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 先日、カルディで買い物していたら、画数の数え切れない漢字2文字の麺を発見しました。その名も「ビャンビャン麺」。

 ここ数年、中国料理マニアたちの間で一躍注目された麺料理です。しかし、とうとうカルディオリジナル商品になっていたとは、驚きです。

カルディの「ビャンビャン麺」1袋2食入り(麺100g×2袋、スープ60g×2袋)449円

「ビャンビャン麺」とは、中国・陝西(せんせい)省の西安市一帯で食べられている伝統的な幅広手打ち麺のこと。原料は小麦と塩と水だけ。

 筆者は何度か食べたことがありますが、面白いのはその製法。麺職人が包丁を一切使わず、小さな生地を何度も台に打ちつけて両手で延ばし、これを何度も繰り返して麺状にしていくんです。諸説ありますが、麺を台に打ちつける時や延ばす際に「ビャンビャン!」と音がするので、この名前がついたそう。

『泰唐記 神保町店』のビャンビャン麺の「ヨウポー麺」

 つまり、ビャンビャン麺とは、「刀削麺」と同様、麺の種類のことなんですね。で、幅広のビャンビャン麺はタレや具材の絡みが良いうえ、プリプリとした強い弾力と、ダイレクトに小麦の旨みが感じられるのが特徴。以前、筆者はそのビャンビャン麺に、ネギや唐辛子、花椒を効かせた油そばを食べたことがありますが、香りがよく、味もパンチがあって、めちゃくちゃ美味しかった記憶があります。

 さて、カルディオリジナルの「ビャンビャン麺」は、パッケージの裏面を見ると「干しひらめん」と書いてあります。となると、手打ちの生麺のビャンビャン麺とは異なることは容易に想像できますが、緊急事態宣言下、家でビャンビャン麺風の味が食べられるのか、と嬉しくなって、試してみることにしました。

カルディのビャンビャン麺はどんな味?

麺というより、お札やテープのような形状です

 帰宅後、さっそく袋を開けると、幅2.5cmもある幅広麺が1食あたり12本入っています。麺というより、もはやお札のように見えます。さて、この麺を大きな鍋で沸騰した熱湯に入れて11分茹でます。茹で上がったのがこちら。

カルディのビャンビャン麺は“一反もめん”のよう

 カルディのビャンビャン麺はまるで『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる一反もめんのようにベロンベロン。職人が作るビャンビャン麺はもう少し厚みがあり、幅も不均等で、それが食感の豊かさにつながるのですが、カルディのこれは均等でいかにも機械で作りました、という感じ。ともあれ、付属の麻辣スープをかけ、パッケージにオススメと書いてあったひき肉や野菜をのせて作ってみました。

油で炒めたひき肉の味付けは軽く塩・コショウ・醤油のみ

 食べてみると、もちろんお店のビャンビャン麺とは全く違う食感ですが、ツルツルベロベロした面白い口当たりです。麻辣スープは辛味はあまりなく、豆板醤の旨みとコク、そしてほのかに酸味もあって、とても優しい味。

 しかし、やはり筆者にとってはどうも物足りなさを感じます。まず、幅広麺にスープが馴染んでいないし、唐辛子の辛さも弱い。オイル感も弱い(つまり香りも弱い)。平たく言えば、全体的におとなしい味です。

 これは、むしろアレンジしがいがあると思いました。そこで以前、専門店で食べたビャンビャン麺の油そば=「ヨウポー麺(油溌麺)」を再現してみることに。

専門店で食べた「ヨウポー麺」を作ってみた!

「ヨウポー麺」の「油溌」とは、油がはねるという意味で、ビャンビャン麺の上に茹で野菜や肉、ネギ、唐辛子、山椒をのせて、その上に熱した油をジュッとかけてスパイスの香りを立たせる油そばです。パンチある香りや味が身上です。

 用意したのは、茹で野菜(ニンジン・キャベツ)、ひき肉、長ネギ、唐辛子、山椒、そして油です。

茹で上がった麺の上に、野菜、肉、ネギ、唐辛子と山椒のミックスを重ねます。付属のスープは周りにかけてみました

 材料を重ねて、最後に熱した油をかけてみます。ジュワッと音がして、ネギや山椒、唐辛子の香りが一気に立ちのぼり、かなり食欲をそそる匂い。

 食べてみると、スープや花椒、唐辛子などの味が幅広麺にきちんと絡み、パンチもあって、旨みも最高! つるつるした喉ごしで、香りも楽しめます。

油のおかげで、麺とスープがよく絡みます。

 油はこのビャンビャン麺を美味しくする最大のポイント。香りの出る食材(ネギと唐辛子、山椒)も必須。他にもいろいろチャレンジできそうです。たぶん普通に肉系のパスタソースも合うし、スープ麺に仕立てても楽しそうです。ぜひお試しあれ。

(撮影・文◎ナナノナノ)