ミロ「爆売れ」余波で競合製品も好調 「増産計画を組んでいる」社も
ネスレ日本の麦芽飲料「ネスレ ミロ」(以下、ミロ)が急激な需要増加を受けて販売休止となる中、「競合飲料」に注目が集まっている。
ロート製薬と森永製菓の広報担当者は、今回のブームの余波で、ミロと競合する飲料の売り上げが伸びたことを、J-CASTニュースの取材に対して明かした。さらなる需要増加を見込み、「増産計画」を組んでいるものもあるという。
「鉄分を気軽に補給」SNSで話題になったミロ
ココア味の麦芽飲料の「ミロ」は緑色のパッケージで知られる。本来は「子どもの成長に必要な栄養素をしっかり」という商品コンセプトのもと、成長期の子どもの栄養補給に役立つことを目的としている栄養機能食品だ。今年夏には、貧血に悩まされるSNS上の女性の間で「鉄分が気軽に補給できる」と話題に。大きく売り上げを伸ばした。
しかし、急激な需要増加に供給が追い付かず、20年9月末には「ネスレ ミロ オリジナル 240g」の販売を一時休止。11月16日から出荷を再開したものの、ネスレ日本は12月8日のニュースリリースで「前年比で約7倍(数量ベース)のご注文が続き、供給計画をはるかに上回った」とし、同日から再度販売休止となった。同社は「十分な供給体制を整えるのに時間を要します」としており、販売再開は21年3月以降になる見通しだという。
ミロの販売休止を受け、ツイッター上では「マジかよ再開したと思ったのに...」「これから朝ごはんはどうすればいいんだ」とショックの声が広がった。一方で、フリマアプリ「メルカリ」などではミロが高額で販売されている例も確認でき、「今度はミロが転売ターゲットっすか」「本気でやめてほしい」と嘆く声もある。
「ミロがなければセノビックを...」「ミロではなくセノビー派」
そんな中で脚光を浴びているのが、ミロと同じ栄養機能食品でココア味の競合飲料だ。
例えばロート製薬の「セノビック」は、ミロと同じく成長期の子どもをターゲットにした飲料シリーズ。20年10月29日には新商品「セノビックPlus」を発売し、ミルクココア味やカフェオレ味など5フレーバーを展開している。また、森永製菓は「成長期サポート」を掲げたココア「セノビー」と、大人向けココアの「ホネグッド」を販売。いずれの商品も「1杯で1日分のカルシウムが摂取できる」ことを売りにしている。
今回のミロの販売休止を受け、ツイッター上では、
「ミロがなければセノビックを飲めばいいじゃない」「我が家はミロではなくセノビー派」
とこれらの「代替商品」への注目が集まったのだ。
「セノビック」や「セノビー」「ホネグッド」といった商品は「ミロ」よりもやや割高だが、グラム当たりの鉄分量はミロよりも多い。また、ミロと価格が近い競合製品として森永製菓の栄養機能食品「牛乳で飲むココア」(200グラム)もあり、こちらにもカルシウムや鉄分が含まれている。
「ココア飲料を扱うメーカーとしてありがたいこと」
実際に「ミロブーム」の影響を受け、売り上げを伸ばした製品もあるという。ロート製薬の広報担当者は12月9日、J-CASTニュースの取材に対し、「セノビック」の売り上げについて「店頭商品に関しては、11月頃から出荷個数も伸びており、おそらくミロブームの影響とみています」と回答。「いまのところは販売休止の予定はありません」としつつも、「増産などは販売状況をみて対応していく予定」とした。
また、森永製菓の広報担当者も「牛乳で飲むココア」が前年比120%の売り上げを記録したと明かす。現在は「増産計画を組んでいる」段階だとした。
2社は今回の「ミロブーム」をどう受け止めているのか。広報担当者はこう語った。
「コロナ禍で健康志向が高まっている影響もあり、食事感覚で手軽に補給できることも受け入れられているのかな、と感じています」(ロート製薬の広報担当者)
「子供が飲む物というイメージの強いココア飲料に、大人の方々にも着目してもらえたということは、ココア飲料を扱うメーカーとしてありがたいことだと思っています」(森永製菓の広報担当者)