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走行性能重視のコンパクトEV

text:Jack Warrick(ジャック・ウォリック)translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

クプラ・ボーンの市販モデルが公開された。152psから234psまでの出力を備え、最大540kmの航続距離を実現する予定だ。

【画像】スペインのEVホットハッチ【クプラ・ボーンとライバルを写真で比較】 全122枚

スペインの自動車メーカーであるクプラ初のEVで、親会社のフォルクスワーゲン・グループのMEBプラットフォームをベースとしている。ボーンは、ドイツにある同グループのツヴィッカウ工場で9月から生産を開始する。


クプラ・ボーン    クプラ

技術的にはフォルクスワーゲンID.3とほぼ同じで、デザイン的にも密接に関連しているが、クプラによれば、独自の「刺激的なデザインと瞬間的なパフォーマンス」を持ち、独特の「ダイナミックなキャラクター」を備えているという。

また、研究開発部門の責任者であるヴェルナー・ティーツは、グループの兄弟車と比較して、ボーンが独特のドライビング・エクスペリエンスを提供することを約束した。

「シャシー、ステアリング、パワートレインのチューニングに多くの時間を費やしてきました。DCC(ダイナミック・シャシー・コントロール)をESCスポーツと組み合わせ、車高をフロント50mm、リア10mm低くすることで、気持ちの良い走りを実現します」

「DCCは独自のアプリケーションで、さまざまな路面やコンディションで時間をかけて微調整を行いました。また、プログレッシブ・ステアリングと組み合わせることで、ダイナミックでスポーティなハンドリングを実現し、ダイレクトなレスポンスを実現しています」

最大航続距離は約540km

ボーンは、ハッチバックのレオンとSUVのフォーメンターに導入されたプラグイン・ハイブリッド車に続いて、クプラのラインナップに加わった最初の完全EVだ。

パワートレインは、リアに搭載した永久磁石式同期モーター(最高回転数1万6000rpm)と、シングルスピードのトランスミッションおよびディファレンシャルで構成されている。


クプラ・ボーン    クプラ

リチウムイオンバッテリーとモーターの組み合わせは、4種類から選ぶことができる。45kWh、152psのセットがエントリーモデルで、最大340kmの航続距離を持つ。その上には58kWh、207psのモデルが418kmの航続距離を誇る。

ID.3と同様に、最上位モデルには77kWhのバッテリーが搭載され、航続距離は540kmとなっている。234psのモーターが搭載されており、静止状態から100km/hまで6.6秒で到達する。

クプラによると、77kWhのバッテリーは、125kWの充電器を使って7分で100km分の航続距離を得ることができ、125kWの急速充電器による5〜80%の充電には35分かかるという。

また、家庭での充電には、クプラ専用の家庭用ウォールボックスが用意されており、新しいスマートフォンアプリ「Easy Charging」を使って操作することができる。

クプラ独自の攻めたデザイン

ボーンのサイズは、MEBベースのID.3とほぼ同じで、全長4322mm、全幅1809mm、全高1537mm、ホイールベース2767mmとなっている。しかし、シャープなLEDヘッドライトや、サメの鼻になぞらえた尖ったフロントエンドなど、よりパフォーマンスを追求したモデルであることがわかる。

クプラのデザイン責任者であるホルヘ・ディアスは、次のように述べている。


クプラ・ボーン    クプラ

「クプラ・ボーンのデザインは多面的なものです。外観をよりシャープにすると同時に、先進的な電動パワートレインの現代性を取り入れています。流れるような表面とテクニカルなディテールの組み合わせにより、敏捷性とパフォーマンスを表現する力強いクプラのキャラクターを実現しています」

また、グリップ力と安定性を高めるために、215mmのワイドタイヤを採用している(235mmもオプション設定)。このタイヤは、18インチから20インチのアロイホイールに装着されている。

12.0インチのインフォテインメント・タッチスクリーンは、全モデルに標準装備される。AR機能を備えたヘッドアップディスプレイ、フルデジタルのメータークラスター、タッチセンサー式のアイコンにより、主要な機能を操作することができる。アップル・カープレイとアンドロイド・オートも搭載されている。

クプラによると、インテリアでは環境負荷を軽減する素材を多く使っているという。例えば、バケットシートには、海洋プラスチックをリサイクルした糸が使用されており、ドアパネルにはリサイクルされたダイナミカ・マイクロファイバーが選ばれている。

電動化とパフォーマンスのマッチ

アダプティブ・クルーズコントロール、トラベルアシスト、交通標識認識、エマージェンシーアシスト、プリクラッシュアシストなど、複数のアクティブ・セーフティシステムを標準装備。さらに、ハイビームアシスト、トップビューカメラ、インテリジェント・パーキングアシストなどもオプションで用意されている。

クプラでは、ボーンが小型パフォーマンスEVとして、ライバルに差をつけることができると期待している。ヴェルナー・ティーツは次のように述べている。


クプラ・ボーン    クプラ

「クプラ・ボーンは、電動化とパフォーマンスが完璧にマッチすることを証明しています。これはゲームチェンジャーであり、妥協することなくCO2削減に貢献します」

英国での価格は2021年後半に発表され、2022年初頭に納車が開始される予定だ。ID.3よりも若干のプレミアムを見込んで、3万5000ポンド(約540万円)弱の価格でスタートすると思われる。