「トレードへ!」大谷と明暗分かれた阪神・藤浪にエモやんが檄
2014年7月19日、プロ野球オールスター戦で握手をする大谷(左)と藤浪
藤浪晋太郎(26)と大谷翔平(26)ーー。
ともに高校野球で注目を集め、2013年、藤浪は阪神に、大谷は日ハムにドラフト1位で入団した。将来を大いに期待された存在だったが、その後の明暗ははっきりと分かれている。
大谷は2020年シーズン、打撃不振に苦しんでいるものの、米大リーグ・エンゼルスの看板選手になっている。一方の藤浪は入団4年め以降、成績が急降下。2019年はプロ入り初の未勝利に終わり、2020年も二軍暮らしが続いている。
ともに「将来の日本球界を背負っていく逸材」と期待されながら、どうしてここまで差がついてしまったのか。野球解説者の江本孟紀氏(73)が分析する。
「藤浪は1年めから活躍し、3年めには14勝で奪三振王と、一気に上り詰めました。阪神は人気球団でもあるし、当然、ちやほやされたと思いますよ。しかし、そこで行き詰まってしまいました」
江本氏は、藤浪に足りないものは、「メンタルの安定」ではないと断言する。
「9月20日におこなわれた二軍の試合では、中日を相手に7回を14奪三振、1失点と好投したようですが、所詮、二軍でのこと。いくら三振を奪っても、一軍では不安定な状態が続いていますよね。
よく指摘されるのは、一軍で登板すると緊張してしまうメンタルに問題があるのではないかということです。しかし僕に言わせれば、メンタルは二の次どころか、三、四、五の次ですよ。
プロは、やはり技術なんです。純粋に藤浪には、技術が足りていない。とくに問題なのが、コントロール。コントロールをつけることが最優先で、その練習をすればいいんです」
そのコントロールをつけることが、いちばん難しいように感じるが……。
「コントロールをつけるためには、投げ込みではなく、毎日のようにフリーバッティングに登板すればいいんです。皆さん、フリーバッティングの意味を勘違いしている。
たとえば春季キャンプで藤浪が投げ、『主力相手に30球、ヒット性の当たりは2本のみ。仕上がり順調』なんて新聞記事を読むことがあるでしょう。これは練習の趣旨を勘違いした報道なんです。
フリーバッティングというのは、打者に気持ちよく打たせることを目的としているんです。そうするためには、打者が好きなコースに投げなければいけない。となれば、コントロールが重要。打者に気を遣って投げるわけです。
またフリーバッティングには、どこに投げるかはもちろんのこと、球の回転数や、打者が打てるコース・打てないコースの見極めなど、投手に求められる技術が多い。総合的なコントロール力を身につけるのに、最適な練習法なんです。藤浪には、この練習が不足しているのだと思いますね」
もうひとつ、藤浪復活のカギを語ってくれた。
「思い切って、トレードで環境を変えることです。巨人ではストライクすら取れなかった澤村拓一が、ロッテにトレードされて復活しているじゃないですか。あれがいい例です。
藤浪の素質は誰もが認めるところ。それを練習不足や環境のせいで埋もれさせてしまうのは、もったいないですよ」
一方、大谷への助言も手厳しい。
「たしかにメジャー1年めで新人王は獲りましたが、二刀流としては、シーズンを通して活躍したことはない。2020年も手術明け、開幕が大幅にずれ込んだとはいえ、打率は2割に届くか届かないかといった状態。とても主力として活躍しているとはいえません。
たしかに、投打ともに非凡なセンスは持っていますが、僕は以前から、『どちらかに絞るべきだ』と言ってきました。このままなら、投打ともに中途半端に終わってしまう可能性すらある。藤浪同様、大谷も “大きな決断” をすべき時期にあると思います」
藤浪と大谷の2人が “決断” する日が来るのか、要注目だ。