米国で大きく残高を伸ばすテーマ型ETFは、日本人の資産運用に今後どのようなメリットをもたらすのか、Global X Japan社の代表の金村昭彦氏(写真:左)に、投資信託評価機関モーニングスター代表の朝倉智也(写真:右)が聞いた。

写真拡大

 ETF運用は「株式市場全体に連動するインデックス」が主流である中、2019年9月に設立されたGlobal X Japan社は、「テーマ型ETF」を運用することで、「ETFの比較的抑制されたコストと、アクティブ運用的な要素の両立」を可能としている。米国で大きく残高を伸ばすテーマ型ETFは、日本人の資産運用に今後どのようなメリットをもたらすのか、同社の代表の金村昭彦氏(写真:左)に、投資信託評価機関モーニングスター代表の朝倉智也(写真:右)が聞いた。(2回シリーズの1)

◆急激な成長を見せるGlobal XのETF

朝倉:Global X Japanは、その筆頭株主であるGlobal Xは2008年にニューヨークで設立されており、Global X Japanは2019年9月に設立されております。日本市場への進出の経緯ならびに会社の特徴について、まずは教えていただければと思います。

金村氏:当社Global X Japanですが、ある意味非常に珍しい運用会社です。といいますのは、ETFに特化した運用会社ということで設立させていただいております。プロダクトは、米国のGlobal X社と共通しており、大まかに言いまして3つあります。1つ目がテーマ型。2つ目が高配当銘柄等に投資するインカム型。3つ目が、これはまだまだこれからですが、当社がコア型と呼んでおりますESGの観点等を織り込んだETFです。

 当社の筆頭株主のGlobal X社は昨年の2020年12月末の時点で、テーマ型ETF、インカム型ETF、コア型ETF、合算しまして79本のETFを運用しています。

 運用資産は、2兆円を超えています。後ほどご紹介させていただこうと思うのですが、2020年末に2兆円を超えた残高が、直近の数字ですと2兆7,000億円くらいと、急激な伸びを示しています。米国のGlobal X社が成長していく過程、そのノウハウや背景といったものを当社は活用して、パイオニアとして日本のETF市場に貢献できればと考えております。

朝倉:2兆円からあっという間に2兆7,000億というのは、すさまじい成長ですね。

金村氏:投資家の関心が投資信託からETFに移ってきているということが言えるかなと感じております。

朝倉:そういった意味では、このテーマ型ETFは非常に関心度が高いと思います。テーマ型投資というと、テーマ型投信、投資信託を思い浮かべる方もいらっしゃると思うんですけれども、テーマ型投信とテーマ型ETF、この違いを教えていただきたいと思います。

金村氏:テーマ型に限らず投資信託とETFの違いがまず土台としてございます。大きな違いというのは4つございまして、まず非常に簡単なのですが、投資信託は非上場である、かたやETFは指数があり取引所に上場している。これがまず最大の違いかと考えております。

 2番目としましては信託報酬です。大まかな表現になるのですが、ETFの信託報酬というのは比較的抑えられていると言えます。投資信託につきましては、最近ここ5年くらいでしょうか、主にネット証券向けで、非常に信託報酬が低いプロダクトも出始めているのですが、トータルして平均を取りますと、やはりETFのほうが抑えられていると言えると考えております。

 3つ目ですが、これは利便性に係る点です。投資信託は1日に1回基準価格が決定されるのに対して、ETFは取引所がオープンしている間はリアルタイムで取引価格が確認できるという大きな違いがございます。最後に、投資対象の開示です。投資信託の投資対象を完全に把握するというのはですが、ETFは全銘柄が開示されます。この4つが大きな違いかと思います。