乾燥を利用して「干し野菜」づくり。栄養価がアップし節約にも!
まだまだ寒い日が続く2月、湿度が低いこの時季に悩まされるのが「乾燥」問題。洗濯物はすぐに乾くという利点はあるものの、肌や髪がパサついたり、風邪などの感染症にもかかりやすいといわれ対策が欠かせません。
今回はさまざまな生活情報誌や暮らしにまつわる書籍の制作に携わる生活情報ライターの佐藤由香さんが、実践している湿度対策や、乾燥を利用した「干し野菜」づくりについて詳しくレポートしてくれました。
加湿をしても乾燥する時季。じつは「おうち干し野菜」づくりに最適!
取材で全国各地のお宅に伺っていると、住まいの問題と地域は、きってもきれない関係があると感じます。
たとえば、寒い地方では雪や石油ファンヒーターなど湿度を上げる条件がそろうため、カビ問題が深刻です。私も東北地方で暮らしたことがあるのですが、冬も驚くほどの湿度! 通気のよくないマンションだったため、北側の押し入れはカビと結露がひどく、紙類はしっとりと水分を吸い、衣装ケースは内側まで水滴がつくほどでした。
対して、冬の東京(太平洋側の地域)の問題は乾燥です。洗濯ものはよく乾く! が、暖房がきいた室内はカラカラ。家にいるときはよく温湿度計を見るのですが、冬晴れが続いた朝の湿度は「LL」という観測不能な表示になることも少なくありません。
部屋の大きさに合わせた加湿器を使い、置き場を工夫し、濡れタオルや洗濯ものを干しても、湿度30%前後しかないのはしょっちゅうです。
いろいろ試した結果、いちばん加湿効果があるのは「やかんにストーブ方式」。鍋に湯を沸かしてスチームを発生させることですが、ずっとコンロに火をかけておくわけにもいきません。スチーム式加湿器に買い替えるにも、今年は需要が高いようでどこも売りきれ状態です。
さて、どうしたものか、と考えた結果思いついたのが…「干し野菜」。
「そうだ、こんなに乾燥してるなら、いっそ干し野菜でもつくろうかな」
ふと思いついたアイデアですが、干し野菜は意外と簡単です。野菜を切って、ざるにのせて天日に当て放置するだけ。この乾燥した部屋なら、なにもしなくても勝手にどんどん水分が抜けてくれます。
また、干し野菜はメリットもたくさんあります。
・節約になる…野菜を使い残してもダメにならない
・長持ちする…切り干し大根のように乾物して保存できる
・おいしくなる…野菜のうまみが凝縮されて、濃い味に
・栄養価が上がる…よく知られているのはキノコ。日に干すことで、カルシウムの吸収を高めるビタミンDがアップ
干し野菜は一年じゅうつくれますが、今の季節なら下のような野菜がおすすめです。
・キノコ ・ニンジン ・ゴボウ ・レンコン ・大根 ・ネギ ・ショウガ ・柑橘類の皮
とくに今年はいつもの冬と違い、リモートワークでほとんど在宅。であれば、試さない手はありません! まずはベーシックに、エノキダケとミカンの皮で挑戦してみました。
<1日目>
なるべく重ならないようにざるに広げ、日中は窓ごしに日光を当てながら放置。
数時間たつと、エノキの先がだんだんしぼんできたのがわかります。よしよし、乾いてる!
<2日目>
夜はエアコンの風がかかる場所に置き、24時間後。もうセミドライになりました。
<3日目>
同様にしてもう一日干すと、すっかり水分が抜けて立派な干し野菜が完成! エノキダケはカラカラになって、ほぼ食物繊維という状態。ミカンの皮は、漢方の生薬に使われる「陳皮」風で、なかなかいい出来栄えです。
続いて挑戦したのは、野菜室でムダにしがちなショウガとミツバ。
丸1日経過した状態。
丸2日経過後。
ショウガはともかく、葉もの野菜はどうなんだろうと思いましたが、こちらは4日間の放置で水分が抜けきったよう。
スライスしたショウガはいい香りだし、ミツバは、カサカサしたフリーズドライのよう。キッチンばさみで切ったら、みそ汁の具などに使えそうです。
干した野菜は、保存袋などで冷蔵室保存がおすすめです(常温保存できますが、すぐ使わない乾物は冷蔵室のほうが劣化しくくなります)。ミカンの皮は刻んで香りを楽しんだり、水切りネットに入れて入浴剤代わりにもできます。
もともと大ざっぱな私は、「丁寧な暮らし」と言われることはたいていできないのですが、干し野菜づくりは大丈夫。むしろズボラ人間にぴったりで、リモートワークのいい気分転換になりました。
野菜がムダにならない、栄養がとれておいしくなる、といいこと尽くしの干し野菜。観察すると自由研究っぽさもあるので、子どもと一緒に遊び感覚で試してみるのも楽しいですよ。
生活情報ライター。1968年埼玉県生まれ。編集プロダクションを経て、2011年に女性だけの編集ユニット「シェルト・ゴ」を立ち上げる。料理、片づけ、節約、家事など暮らしまわりに関する情報を中心に、雑誌や書籍で執筆。
今回はさまざまな生活情報誌や暮らしにまつわる書籍の制作に携わる生活情報ライターの佐藤由香さんが、実践している湿度対策や、乾燥を利用した「干し野菜」づくりについて詳しくレポートしてくれました。
加湿をしても乾燥する時季。じつは「おうち干し野菜」づくりに最適!
