日郄良実シェフの「めかじきの食いしん坊風」【絶品!“パン泥棒”レシピ#4】
イタリアンの巨匠が教える、パンにぴったりな家庭料理
東京・銀座の「リストランテ ハナダ」を経て、イタリアの名店で修行した日郄良実シェフ。本場で鍛えた技と日本各地の旬の食材を生かしたイタリア料理、そして飾らない人柄が絶大な人気を呼び、多方面で活躍しています。
そんな日郄シェフに教えていただくのは、外出がおっくうになる梅雨の時期にぴったりな、身近にある食材を使って作れる家庭料理。4品目は魚料理です。食欲が落ちがちなこれからの季節にもうれしい、さっぱりしたソースでいただきます。今回はめかじきを使っていますが、鮮度のいい魚なら何にでも合うレシピです。
エオリア島のレストラン・フィリピーノで学んだ魚料理
「イタリアでの修業時代、ほとんどを北イタリアのレストランで働きましたが、2カ月ほど、イタリア南西部に位置するシシリア島近くのリーパリ島のレストラン『Filippino』で修業しました。ここでは北イタリアの料理とは一風違った“素材を生かしたイタリア料理”を学びました。
そのなかのひとつがこの『めかじきの食いしん坊風』です。リーパリ島の周囲ではめかじきがたくさん泳いでいるので新鮮なものが手に入りますし、ケッパーはシチリアの特産品。地元の食材を生かしたレシピなんですよ。
魚料理というと、僕の店の名前にもなった『アクアパッツァ』がありますが、食いしん坊風では白ワインを入れます。白ワインを加えることで酸味が強くなり、梅雨の時期や夏場の食欲が落ち気味なときにも食べていただきやすいと思います」
材料(2人分)
・めかじき(切り身)……2枚
・湯むきトマト(1cm角切り)……3個
・玉ねぎ(粗みじん切り)……1/2個
・ケッパー(粗みじん切り)……大さじ3杯
・白ワイン……200cc
・塩……適宜
・こしょう……適宜
・オリーブオイル……適宜
・イタリアンパセリ……適宜
作り方
1. フライパンでめかじきを焼く
フライパンにオリーブオイルを小さじ1杯程度を入れて温めたら、塩こしょうしためかじきを並べ、強火で表面に焼き目をつけます。片面に焼き色がついたら、裏返してもう片面を軽く焼きます。
「めかじきを焼き始める直前に両面にまんべんなく塩こしょうします。南イタリア料理ではあまりこしょうは使わないので、こしょうはお好みで。ちなみに冷凍のめかじきでもおいしくできますよ」
2. フライパンの油分を軽く拭き取り、白ワインを入れる
裏面を軽く焼いたら、白ワインをまわし入れ、ワインで煮ていきます。火加減は強火のまま。2分ほど強火でアルコール分を飛ばしたあと、少し火を弱めて中火でさらに1分ほど煮詰めていきます。
「魚はあまり触らないことが大事。必要以上に触ると、身がボロボロに崩れてしまいますからね」
3. トマトをフライパンに加えて煮る
皮を湯むきし1cm角に切ったトマトをフライパンに加え、軽く煮て、トマトの風味をソースに移していきます。
「ここではトマトは軽く泳がせるように揺する程度で十分です。トマト煮を作るのではなく、香りや風味をソースに移すのが目的です。
湯むきトマトをカットするときは、トマトの種は除いてくださいね。種にはペクチンが多く含まれて、おいしいのですが、料理のときは雑味が出てしまいます」
4. 玉ねぎ、ケッパーを入れてさらに火を通す
粗みじん切りした玉ねぎ、ケッパーを加えます。玉ねぎの甘味、ケッパーの酸味がソースに移ったらできあがりです!
「めかじきは焼いてステーキで食べるのもいいですが、白ワインで煮ると酸味が加わってスッキリさっぱりした味わいになります。さらに、トマトを加えることでソースに旨味が増しますよ」
5. オリーブオイルをまわしかけ、ソースと乳化させる
仕上げにエキストラバージンオリーブオイルを大さじ2杯ほどをまわしかけます。フライパンを揺すりながらソースを沸かし、しっかり乳化させてください。トマトに火が通ってしんなりするぐらいを目安にして。
6. イタリアンパセリを加え、盛り付ける
みじん切りしたイタリアンパセリを加えます。鮮やかなグリーンと独特の爽やかな香りが、料理の味、そして見た目にアクセントをプラスします。
皿にめかじきを置き、その上にトマト、玉ねぎ、ケッパーをのせるようにソースをかけたら完成です。
レストラン気分を盛り上げる!爽やかな味と美しい見た目
トマトとケッパーの酸味とほんのりとした玉ねぎの甘味で、淡白なめかじきもペロリといただけます。ついつい焼き過ぎてパサツキがちなめかじきですが、このレシピならしっとりと仕上がりますよ。実際に火を入れ始めてから6分ででき上がりました!
「めかじきに限らず、さばでもおいしくできます。鮮度のいい魚で“食いしん坊風”をぜひ作ってみてください。魚を丸ごと1匹使ってもおいしくできますよ」と日郄シェフ。
筆者は手頃な値段で手に入れた小ぶりなたいで挑戦。切り身にすべきだったかと途中不安を感じながらも、魚を焼く、煮る過程で長めに火を通したところ、無事に酸味と旨味たっぷりの爽やかなひと皿ができ上がりました。
見た目にも美しいので、自宅でレストラン気分を味わうにも最適なお料理です。 ソースを最後までいただくためのパンもお忘れなく。
次回は最終回。「季節野菜とさば缶のパスタ」をご紹介します!
取材協力
店舗名:リストランテ アクアパッツア
電話番号:03-6434-7506
最寄駅:東京メトロ銀座線 外苑前駅 1a出口 徒歩2分
郵便番号:107-0062
住所:東京都港区南青山2-27-18青山エムズタワーパサージュ青山2F
市区町村:港区
町域:南青山2-27-18青山エムズタワーパサージュ青山2F
営業時間:平日ランチ 11:30~15:00(L.O.14:00)ディナー 17:00~23:00(L.O.20:30)土日祝11:30~22:30(L.O.20:00、ランチはL.O.15:00)
定休日:無休
取材・文/古川あや
撮影/木下 誠