プジョーブランド初受賞! 輸入車No.1に選ばれたプジョー新型「208」ってどんなクルマ?

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同じボディで同時に登場したガソリンエンジン車「208」とEV「e-208」

 2020年12月7日、第41回目となる「2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー」がオンラインでの選考結果発表会が開催された。

 大賞となるイヤー・カーに輝いたのは、スバルの「レヴォーグ」となった。そして、輸入車が対象のインポートカー・オブ・ザ・イヤーには、プジョー「208/e−208」が選ばれた。

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 プジョーが日本のこうした賞を獲得するのは、初めてのことになる。また、プレミアムを謳わないブランドが、インポートカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれるのもめったにないことだ。

 そこで、今回は新しいプジョー208/e-208は、どのようなモデルなのかを振り返り、そして、どんなところが評価されたのかをチェックしてみよう。

2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーのインポート・カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたプジョー「208」「e-208」

 今回、インポートカー・オブ・ザ・イヤーに選出された新型208/e-208が日本で発売されたのは、2020年7月2日だ。

 ちなみに、今回のフルモデルチェンジで、2から始まる3ケタ数字の「20X」シリーズは第9世代となる。そのため本来であれば209と名付けられるのがスジだが、プジョーは208の名前のまま更新しないこととしている。これは上位モデル「308」「508」も同様だ。

 新型208の特徴は、プラットフォームを一新したこと。CMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)と呼ぶ、新しいプラットフォームの特徴は、ディメンジョンとパワーユニットに関して、高柔軟性を持つこと。同じプラットフォームで、エンジン車と電気自動車(EV)を作り分けることを可能としたのだ。

 そのため今回のフルモデルチェンジで、エンジン車の208と、EVであるe-208が同時に発売となった。ちなみに、プジョーは「パワートレインのチョイスで専用デザインを選ぶ時代ではない」と、エンジン車とEV車のデザイン、装備、居住空間・荷室までを同じにしているのだ。つまり専用デザインではなく、ボディは208のままエンジン車もEVも選べるようになった。

 ちなみにエンジン車の208に試乗したところ、低速トルクが太い、低回転型のエンジンキャラクターとなっていた。静粛性が高いこともあり、まるでEVのような乗り味だったのには驚かされた。エンジン車とEVで乗り味まで似させようとしているように感じた。

 そして、次なる特徴はデザインだ。

 新しいプラットフォームを使うことで、ボディのデザインも一新された。目を引くのはAピラーの位置が後退したこと。先代208はAピラーが前進したモノフォルム的なエクステリアであった。それが新型では、スタンダードなスタイルに近づいている。

 とはいえ、ボディラインは抑揚があり、力強さがある。これは2015年のフランクフルトモーターショーで発表された「FRACTAL Concept」にインスパイアされたデザインだという。

2015年のフランクフルトモーターショーで発表された「FRACTAL Concept」

 インテリアのデザインも特徴的だ。

 先代でも採用されていた、小径ハンドルとその上から覗くメーターという「i-Cockpit(iコックピット)」コンセプトは継続採用され、さらに進化している。なんとメーター表示をカラーの3次元表示とする「3D iコックピット」となった。メーター内にスピード表示などが奥行ある2層に表示される風景は、一見の価値があるだろう。

 また、先進運転支援システムの充実ぶりも特徴だ。自動車、二輪車、歩行者を夜間まで検知する衝突被害軽減自動ブレーキ「アクティブセーフティブレーキ」をはじめ、ストップ&ゴー機能付きのACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)や、ステアリングアシスト機能付きの「レーンポジショニングアシスト」なども用意。先進運転支援システムの普及が進んでいる日本車と遜色ない内容となっているのだ。

60名のCOTY選考委員は208のどこを評価したのか

 そんな新型208/e-208ではあるが、日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、いったいどのような部分が評価されたのだろうか。

プジョー「e−208」の走り

 公式サイトにある受賞理由には「クラスを超えた上質な乗り心地と、ドライバーの意のままにライントレースするハンドリングが秀逸」「フランス車らしい内外装の高いデザイン性と精緻な作り込みも魅力」「発進時から豊かなトルクを発揮しガソリン車同様のフットワークを持ちながら、400万円を切る車両価格のEVモデルを選べる」とある。

 つまり、走りが良く、デザインが良く、手ごろな価格のEVであるという点が評価されたようだ。

 ちなみに、60名からなる選考委員のうち、プジョー208/e-208に満点の投票が4名。1点から7点の何かしらかの点数を与えたのが36名。つまり、60名中40名が208/e-208に点を投じたことになる。

 幅広い選考委員から点を獲得できるたのは、それだけ実力が高いことの証明となるだろう。総合では、1位「レヴォーグ」(437点)、2位「フィット」(320点)、3位「ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス」(300点)に次いで、「208/e-208」(141点)が4位となった。5位の「ディフェンダー」(105点)の36点の差は、それなりに大きなものといえるだろう。

 デザイン、走り、EVの存在。まさに208/e-208ならではの特徴が評価されたのだ。

 1999年から導入された3世代前のコンパクトカー「206」は、日本で大ヒットを記録した。

プジョー新型「208」のインパネ「3D iコックピット」。ハンドルは小径かつ異型タイプ

 206の登場後のプジョーの日本での年間販売は、1万台を超えるようになる。2003年は1万5330台の販売を記録。これは、いまなお抜かれていないプジョーの過去最高の記録だ。

 新型208/e-208には、それを超えるヒットを期待したい。2019年は、208がなくとも年間1万626台を記録。さらに2020年は、コロナ禍でも10月からは前年比プラスで推移している。まさに好調だ。

 この調子でいけば、2021年に過去最高を更新できる可能性は高い。2021年のプジョーの販売には要注目だ。