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 東京・浅草橋の焼鳥店『鳥茂』。55年続く老舗で、地元の人たちはもちろん遠方にも多くの常連客を持つ古き良き焼鳥店ですが、同店の二代目が焼鳥の知見を生かし、チキンサンドウィッチ専門店『SHIGERU KITCHEN』を浅草橋に開店。この『SHIGERU KITCHEN』の支店となる店が今年3月に横浜高島屋ベーカリースクエア内にオープンしました。

パンの名店ばかりが集まる横浜高島屋ベーカリースクエア内にオープンした『SHIGERU KITCHEN』

 横浜高島屋のこちらのお店では、サンドウィッチだけでなく新たなメニューも展開していますが、その目玉となっているのが「Torishige Chiken Burger」というもの。かなりのボリューム感で正直「どうやって食べたら良いのか?」と戸惑うほどですが、今回はこの「Torishige Chiken Burger(たれ)with クリームチーズ」(994円・税込)、「Torishige Chiken Burger(しお)with トマト」(994円・税込)を試食。同店スタッフの原田眞弘さんにも話を聞きました。

まずは「たれ」のほうからいただきます!

「Torishige Chiken Burger(たれ)with クリームチーズ」994円(税込)。注文後、奥の厨房で手際良く丁寧な作業で調理してくれる

 店頭でまずオーダーしたのは「Torishige Chiken Burger(たれ)with クリームチーズ」。くるみ入りの茶褐色のバンズの底面にまずクリームチーズが見られ、その上に照りのある美味しそうなチキン。さらにまるで翼を広げた鳥のように広がるレタス。このボリューム感あふれるチキンバーガーを支えるのがオリーブ類が刺さった串です。

 あまりにダイナミックな外観に戸惑いつつ、さっそくガブり。たれ味のチキンの甘辛さが絶妙で、さらに底面のクリームチーズとの融合でまろやかな味になっています。もちろん、フレッシュなレタスとバンズとの相性も抜群で、正直「これ以上うまいチキンバーガーは食べたことがない!」と、感動するほど。もちろん、見た目通りのボリューム感で満腹度も高いです。

そして「しお」をいただきます!

「Torishige Chiken Burger(しお)with トマト」994円(税込)

「たれ」で感動した後、続いて「Torishige Chiken Burger(しお)with トマト」をいただくことに。「たれ」同様、丁寧に作られて仕上がったものを見てさらにビックリ。「たれ」以上のダイナミックな盛りです。

「Torishige Chiken Burger(しお)with トマト」を前に、ジッと数秒間。この中には何が入っているか、そしてどのようにして食べるべきか頭を悩ませましたが、まずはしっかり上下のバンズを抑え、中を切ってみることにしました。

「Torishige Chiken Burger(しお)with トマト」の断面図

 さきほどの「たれ」もそうですが、こちらにもズッシリとしたチキンがあります。底面にはタルタルソースが見られ、チキンの上にトマト、そしてレタス。くるみ入りのバンズがこれらの具材を優しく挟んでいます。

 さっそくいただきましたが、「たれ」がまろやかでコクのある味だったのに対し、こちらは素材の良さがさらに際立った感じで、塩っけも十分。さっぱりとしていながらもしっかりとした食べ応えを感じられます。こちらも、やはりこれまでに食べたことがない感動の味で、病みつき度十分の一品だと思いました。

グルメバーガーは意識しない。あくまでもうちはうち!

「SHIGERU KITCHEN」(横浜高島屋ベーカリースクエア)のスタッフ、原田眞弘さん

「老舗焼鳥店のサンドウィッチ店」という触れ込み以上の感動があった『SHIGERU KITCHEN』のチキンバーガーですが、このメニューはいかにして考案されたのでしょうか? スタッフの原田眞弘さんに聞きました。

「『鳥茂』は昔ながらの焼鳥屋で、串焼きしかやっていなかったのですが、若い世代の方にも来ていただきたいと思い、サンドウイッチ店を始めました。さらに横浜高島屋ベーカリースクエアのほうにも出店することにしました。東京の浅草橋でお店をやっていたので、『神奈川に進出するのは面白いかもしれない』と思ってのことでした」(原田さん)

 その横浜高島屋ベーカリースクエア限定のメニューが今回のチキンバーガーなのですが、あまりの美味しさのこだわりについても聞きました。

「『たれ』『しお』とも当店では鶏もも肉を130~150gくらいを使用し、スチームオーブンでふっくら焼き上げています。『たれ』は焼鳥店で使う自慢のタレをそのまま使い、『しお』も厳選した岩塩を使い、横浜の老舗パン店『かもめパン』のくるみ入りバンズで挟むことで美味しさをご提供できていると思っています」(原田さん)

チキンバーガーの他にも話題のスイーツパンマリトッツォやサラダも販売している

 価格帯こそ千円前後と、近年増えているグルメバーガーと同等ですが、しかし味そのものと目指すところは全く違うようにも思いました。

「グルメバーガーは全く意識していなくて、あくまでもうちはうち。長きにわたり焼鳥屋を続けている自信があります。『美味いこと』だけが最優先であり、『絶対にマズいものは出さない』ということだけにこだわっています。

 確かに美味しさとボリューム感にこだわっているため、食べにくいかもしれません。デパートのテナントですので、女性のお客さまも多くいらっしゃいますが、正直を言うと『食べにくそう』ということで通り過ぎていく方もいらっしゃいます。でも、そういう方にこそ是非食べていただきたい。絶対にクセになる味ですし、美味しいものを食べたいのなら、手や口が汚れても仕方ないじゃないですか(笑)。是非食べにお越しいただきたいですね」(原田さん)

 最後は東京の下町らしい、気取らない言葉で結んでくれた原田さん。くどいようですが、本当に感動のチキンバーガーが横浜高島屋ベーカリースクエアの『SHIGERU KITCHEN』にはあります。手や口が汚れてしまうことは覚悟の上で(笑)、日本一うまいチキンバーガーを是非一度ご賞味ください!

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

「SHIGERU KITCHEN」

https://shigerukitchen.com/