コロナ禍で「働き方」はどう変わったか? ――Spring転職エージェント責任者に聞く「これからの転職」のカギ
新型コロナウイルスの感染拡大は、世の中のあらゆることを変えてしまった。身近な人との関わり方やスポーツ、レジャー、食事。そして「働き方」も大きく変わったことのひとつである。緊急事態宣言中に導入が一気に進んだ“リモートワーク”は今も多くの企業で継続され、飲食業や観光業など業績が厳しい状況に置かれている業界も少なくない。

そうした中で、先行きに不安を感じて転職を考えている人もいるだろう。果たして、コロナ禍の“転職市場”はどうなっているのだろうか。アデコグループの人材紹介事業ブランドとして転職・採用支援を行っている、Spring転職エージェントのトップである板倉啓一郎さんに話を聞いた。

「確かに、いろいろなことが大きく変わりましたね。転職市場もそうですが、社内を見てもすごく実感しています」

こう話す板倉さんだが、実はリモートワークについて、アデコグループはかなり先進的。3年ほど前から全社でリモートワークを導入していたという。

「Spring転職エージェントでは平均すると週1回程度でしたが、例えば小さい子どもがいる社員などにはかなり積極的に利用してもらっていました。そこへ新型コロナウイルス感染症の拡大が起きました。我々は今年の2月半ばから一斉にリモートに切り替えたので、4月に緊急事態宣言が出た頃にはリモートの働き方にもかなり慣れていたと思います」



働き方が、「メンバーシップ型」から「ジョブ型」に

そこで板倉さんが実感したのが、働き方の急速な変化だ。長い間、日本企業では、終身雇用を前提として、年齢や勤続年数に応じて役職や賃金が上がっていく年功序列のいわゆる「メンバーシップ型雇用」が主流となっていた。

しかし、労働力人口の減少にともない、任された役割とその役割における成果で評価をする「ジョブ型雇用」への移行がだんだんと進んでいたところ、新型コロナウイルスがきっかけとなってリモートワークが拡大し働き方が一変するなど、従来の日本型雇用からの変化が加速することになった。

一方、最新の転職市場については、板倉さんは次のように分析する。

「転職市場の動向でいえば、米中摩擦の影響が長引いているところへコロナがあり、求人倍率の数字は前年から比べるとかなり下がりました。また、企業側も転職者も、選考の最終段階で慎重になるケースが増えています。企業は役員面接の段階で見送りとなり、転職者も最終的にオファーが出ても断ってしまう。最近の転職市場のひとつの傾向だと言えるでしょう」

この傾向は、企業側・転職者ともに先行きへの不安感が強いことが背景にあるのではないかと板倉さんは見る。

また、転職市場の動向には、コロナ禍で促進されたジョブ型への移行という「変化」も大きく関わってくるという。

「ジョブ型への移行は大きいですよね。企業側が求める人材が、今まで以上により専門性のある人材にフォーカスされていく。ジェネラリストよりもエキスパートのほうが求められるようになっていく傾向はますます強くなっていくでしょう」



コロナ禍の変化で「求められる人材」とは?

エキスパートという点では、圧倒的にIT系の人材に対するニーズが多い。コロナ禍で求人倍率が下がる中でも、IT系職種はむしろ求人倍率が増えている傾向が見られる。これはIT系企業に限らず、さまざまな業界からIT人材が求められていることの裏返し。そこで板倉さんが率いるSpring転職エージェントでも、IT人材の紹介をさらに強化していくという。

「まだまだIT人材が不足しているのですが、需要が多ければスキルを身に着けた人材も増えていくだろうと考えられます。だからひとつの先行投資ですね。IT人材だけではなく、他の職種でもエキスパートのニーズはこれからどんどん増えていくでしょう。たとえばバックオフィス系だと法務や、財務・経理などの分野で専門性を持っている人材に対する需要は大きい。人事でも、これからは新しい働き方が広がっていくでしょうから、そこに精通している専門性が求められることになるでしょう。こうした傾向は、特定の業界に限らないものだと思います」

逆に言えば、ジェネラリスト、すなわち特定の専門性を持たない人材は、今後希望するような形での転職を実現することが厳しくなっていくのではないかとも言える。こうした状況での転職にあたっては、自分自身の「キャリアビジョン」を明確にすることが大切になるのだ。板倉さんは、「いつ転職するべきか、ひと言でこれというのはなかなか難しい」とした上で、「やりたい仕事に対して自分がスキルを持っているのかどうかを見極めることが大切」と話す。

