井桁良樹シェフの「豆乳冷やし中華」【暑さ吹き飛ぶ!シビ辛レシピ #3】

中華の巨匠が教える、シビ辛な家庭料理

梅雨明けして、一気に夏らしくなってきました。 食欲が落ちがちなこれからの時期は、スパイスの利いたひと皿でなんとか乗り越えたいものです。

世界にはじつにさまざまなスパイスがありますが、中国特有の香辛料も忘れてはいけません。そこで、テレビでもすっかりおなじみの「中國菜 老四川 飄香(ピャオシャン)」の井桁良樹シェフに、香辛料が主役の家庭料理を4回にわたって教えていただいています。

井桁シェフ夏のおすすめのスパイスは、唐辛子、花椒、陳皮、クミンの4種。今回は四川料理の代名詞でもある“唐辛子”を使った料理を紹介します。

唐辛子というと、赤くて辛いひと皿が浮かびますが、井桁シェフが準備したのは、酸味のある白い豆乳ダレに、自家製のラー油をピリリと利かせた冷やし中華です。

ラー油が主役の豆乳冷やし中華

調理時間:20分(ラー油を作る時間を含む)

「冷やし中華というと日本ではお酢と醤油とマスタードが定番ですが、今回は唐辛子=ラー油が主役になるひと皿をと、豆乳ダレにラー油をピリリと利かせた冷やし中華を考えました。いわば豆乳坦坦麺の冷やし中華版です。

この豆乳ダレは、冷蔵庫から出した豆乳に調味料を混ぜるだけで完成するので火を使わないんですよ。冷やし中華の味の決め手になるタレは、本来はスープからとりますが、暑さが厳しい季節は、栄養があって簡単に作れることが一番大事。

ラー油の辛味とまろやかな豆乳はとても合います。ラー油の作り方もご紹介しているので、ぜひラー油も手作りして、体にやさしい冷やし中華を楽しんでください」

材料(2人分)

・中華麺(中太)……200g
・オクラ……6本
a. 豆乳……200cc
a. しょうが(すりおろし)……小さじ2杯
a. 砂糖……大さじ2杯
a. 塩……小さじ1杯
a. 米酢……大さじ3杯
・ごま油……小さじ2杯
・桜えび……適量
・落花生(みじん切り)……大さじ2杯
・ラー油……適量

下準備

作り方

1. オクラの下処理をする

オクラのヘタを切り落とし、硬いガクの部分をそぎ取ったら塩をふって、しばらくおきます。

「今回はオクラを使いましたが、きゅうり、モロヘイヤなどの夏の野菜など何でもOKです。モロヘイヤを使う場合はしっかりとゆでてくださいね」

2. 豆乳ダレを作る

冷蔵庫から出した豆乳に(a)を加え、よくかき混ぜます。冷蔵庫に入れて冷やしておきます。

「米酢を入れると豆乳が少し固まって、とろとろになります。その食感も楽しんでほしいですね。分量どおりだとけっこう酸味が強いので、すっぱいものが苦手な方は調整してください」

3. 桜えびを軽く炒る

桜えびを弱火で1分ほど軽く炒ります。

「桜えびはそのまま使ってもいいのですが、軽く炒ることで香りが立ちます。香ばしい香りがしたら火からおろしましょう」

4. オクラをゆでて、切る

熱湯で1分から1分15秒ほどオクラをゆで、氷水にさらして色止めします。十分に冷めたら水分を拭き取り、1cm幅に小口切りします。

「オクラにはえぐみがあるので、やわらかくなりすぎない程度にしっかり目にゆでましょう。鮮やかなグリーンを保つために、氷水につけて粗熱をとってください。このひと手間でぐんと仕上がりが美しくなります」

5. 中華麺をゆでる

たっぷりの熱湯で中華麺をゆでます。湯の中で箸を揺らして麺を泳がせると、ゆであがりの麺の食感がよくなります。

このとき、麺を締めるための氷水を事前に準備するのをお忘れなく。シェフはオクラの色止めに使った氷水に氷を足して使っていました。

「冷やし中華麺なら表示通りのゆで時間でいいですが、ラーメン用の中華麺を使う場合は、表示より1分ほど長くゆでてください。氷で締めるとどうしても硬くなるので、少し長めにやわらかめにゆでるとちょうどいいんです」

6. 麺を氷で締め、水分をしっかり切る

ゆであがった麺はしっかり湯切りし、流水で洗ってぬめりを取ります。続いて氷水にさらして麺を締め、水分を切ります。

「氷水でしっかりと麺を締め、余分な水分を切ることで、できあがりが違ってきます。ちょっと不安になるくらいしっかり絞ってください。麺は強いので潰れたり、切れたりする心配はありません」

7. 麺にごま油をまぶす

ごま油を麺全体にまんべんなくまぶします。これは香りや風味を加えると同時に、麺がくっつきあうのを防ぐ効果があります。

8. 麺を皿に盛り付ける

麺を皿の中央に立体的に盛り付けます。持ち上げた麺を、手首を90度ぐらいひねりながら下ろしていくと、きれいな山型になります。

9. 2をかけ、オクラ、落花生をトッピングする

お酢の効果でとろみがついた豆乳ダレを麺の上からかけ、オクラを飾り、みじん切りした落花生を散らします。

「みじん切りした落花生を使うと、からすみパスタのような食感が楽しめます。さらに細かく刻むと芝麻醤(チーマージャン)のようなコクが出ますよ」

10. ラー油を回しかけ、桜えびを散らす

ラー油は具と共に、豆乳ダレの上から回しかけます。最後に桜えびを散らして完成です。ちなみにラー油の量はお好みですが、井桁シェフは2度、回しかけていました。

豆乳冷やし中華

オクラのグリーン、豆乳と麺のクリーム色、そしてラー油の赤と色合いの美しいひと皿の完成です! 皿の上で、ラー油の辛味や旨味、お酢が利いた豆乳ダレ、麺にまぶしたごま油、刻んだ落花生、それぞれが大切な役割を果たしています。

「このレシピの主役は、唐辛子の辛味と旨味を生かしたラー油です。でも、桜えびを軽く炒ったり、中華麺の水分をしっかりと切ったりといった、ちょっとしたひと手間でできあがりがグンと変わります」と井桁シェフ。

香辛料を幾重にも重ねて本格的な四川料理を作り上げるシェフによるオリジナルの冷やし中華は、これまでに体験したことのないうれしい驚きにあふれていました。ぜひラー油から手作りして、暑い日にぜひ作ってみてください。

もっと手軽に豆乳冷やし中華を楽しみたいという方は、飄香のオリジナルラー油『一滴香』をお取り寄せしてみるのもいいかもしれません。

さて、次回はいよいよ最終回!クミンを使ったスパイシーな中華をご紹介します。

取材協力

店舗名:中國菜 老四川 飄香(ピャオシャン)麻布十番本店
電話番号:050-3134-5664
最寄駅:都営大江戸線 麻布十番駅 7出口 徒歩4分地下鉄メトロ南北線 麻布十番駅 5a出口徒歩 6分
郵便番号:106-0045
住所:東京都港区麻布十番1-3-8 Fプラザ B1F
市区町村:港区
町域:麻布十番1-3-8 Fプラザ B1F
営業時間:ランチ 11:30~15:00 (L.O. 14:00)ディナー 18:00~23:00 (L.O. 21:30)
定休日:月曜日、第1・3火曜日