにみんなが疲弊していくのは、本人たちにとってはもちろん、会社にとっても「もったいない」話だ。

30分前の出社が「常識」?

スレにはこんな声もあった。「10分前に着いたら『君は新人なのにこんな時間に出社するのは普通じゃない』って普通は遅くても30分前に出社して掃除して待ってるもんなんだってさ」

遅刻しないよう、早めに行動してという話はよくわかる。しかし、毎日始業前に30分もの掃除が必要なら、それは立派な仕事。「常識」を振りかざすのではなく「この時間に出社して、掃除しなさい」と業務命令を出すべきだ。

新人なら1日30分ぐらい我慢すべきだ、という考えもあるだろう。しかし、こんなちょっとしたことが積み重なって、「過労死」を招くような、異常な長時間労働文化ができあがっていったのかもしれない。こんな文化とは、そろそろおさらばしたいものだ