激しい乾燥は「おうち干し野菜」づくりにぴったり。完成までを詳しく実況!
取材で全国各地のお宅に伺っていると、住まいの問題と地域は、きってもきれない関係があると感じます。
たとえば、寒い地方では雪や石油ファンヒーターなど湿度を上げる条件がそろうため、カビ問題が深刻です。私も東北地方で暮らしたことがあるのですが、冬も驚くほどの湿度! 通気のよくないマンションだったため、北側の押し入れはカビと結露がひどく、紙類はしっとりと水分を吸い、衣装ケースは内側まで水滴がつくほどでした。
対して、冬の東京(太平洋側の地域)の問題は乾燥です。洗濯ものはよく乾く! が、暖房がきいた室内はカラカラ。家にいるときはよく温湿度計を見るのですが、冬晴れが続いた朝の湿度は「LL」という観測不能な表示になることも少なくありません。
部屋の大きさに合わせた加湿器を使い、置き場を工夫し、濡れタオルや洗濯ものを干しても、湿度30%前後しかないのはしょっちゅうです。
いろいろ試した結果、いちばん加湿効果があるのは「やかんにストーブ方式」。鍋に湯を沸かしてスチームを発生させることですが、ずっとコンロに火をかけておくわけにもいきません。スチーム式加湿器に買い替えるにも、今年は需要が高いようでどこも売りきれ状態です。
さて、どうしたものか、と考えた結果思いついたのが…「干し野菜」。
●部屋で野菜が干せるかも!?いいことづくしの「干し野菜」
「そうだ、こんなに乾燥してるなら、いっそ干し野菜でもつくろうかな」
ふと思いついたアイデアですが、干し野菜は意外と簡単です。野菜を切って、ざるにのせて天日に当て放置するだけ。この乾燥した部屋なら、なにもしなくても勝手にどんどん水分が抜けてくれます。
また、干し野菜はメリットもたくさんあります。
・節約になる…野菜を使い残してもダメにならない
・長持ちする…切り干し大根のように乾物して保存できる
・おいしくなる…野菜のうまみが凝縮されて、濃い味に
・栄養価が上がる…よく知られているのはキノコ。日に干すことで、カルシウムの吸収を高めるビタミンDがアップ
干し野菜は一年じゅうつくれますが、今の季節なら下のような野菜がおすすめです。
・キノコ ・ニンジン ・ゴボウ ・レンコン ・大根 ・ネギ ・ショウガ ・柑橘類の皮
●2〜3日でいい感じに乾燥。「干しエノキ&ミカンの皮」観察レポート
とくに今年はいつもの冬と違い、リモートワークでほとんど在宅。であれば、試さない手はありません! まずはベーシックに、エノキダケとミカンの皮で挑戦してみました。
<1日目>
なるべく重ならないようにざるに広げ、日中は窓ごしに日光を当てながら放置。
数時間たつと、エノキの先がだんだんしぼんできたのがわかります。よしよし、乾いてる!
<2日目>
夜はエアコンの風がかかる場所に置き、24時間後。もうセミドライになりました。
<3日目>
同様にしてもう一日干すと、すっかり水分が抜けて立派な干し野菜が完成! エノキダケはカラカラになって、ほぼ食物繊維という状態。ミカンの皮は、漢方の生薬に使われる「陳皮」風で、なかなかいい出来栄えです。
●冷蔵庫で余りがちな、ミツバとショウガも干して使いきり!
続いて挑戦したのは、野菜室でムダにしがちなショウガとミツバ。
丸1日経過した状態。
丸2日経過後。
ショウガはともかく、葉もの野菜はどうなんだろうと思いましたが、こちらは4日間の放置で水分が抜けきったよう。
スライスしたショウガはいい香りだし、ミツバは、カサカサしたフリーズドライのよう。キッチンばさみで切ったら、みそ汁の具などに使えそうです。
●干し野菜は保存袋で冷蔵保存がおすすめ
干した野菜は、保存袋などで冷蔵室保存がおすすめです(常温保存できますが、すぐ使わない乾物は冷蔵室のほうが劣化しくくなります)。ミカンの皮は刻んで香りを楽しんだり、水切りネットに入れて入浴剤代わりにもできます。
もともと大ざっぱな私は、「丁寧な暮らし」と言われることはたいていできないのですが、干し野菜づくりは大丈夫。むしろズボラ人間にぴったりで、リモートワークのいい気分転換になりました。
野菜がムダにならない、栄養がとれておいしくなる、といいこと尽くしの干し野菜。観察すると自由研究っぽさもあるので、子どもと一緒に遊び感覚で試してみるのも楽しいですよ。
【佐藤由香さん】
生活情報ライター。1968年埼玉県生まれ。編集プロダクションを経て、2011年に女性だけの編集ユニット「シェルト・ゴ」を立ち上げる。料理、片づけ、節約、家事など暮らしまわりに関する情報を中心に、雑誌や書籍で執筆。