バイクや船舶などのメーカーとして知られる川崎重工業から、3輪電動ビークル「noslisu(ノスリス)」が登場しました。前輪2つ、後輪1つの合計3つの車輪が抜群の走行安定性を実現しているというだけでなく、女性や高齢者にも扱いやすいシンプル・軽量なマシンに仕上がっているとのこと。そんなノスリスに試乗する機会を得たので、3輪による走行の安定性や、モーターの走行補助による快適性などを確かめてきました。

noslisu | ノスリス

https://noslisu.jp/

◆試乗会場へ移動

◆電動アシストタイプの「NB-01」:フォトレビュー

◆電動アシストタイプの「NB-01」:試乗レビュー

◆フル電動タイプの「NA-01」:フォトレビュー

◆フル電動タイプの「NA-01」:試乗レビュー

◆まとめ

◆試乗会場へ移動

ノスリスに試乗するべくJR西明石駅へやってきました。ここから徒歩で川崎重工業の明石工場へ向かいます。



駅から歩いて数分で、明石工場の西通用門に到着。



門からは、川崎重工業の建物が見えています。



今回は、この明石工場内の試験コースで電動アシストタイプの「noslisu NB-01」(左)とフル電動タイプの「noslisu NA-01」(右)に試乗します。



◆電動アシストタイプの「NB-01」:フォトレビュー

まずは、電動アシストタイプのNB-01に乗ってみます。NB-01は、前輪2つと後輪1つの合計3つの車輪がついた独特のデザイン。また、フレームの材質はクロモリで、細身ながら十分な強度を備えているとのこと。なお、今回試乗するNB-01は試作品のため、製品版とデザインが異なる部分があります。



正面から見るとこんな感じ。車体自体はほとんど自転車ですが、2つの前輪と大きなカゴが特徴的。



前輪は、上下に稼働する設計になっています。この設計によってデコボコした道や傾いた道でも安定した走行が可能です。



また、車体に合わせて車輪が傾くことで、3輪による安定感とスムーズな旋回性能を両立しています。



車輪に取り付けられた泥よけは、試乗会で得られた意見を参考に採用されたとのこと。



ブレーキにはディスクブレーキを採用しています。



車輪の傾きも、ディスクブレーキのパーツを使った機構でロック可能です。



ハンドルはこんな感じにカゴと分離して動きます。なお、カゴには20kgまでの荷物を入れることが可能です。

積載にこだわったアシスト三輪車「noslisu NB-01」のカゴは安定感抜群 - YouTube

このカゴはフレーム自体に溶接されているため、重い荷物を入れてもハンドルに重さが伝わらない上、走行中にグラつくこともありません。



ハンドルの左手側には、後輪ブレーキレバー(左)と車体の傾きをロックするレバー(右)が搭載されています。また、それぞれのレバーの近くには、ブレーキをロックするボタンが搭載されています。



ブレーキレバーを握り込んだ状態でボタンを押し込むと、各ブレーキをロックできます。



このロック機構により、NB-01はスタンドなしでその場にとどまることができます。また、フレームの高さも低めなので、安定した状態でスムーズな乗り降りが可能です。



車体の傾きもロックできるので、重い荷物の積み下ろしもラクラクです。なお、ロックを解除する際はブレーキレバーを軽く握ればOK。



ハンドルの左手側には電動アシスト用のコンソールが搭載されています。なお、今回試乗したNB-01に搭載されていたコンソールは開発中のモノで、製品版とはデザインが異なります。



ハンドルの右手側には後輪のブレーキレバーやベル、シフトレバーが搭載されています。



サドルは、好みの自転車用サドルに交換可能。



ペダルも好みに合わせて交換可能です。



フレームの下部にはバッテリーが取り付けられていました。なお、NB-01の最大航続距離は50km。また、製品版ではバッテリーの搭載位置が変更される予定です。



後輪には、モーターやギア、ディスクブレーキなどが取り付けられています。



今回試乗したNB-01には、7段階の変速機が搭載されていました。サドルやペダル、変速機など、NB-01の多くのパーツには自転車用のモノが使用されており、ユーザーの好みに合わせて自由に交換可能です。



◆電動アシストタイプのNB-01:試乗レビュー

それでは、実際にNB-01に乗ってみます。まずは、バッテリーの電源を入れます。



次に、電動アシスト用のコンソールのスイッチを押して、モーターの電源を入れます。



そして、各ブレーキレバーを軽く握ってロックを解除したら、準備完了です。



後は、一般的な自転車のようにこぐだけ。乗ってみると3輪による安定感が抜群。



実際にNB-01に約10kgの荷物を積んで走行したところ、電動アシストのおかげで荷物の重さを感じることなく軽快な走行を楽しめました。



旋回時は前輪が車体に合わせて自動で傾くため、二輪車とは一線を画す安定感。また、カゴがフレームに固定されているおかげで、重い荷物を積んだ際にも安定して旋回できます。開発者によると、NB-01は「自動車免許を返納したシルバー世代」もターゲットとのことで、減速時や旋回時に転倒の心配が皆無な乗り心地は「シルバー世代向け」というのも納得の印象。



