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性的マイノリティに対する理解をうながす「LGBT理解増進法案」の今国会提出を求める「緊急声明」に賛同する弁護士・法学者の署名が、1285筆となった。

緊急声明は、与野党で合意のあった同法案に対し、自民党の保守系議員から反対の声があがり、今国会の提出を見送ったという報道を受けたもの。同性婚訴訟などに携わっている弁護士らが呼びかけ人となり、賛同者を募っていた。

呼びかけ人の一人である菊地裕太郎・前日弁連会長ら7人が6月8日、東京・永田町の自民党本部を訪れ、申し入れをおこなった。

しかし、自民党としては署名の受け取りを拒否。野田聖子幹事長代行ら4人の議員と面談するにとどまった。呼びかけ人である中川重徳弁護士は「自民党には国民の声をきちんと受け止め、与党としての役割を果たしていただきたい」と話している。

●たった2日間で1200筆超

緊急声明は、性的マイノリティの人たちの自殺率が高いことを指摘。人権救済や啓発を実効的におこなうための法律が存在しないとして、同法案の国会提出を求めている。

この緊急声明については、元最高裁判事の鬼丸かおるさんら23人の弁護士と1団体が呼びかけ人となり、6月5日から7日まで賛同を募ったところ、弁護士や法学者の署名1262筆(呼びかけ人のぞく)が集まった。

呼びかけ人らは6月8日、自民党本部を訪問して、野田幹事長代行や、法案に理解を示している三宅伸吾参院議員、宮崎政久衆院議員、井出庸生衆院議員と面談した。自民党には受け取りを拒否されたが、党内手続きが進むよう協力を求めたという。

菊地・前日弁連会長は同日の会見で、「この緊急声明に対して、たった2日間で即座にこれだけの方が賛同してくださったことに、この問題への憤りがあらわれています。法案は自民党の三役預かりで廃案ではない。理解を示してくれている議員たちと一緒にがんばりたいです」と語った。

●「法律ができれば紛争が減る」

会見では、元最高裁判事の鬼丸さんからのメッセージも代読された。

鬼丸さんは、性的指向や性自認に関して、日本では長くタブー視されてきたことを指摘。「この問題を国会や国民間で議論の対象から外すことなく、むしろ国民的議論を高め理解を深めるよう国民の代表者である国会は積極的に今回の法案を審議すべきと考えます」としている。

また、同法案には「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものである」とあったが、自民党内の保守系議員からは、「差別と明記すると訴訟が増える」などの否定的な意見があがっていた。

これについて、同性愛者に対する差別を争った「府中青年の家」事件を担当した中川弁護士は、「実態とかけ離れている」と反論した。「実際に提訴するまでには本当に大変で、何年もかかることもある。しかし、この法案が成立すれば(社会の理解が深まり)、紛争は減ると考えています」

今国会は6月16日まで。呼びかけ人らは引き続き、今国会の提出を求めていく。