2015年五月場所の千秋楽後、茨城県龍ケ崎市にある部屋で打ち上げパーティ。歌を披露する、式秀親方とおかみさん

「いつか問題が起こるのでは、と危惧する声があったのは事実。それだけ、あのおかみさんは、弟子をコントロールしたがっていた」(相撲記者)

 田子ノ浦親方(44)の泥酔騒動、阿炎(26)のキャバクラ通いと、問題が続発する角界で起きた、式秀部屋の「力士9人の集団脱走」という前代未聞の事件。しかも、部屋のおかみさんによるモラハラが原因と報じられて、騒動に拍車をかける結果となった。

 背景には「式秀部屋の独特な指導方針がある」と、後援会関係者が明かす。

「式秀親方のモットーは、強い力士を育てることよりも、『明るく・楽しく・元気よく』。よく言えば、自主性を重んじる指導ですが……。

 その結果、部屋には19人の力士が在籍しているのに、全員が三段目以下で関取はゼロ。ユニークな四股名で注目を集めた力士や、連敗記録を持つ力士ばかりで、いわば仲よしクラブなんです。

 これに異を唱えていたのが、おかみさん。『そんな稽古だから、昇進できないのよ!』と、弟子にきつく当たっていた」

 今回 “主役” となったおかみさんは、いかなる女性か。福岡県出身で、県内有数の進学校を卒業。年齢は50代、面長の美人で、メディアにもたびたび登場してきた。

「おかみさんは若いころ、故・北の湖さんが贔屓にしていた銀座のクラブで働いていた。そこに連れてこられた式秀親方(当時・北桜)が、ひと目惚れ。猛アタックの末に結婚したが、惚れた弱みか、彼女に頭が上がらない。それが今も続いている」(前出・後援会関係者)

 夫と妻の考え方が違えば、“力が強いほう” が主導権を握るのは当然のこと。そして、おかみさん色がさらに強くなる “事件” が起きる。

「式秀部屋が所属する、出羽海一門のおかみさん会でのことです。その席で彼女は、式秀部屋には力士が多いのに関取がいないことや、今後も出そうにないことなどを言われ、プライドが傷ついたようです。

 また、部屋がそんな状態なのに、メディアで美人おかみと持ち上げられていることも、チクチク言われたそう。帰宅した彼女は、『あなたの指導が甘いから、みんなに笑われるのよ』と、親方に詰め寄ったそうです」(一門関係者)

 2020年に入って、式秀親方が高血圧による体調不良で稽古を見られない状態になり、親方がおかみさんを “師匠代行” に指名したことも、弟子たちにとっては青天の霹靂だった。

 結果、厳しさに耐えられなくなった弟子9人が脱走したわけだが、その弟子たちが相撲協会に報告したモラハラには、呆れる部分も多い。

 たとえば、新型コロナウイルスに感染した石田純一が裸足で靴を履いていたからと、部屋では靴下を履くよう強制されたり、猛暑のなかでもクーラーが使えるのは決められた時間のみ。七月場所の千秋楽後、弟子19人に与えられた小遣いはたった4000円で、1人あたり200円の駄菓子での打ち上げとなった、などだ。

 9人は、協会の説得で部屋に戻り、稽古を再開。一方のおかみさんへの処分は、なし。再スタートを切った式秀部屋だが、関取誕生が早いか、それともーー。

(週刊FLASH 2020年9月1日号)