なお、ノスリスのバッテリーは取外し可能で、家庭用コンセントで充電可能。電動アシストタイプのNB-01の場合、約5時間でフル充電できます。



◆フル電動タイプのNA-01:フォトレビュー

ノスリスは電動アシストタイプだけでなく、モーターの力だけで走行できるフル電動タイプの「NA 01」も用意されています。なお、NA-01の道路交通法上の区分は「普通自動車」で、運転する際は普通自動車免許が必要です。

NA-01の見た目はこんな感じ。なお、このカラーは試作専用カラーとのこと。



NA-01は、基本的なデザインは電動アシストタイプのNB-01と同一ですが、前輪の幅が少し広がってカゴが下部に移動。さらに、方向指示器やミラーなどが追加されています。



ハンドルの左手側には、警音器・方向指示器・ヘッドライトのスイッチや、モーターの出力調整スイッチが搭載されています。なお、このデザインは試作機のモノで、実際に販売されるNA-01ではデザインが変更される予定です。



ハンドルの右手側にはモーターのスロットルが搭載されています。



カゴがフレームに溶接されており、荷物の重さがハンドルにかからない点はNB-01と共通。



後部には、バックランプやナンバープレート用のベースが搭載されています。



後輪には、大きめのモーターを装備。



ブレーキには、電動アシストタイプのNB-01と同様に自転車用のディスクブレーキを採用しています。



◆フル電動タイプのNA-01:試乗レビュー

それでは、フル電動タイプのNA-01に乗ってみます。まずは、バッテリーの電源を入れます。



次に、ハンドルに搭載された電源スイッチを押します。



電源が入ると、ハンドルの中央に搭載されたディスプレイにモーターの出力・速度・走行距離が表示されます。なお。ディスプレイに表示される情報やデザインは、製品版では変更される可能性があります。



あとは、スロットルを押し込むだけで、走り出します。走り出しにペダルを少しこぐのがスムーズな走行のコツとのこと。



3輪による安定感は電動アシストタイプのNB-01と共通ですが、ペダルをこがなくてもモーターの力だけで運転できるため、乗り心地はまったく別物。モーターの駆動音も静か。以下のムービーでは、NA-01をペダルを一切こぐことなく運転している様子を確認できます。

カワサキのEV三輪車「noslisu NA-01」の走行の様子 - YouTube

次に、合計約10kgの荷物をのせて走行してみます。フル電動タイプのNA-01のカゴは低い位置に取り付けられているため、重い荷物も簡単に積載可能です。



10kgの荷物を積んでもモーターが十分なパワーを発揮し、まったく重さを感じない軽快な走行が可能でした。



今回は狭い試乗コースを走ったため最高時速は25km/hほどでしたが、ノスリスの開発者によると、公道を一般的な自動車と同じペースで問題なく走行できるとのこと。また、NA-01は普通自動車扱いなので法律上はヘルメットは必須ではありませんが、万が一のためにヘルメットの着用が推奨されています。

カワサキのEV三輪車「noslisu NA-01」の走行シーンをGoProで撮影してみた - YouTube

また、フル電動タイプのNA-01も、電動アシストタイプのNB-01と同様に多くのパーツが自転車用のモノで構成されているため、ユーザーの好みに合わせたカスタマイズも可能です。



◆まとめ

実際に電動アシストタイプのNB-01とフル電動タイプのNA-01に試乗した結果、どちらのノスリスも3輪による抜群の安定感を感じられました。また、4輪の車両と異なり、体の傾きを利用したスポーティな旋回が可能なので、マシンを操る楽しさも味わえます。さらに、ブレーキロック機構によって乗降や荷物の積み下ろしを安全に行えるのも魅力で、自分好みのパーツ構成にカスタマイズできるという点も特徴的。実際に乗ってみるとカワサキの技術が光るスタイリッシュ&シンプルな仕上がりで、免許を返納したシルバー世代から一風変わった乗り物を求める人まで幅広い人にオススメできる3輪電動ビークルでした。



なお、ノスリスは2021年5月12日からクラウドファンディングを行っていましたが、予定販売台数の100台がクラウドファンディング開始当日に完売。今後は販売した100台のノスリスから得られたフィードバックを基に開発を進める予定とのこと。また、試乗会を積極的に開催していく予定とのことなので、ノスリスに試乗してみたい人は、TwitterやInstagramのノスリス公式SNSアカウントをチェックするのがオススメです。

Makuake|重さ20kg積んでも快適走行!Kawasaki設計のラクラク電動3輪|ノスリス|マクアケ - アタラシイものや体験の応援購入サービス

https://www.makuake.com/project/noslisu/



・つづき

ノスリスを生み出した開発者へのインタビューは、以下からチェック出来ます。

電動三輪車「ノスリス」開発者の東條憲一郎&牧村和樹さんインタビュー、ノスリスの誕生秘話や今後の展開について聞いてみた - GIGAZINE