任期満了に伴い今月15日に投開票が行われる宇都宮市長選挙。県都・宇都宮市でも人口減少対策は喫緊の課題で、市のリーダーはそれにどう対応していくのか重大な役目があります。

選挙の争点の1つである次世代型路面電車「LRT」と合わせて工事が進められているJR宇都宮駅東口地区の整備事業についてポイントをまとめました。

人口減少や高齢化社会に向けた対策の柱として宇都宮市が進めている新しい公共交通、次世代型路面電車「LRT」。

市は新たな移動手段を加えることで市民生活や経済活動の活性化に大きな効果があるととらえています。

開業は2022年3月の予定で、JR宇都宮駅東口から芳賀・高根沢工業団地までのおよそ14.6キロを優先整備区間として工事を進めています。

整備費用は、国が半分を支援し総額およそ458億円にのぼります。なぜ市は、ここまでの大規模事業を進めるのか。

超高齢化社会を見据え、都市機能を集約する「ネットワーク型コンパクトシティ」構想で、公共交通を組み合わせて空白地域の解消を目指しているからです。

しかしLRT事業は、市長選挙の度に賛成と反対で激しい論戦が繰り広げられてきました。

平日1日あたりに利用する需要予測について、市の試みの計算ではおよそ1万6300人で、需要が定着するとみられる開業4年目には年間およそ1.5億円の黒字を見込んでいます。

しかし新型コロナウイルス感染拡大で企業はテレワークを進めるなど予測通りに行くか懸念材料もあります。

LRTの工事に合わせて市は、JR宇都宮駅東口地区の再開発事業をスタートさせました。

この事業は市と企業グループが共同で駅前のおよそ2.6ヘクタールの土地に商業施設と高度専門病院、2つのホテル、コンベンション施設、高層マンションなどを建設し新たな都市拠点として整備しようというものです。

しかし高級ホテルの進出が計画されていた複合ビルの1つは、新型コロナウイルスの影響でホテル側の資金調達の困難やインバウンド需要の不透明さから収支の見通しが立たず建設が延期されています。

事業費はおよそ455億円、工事がおおむね完了する2022年11月以降は人を呼ぶための運用が課題です。

一方で駅の西側の再開発も大きな課題です。LRTも5つの区間で整備が検討されています。

中心部の商店街の活性化に取り組む団体は東西が合わせて発展していくことを望んでいます。       

去年5月には、若者向けのファッションビル「宇都宮パルコ」が撤退するなど中心部の空洞化が進み、人をどうしたらとどめられるのか頭を悩ませてきました。

LRTの整備継続か一時凍結か、舌戦は激しさを増しています。