「LGBT法案、今国会中に提出を」弁護士らが自民党に向けて声明 法律家の賛同募る
自民党が今国会での「LGBT理解増進法案」の提出を見送ったとの報道を受け、同性婚訴訟などに携わる弁護士らが6月5日、今国会中の提出を求める緊急声明を発表した。7日20時まで賛同する弁護士・法学者を募り、翌8日に自民党に提出する。
同法案は、性的指向や性自認を理由とした差別は許されない旨などを示した、いわゆる理念法で罰則はない。
法案自体は与野党で合意されているが、党内保守派から「差別だと訴える訴訟が増える」などの異論があり、自民党内では意見の集約に至っていない。
自民党内での会合では、一部議員から「LGBTは種の保存に背く」「道徳的にLGBTは認められない」などの発言もあったとされ、声明は次のように指摘する。
「当事者を傷つける発言が繰り返され、自民党内の手続が進まないという状態に、当事者はもちろん、家族、友人、アライ等多くの人々が傷つき、その理不尽に唇をかみしめています」
声明の呼びかけ人のひとりで、「府中青年の家」事件を担当した中川重徳弁護士は、取材に対し、次のように話した。
「差別が許されないというのは、政治的な立場や思想信条を超えて、多くの人の共通認識だろう。偏見に働きかけて、支持を得ようとする議員が一部見られるのが残念だ。
性的指向などによる差別はオリンピック憲章違反だし、6月は(LGBTの権利について啓発を促す)『プライド月間』でもある。現在、自民党の『三役預かり』になっているが、後ろ向きの声を克服し、法案を成立させることで責任を果たしてほしい」
今国会は6月16日まで。スケジュールは逼迫しているが、各党合意があれば、まだ間に合うとしている。
このほか、呼びかけ人には元最高裁判事の鬼丸かおる弁護士や前日弁連会長の菊地裕太郎弁護士らの名前もある。