2017年3月、那須町で登山講習中だった大田原高校の生徒と教諭8人が死亡した雪崩事故で、当時高校1年生の息子を亡くした母親が5日、新規採用の教諭に向けて当時の状況や危機管理の大切さを伝えました。

講話したのは那須の雪崩事故で当時16歳の淳生さんを亡くした母の郄瀬 晶子さんです。

新規採用された教員向けの危機管理研修で毎年、事故の教訓を伝えています。

郄瀬さんは、涙で声を詰まらせながら事故が起きた当日、病院で冷たくなった息子と対面したときのことや、その後、心と体のバランスを崩したことなど、つらい胸の内を語りました。

郄瀬さんは、事故が起きた登山講習会の引率教諭の説明を聞いて「職務の怠慢」を感じたといい、不備がたくさんあり事前に準備すべきことをしていなかったと指摘しました。

そのうえで東日本大震災の津波で多くの児童と教諭が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校の事例にも触れながら「絶対」というものはなく、物事の本質についてひとつひとつ疑問をもちながら丁寧に考えてほしいと訴えました。