カレーの名店やミシュランシェフ直伝!市販のカレールーブレンド術
プロは市販のカレールーをどうブレンドする?
日本人のカレー作りにおいて欠かせない存在、カレールー。それぞれの家庭でお気に入りのカレールーがあると思いますが、さらにブレンドをする人も多いはず。
そこで、カレーの名店として知られる「マンダラ」の社長、ミシュラン一つ星を獲得した「sio」の鳥羽シェフ、macaroni きっての料理狂である副編集長、3名にお気に入りの組み合わせを教えてもらいました。
macaroni 調査では「ブレンドする」が多数派に!
ちなみにmacaroni 読者を対象に独自のアンケートを実施したところ、約60%の人が「2種類以上ブレンドする」と回答。なかには3種類以上のカレールーをブレンドする人も少なくありませんでした。「もっと香りを出したい」とカレー粉やスパイスを組み合わせる上級者もいましたよ。
カレーの名店社長は「ジャワカレー 中辛」×「ゴールデンカレー 中辛」
神保町 マンダラ/外ノ池社長
神田神保町で「マンダラ」「メナムのほとり」などのエスニックレストランを運営。インド・タイ・アジア・香辛料に詳しい。10才で初インドを体験した生粋のカレー党。
「この味にたどり着くまで7~8回は試しました。ここ数年はこのブレンドで食べることが多いです。メーカーの違うルーをブレンドすることで、双方のよいところを引き出て、香りがしっかり立ち、スパイシーな味になります。
さらに子ども用と大人用に分けるので、大人用には、最後にチリパウダーとガランマサラを足して辛さを増しますね」
市販ルーで本格的なカレーを作るコツは?
「おいしいカレーを作るには、玉ねぎをあめ色になるまで炒めることが大切。肉やそのほかの野菜もスパイスとともに、しっかりと炒めて旨みを出しておかないと、市販カレールーの強い風味に負けて、同じような味になってしまうので注意。
つい楽をしたくなりますが、この基礎を守って調理すれば、市販ルーで手軽かつ本格的な味を作り出せますよ」
ミシュランシェフは「プレミアム熟カレー」×「ディナーカレー 中辛」
代々木上原 sio /鳥羽周作シェフ
Jリーグの練習生を辞め、小学校の教員を経て、32歳で料理人の世界へ入門するという異色の経歴をもつ。2018年7月、sioをオープン。ミシュランガイド東京2020から2年連続一つ星を獲得。現在、全国に系列店含め5店舗を展開。
「おうちで食べる郷愁感もありつつ、レストランのような味わいの両方を兼ね備えたカレーを目指してブレンドしています。
グリコの『プレミアム熟カレー』は定番のシリーズながらもコクがあり、SBの『ディナーカレー 中辛』はフォンドヴォーが入っており、レストランのような深い味わいに。
少し大変ではありますが、玉ねぎはしっかりあめ色になるまで炒めると、やはり味に深みが出ておいしくなりますよ」
macaroni 副編集長は「ジャワカレー スパイシーブレンド」×「ゴールデンカレー 辛口」
macaroni 副編集長/高倉
「手料理には時間をかける」ことがモットーの、出張料理人でホムパ狂。おうち時間の増加に伴いビールの消費量も増加、「痛風予備軍」と判定され、いよいよ体にガタが来つつある。
「この2つを半々で入れるのが、カレー好きな僕のこだわりで、家庭のカレーとしては結構辛い部類だと思います。『ジャワカレー スパイシーブレンド』は付属の粉末も全部入れます。辛みと香りが強くて好きなのですが、単体だとハードすぎるため、奥行きを感じづらいんですよね。
かといって、そこへ味に丸みのある甘口ルーを合わせるのでは、やわらかくなりすぎる。結果的にスパイス感とコクのバランスがいい『ゴールデンカレー 辛口』をチョイスしています。
ソフリット(野菜を炒めたペースト状のもの)で深みを出すのもポイント」
ブレンドの可能性は無限大
いずれ劣らぬ、魅力的なブレンド術。どれも馴染み深い商品だからこそ、すぐに試してみたくなりますよね。
おいしいカレーを作るにはルーの選び方も大切ですが、なにより「玉ねぎや野菜をしっかり炒めることが重要」ということも判明しました。いま一度、基本の工程を見直してブレンドを楽しめば、新たなカレーの味が開けるかもしれません。
取材・文/倉持美香(macaroni 編集部)
写真/岩田知夏