30代独身の僕らに圧倒的に「欠けているもの」
独身アラフォー男性に必要なものとは……(写真:Graphs/PIXTA)
ランニングやサウナに行った後に、ラーメン屋で一息……。孤独ではないし、日々に満足はしているけれど、人生に何か「物足りないもの」がある。そして、それが何かも実はハッキリしている。月間100万PVのブログ「ハッピーエンドを前提として」を運営するライター、ウイ氏もそんな1人のようだ。独身アラフォーであるウイ氏の胸の内を、著書『エンドロールのその後に さえない僕らの恋愛に 幸せな結末を』にこめたメッセージをもとに書き下ろした。
独身アラサーアラフォーは孤独に強い?
緊急事態宣言が明けたばかりの週末、人もまばらな街を友人と駅まで歩きます。ふと目に入ってきたのはラーメン屋さん。ガラス越しに見える店内はなんと満員でした。そして、お客さんのほとんどがYシャツにスラックス、革靴のサラリーマンだったのです。
スマホをいじりながらラーメンを待つ人、まずはビールで喉を潤す人、すべて食べ終わって満足そうに水を飲む人。そのほとんどがお一人様です。でも、それは決して特別な光景ではなく、週末となればどこの街のラーメン屋でも見られる光景。
「男性って圧倒的にこういう『孤独』に対して強いですよね」
その様子を見た友人の女性の言葉です。
「独身のアラサーアラフォーって基本的に孤独じゃないですか。その孤独に対して、男性のほうが耐性があるように感じるんですよね。多くの女性はLINEとか女子会とかSNSで感情を共有しないと生きていけない。でも、男性は淡々と、よく言えば平穏、悪く言えば退屈な毎日を顔色変えずに過ごすことができているような気がするんです」
たしかにそうなのかもしれません。朝、決まった時間に起きて、仕事に行って、帰ってきて、寝る。週末には掃除や洗濯をして、趣味に時間を使ったり、好きなだけ眠ったりする。日曜の夜は少し憂鬱になり、月曜日になれば働きに行く。友人とLINEで長々と雑談をすることは皆無。SNSでちやほやされることもない。
そんな変わり映えのない毎日の中、おのおのがマンガや釣りや映画やゲームやキャンプやランニングや週末のラーメン屋で飲むビールなど、手が届く範囲で十分な楽しみを得ている。そして四季のどこかで誕生日が必ず1回やってきて、物音1つ立てずに静かに年齢を重ねる。
こうやって文字にすると寂しい感じが出てしまいますが、周囲のアラフォーの男性や週末のラーメン屋のお一人様を見てみてください。1週間淡々と仕事して、週末はラーメンを食べて家に帰る。きっと来年も再来年も同じような日々を送っている。その様子は、まるで孤独に生きることや、この先数年同じような生活を送り、いつか1人で死ぬことすら受け入れているようにも見えませんか。決して大げさでなく、本気で言っています。
多くの人にとって「手に入れたいもの」
僕だってその1人です。僕は今年38歳になりました。結婚の経験はなく、恋人もいません。2年前に会社を辞めてフリーランスになってからは人との接触がさらに減りました。生きていくために毎日仕事をして、食べて眠る生活です。楽しみは銭湯で入るサウナとキャンプくらいです。多くの時間を1人で過ごします。孤独です。でも、今の生活に不満はなくて、正直に言えば「孤独だけどとくに問題はない」と思っています。
きっと僕と同じような方がたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。でも、この生活を手放すくらいなら一生このままでいいと思っているかと問われれば、決してそうじゃないですよね。ここに独身アラフォーのジレンマがあるのです。
たしかに、昨日と変わらぬ今日を、今日と変わらぬ明日を淡々と生きているのかもしれない。死に向かって。でも、それを本当に受け入れている人なんかいない。孤独と上手に付き合いながらも受け入れる気なんか毛頭ない未来だってある。その未来で手に入れたいものだってある。そして多くの人にとってその「手に入れたいもの」は一緒に過ごすパートナーではないでしょうか。