「今までは人手不足で売り手市場という状況も手伝って、多少スキルがマッチしなくても採用されたし給料も上がった。でもそういう時代は終わりました。やりたい仕事があって転職をしたいと思っても、そのためのスキルが自分に不足しているならばまずはスキルアップをしていくことが大切になります。つまり、単に転職というよりはキャリアビジョンをはっきりさせて、計画的に専門性を身に付けていくほうがいい、ということです」


「Spring転職エージェント」は、世界26カ国にオフィスを構え、合計1,500人以上のコンサルタントを擁する


転職に際しては「ライフビジョン」の明確化も成功のカギに

さらに、キャリアだけではなく「ライフビジョン」。つまり、仕事以外の部分も含めてどのような人生を送っていきたいかも含めて考える必要がある。まず何よりも仕事を優先させるのではなく、家庭などプライベートの充実が仕事にも好影響を与えることは、今回のコロナ禍で多くの人が実感したことのひとつだろう。

今までの「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」への移行が進んでいくことを前提として専門性を身に着け、そして「ライフビジョン」を明確化することがこれからの転職には必要になる。

「これまで仕事一筋という人も、コロナ禍でひとりひとりが仕事だけではなく家庭も省みるようになって、さらに自分自身を見つめる時間も増えた。ですから、仕事だけでなく生活全体を踏まえて考えることが重要になっていくでしょう。これはもちろん企業側も同様で、今までのような採用活動ではなかなかいい人材を見つけていくことはできなくなるかもしれません」

「360度式コンサルティング」・職種別コンサルタントのメリットは?

板倉さんが率いるSpring転職エージェントでは、以前より“ジョブ型”の転職支援を展開してきた。まさに時代が追いついてきたのだ。

「Spring転職エージェントでは『360度式コンサルティング』といいまして、1人のコンサルタントが転職希望者のキャリアコンサルティングと企業の求人開拓の両方を担当するやり方を導入しています。こうすることで、コンサルタントが人材と企業の双方を深く理解したうえで紹介できるので、精度が格段に上がります。また、我々は『職種別専門部門制』という体制をとっています。各コンサルタントが担当する職種に精通することで、より深いニーズを把握できます。そもそも企業が求人をかけるときは職種で募集しますから、この方が理にかなっているんです。この『360度式コンサルティング』と『職種別専門部門制』が非常にうまく噛み合い、満足度も大きく向上しました」


コンサルタントが職種ごとの転職マーケットを理解しているから、企業・求職者双方と深いやり取りが可能となる


企業側からすれば、「自社の担当者」という窓口的な存在がなくなり、職種ごとに複数人とやり取りをすることになるわけだが、求める人材とのミスマッチが少なくなったと高く評価されているという。

「コロナ禍でジョブ型への移行が進みましたが、こうした傾向はコロナ以前からありました。コロナはむしろその流れを加速したに過ぎません。ワークライフバランスの重視もそうで、今までの変化の傾向が顕在化しつつあるのが現状の働き方の変化だと言えます」

「リモートの時代ですから、転職活動の面接もオンラインで行われることがかなり多くなっています。最終面接以外は全てオンラインで、という企業も多いですね。オンライン面接は、若手の方の方が上手ですね。自撮り文化があるというか、カメラを見て喋るのに慣れているように見えます。オンライン面接にはどうしても慣れが必要ですし、リアルとは違った言葉のキャッチボールの仕方、画面への映り方、背景や音といった環境への気配りなど、オンラインならではの注意する点も多い。当社では照明の当て方や喋り方などのコツをはじめ、テクニカルな部分のアドバイスもしていますので、転職を考えている人はぜひ一度Spring転職エージェントに相談していただきたいですね」



この半年間で一気に進んだといえる“働き方”の変化とそれに伴う転職事情の変化。今後も転職市場そのものが上向きになるかというと、しばらくは厳しい状況が続くだろう。しかし、そんな環境も高い専門性をもった人材へのニーズが減ることはなく、むしろ高まる可能性も十分にある。あらゆることが変わってしまった今だからこそ、変化を踏まえたキャリア開発と転職活動が欠かせないのかもしれない。

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