どうってことない顔して生きているけど、心のどこかでは誰かと生きることを望んでいる。でも、積極的に恋愛をするために出会いの場に行っているかといえばそうじゃない。この「結婚は諦めていないけど恋愛に積極的になれずに日々を淡々と過ごしている層」がいちばん多いのではないかと思います。
恋愛をしようと思うと真っ先に壁になるのは「出会い」です。これはどの年代も壁になりますが、われわれアラフォーには20代や30代に比べるとより高い壁となります。
出会いの場の選択肢が少ない
まず、同じ世代の独身の友達がいなくなるからです。合コンに行きたくても誘われないし、仮に誘われても連れていける人がいない。それじゃあマッチングアプリを始めようかと思っても、自分より若い人たちが多そうで気が引けてしまう。結婚相談所に行けば誰かしら紹介してもらえることは知っているけど、そこまで本腰を入れられない。こうやって選択肢が少なくなってしまうのです。
では、マッチングアプリや合コンにも結婚相談所にも行けない人はどうやって出会うのか。アラフォーが行ってもいい出会いの場とは? いくつかあります。
1つ目はワークショップなどの「趣味や習い事」をベースとしたコミュニティーです。好きな本を持ち寄り紹介する読書会、好きな映画をお勧めし合う映画会、ランニングや料理や楽器やアウトドアやボードゲームまで。僕たちは何かしら趣味があるはずです。もしくは興味があることがあるはずです。
こういった趣味の延長であるワークショップや習い事であれば、マッチングアプリやお見合いのような「はい恋愛して!」という雰囲気がありませんので出会いを見つけることができるはずです。
2つ目はオンラインサロンです。僕自身、オンラインサロンのオーナーなのですが、1年間でオフ会を東京、大阪、名古屋で約30回開催しました。オフ会に集まる人たちの共通点は「僕の書籍や文章に共感をしてくれている」というだけ。それだけの共通点で年齢も職業もバラバラの人が毎回集まります。こういった場も合コンのような「今から恋愛をしましょう」というムードではありませんので自然に出会えるはずです。
探せばいくらでも出会いの場はあるのです。
独身アラフォーに必要なもの
僕たちアラフォーが恋愛をするにあたっていちばん大事なこと。それは「思い込みを排除する」ことです。その思い込みとは「大人なんだから恥ずかしいことはできない」という思い込みです。例えば自分よりも随分年下の人を好きになって、告白する。もちろんフラれる可能性もあるわけで、それは恥ずかしいことという思い込みが強く、積極的に恋愛できない人が多いのです。
気持ちはわかります。僕だってフラれたくないし、傷つきたくない。たぶん、今フラれたら一生立ち直れないくらい傷つくと思う。でも、これもすべて思い込みです。恋愛はいつだってダサくてみっともないものなのです。これまでだってそうやって恋愛してきたはずです。
僕たちは大人になって、経験値ばっかり増えちゃって、世の中のありとあらゆる物事に対して慎重になってしまっています。傷つかないように、恥をかかないように、焦らず、走らず、踏み込まず、いつだってクールに。それが大人の世界だし、そうでもしないとやっていけない。でも、それじゃダメなときがあるみたいです。
何でも効率化、最適化するような時代で、いつだって恋愛はアナログで人間味丸出しのものなのです。ダサいことを言ったり、傷ついたり、泣いたり、怒ったりしながら、本音を自分の言葉で伝えること。そうでもしないと、伝わらないことがたくさんあるみたいです。口説けない人がいるみたいです。
独身のアラフォーに必要なのは人間味丸出しの恋愛なのかもしれません。やってみましょう。ダサくてもいいから、人間味丸出しの恋愛を。このままラーメン食いながら死んでたまるかってんだよ。