巫女服×百合のハーモニー。『雨でも晴れでも』が最高に清らかで心洗われる

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 どことなく神秘的で、清さと美さを兼ね備える巫女服。見かけると、つい胸がトキメいてしまうという方も多いのではないでしょうか。

 ニコニコ漫画の「電撃大王」にて連載中の『雨でも晴れでも』(作者: あらた伊里先生)は、そんな巫女服の魅力を心ゆくまで堪能できる作品となっています。

 さらに本作のもうひとつの軸として描かれるのが、少女たちの清らかでいたいけな恋模様。巫女服×百合が奏でる絶妙なハーモニーをお楽しみください!

巫女服、静寂、ふたりきり。

 巫女服、静寂、ふたりきり。

 ……そんな素敵ワード満載でありながら、シンプルに心へ響いてくる一文は、まさに本作のテイストを的確に表したキャッチコピーと言えるでしょう。

 本作の主人公は、山田美古都(やまだ みこと)というおさげ髪の女の子。

 孤島の“有頂天高校”に通う彼女は、その敷地内のすみっこにある“有頂天神社”が大層気に入っていました。

 そんな美古都の秘めたる習慣が、放課後に巫女装束を着てこの神社でお茶をすすること。

 京都山奥の神社で生まれ育った彼女にとって、巫女服は着慣れた落ちつく衣装。今日もこそこそ袖を通しては、「やっぱり神社にはこれやー!!」とひとり感激するのでした。

 ニッチすぎる趣味もあいまってか、入学から2ヵ月目にして早くもクラスで孤立を極めていた美古都。

 現状の彼女が友だちとして挙げられるのは、こちらの猫崎蓮(ねこざき れん)さんただひとりという有り様です。

 ……とはいえ、そうした認識さえも一方的なものに思えてしまい、美古都は猫崎さんとの親交をなかなか深めきれずにいました。

 しかしこの日、うらさびれた高校生活を送っていた美古都は大きなターニングポイントを迎えます。

 今回、猫崎さんが美古都のもとを訪れた理由は、彼女がかねてより申請していた“巫女部”の設立が正式に認められたから!

 (大量のツッコミどころはさておき)“巫女部”の発足を契機に、美古都と猫崎さん、そしてその周囲との関係性は急速に変化していくのでした……。

奥ゆかしいふたりの関係性やいかに

 美古都にとって猫崎さんは貴重な放課後のお茶飲み相手であり、さらに“巫女部”の設立にも協力してくれた恩人。

 日ごろの恩返しをしたいという気持ちも含め、美古都の「猫崎さんともっと仲良くなりたいなぁ」という思いは加速度的に大きくなっていきます。

 対する猫崎さんも、笑顔が絶えない様子の美古都を見てつい「かわいい……」と本音をポロリ。

 このふたり、お互いに肝心の一歩が踏み込めないだけで、きっかけがつかめればたちまち大親友になってしまいそうな予感がします。

 それどころか、猫崎さんからは「美古都さん、私……あなたのこと……」と“大親友のその先”が見えてきそうな意味深発言も!

 結局、この場は生徒会の会議の時間を告げるアラーム音に邪魔されてしまうのですが……。

 すかさず、猫崎さんはハンカチを口実につぎ会う約束を取り付けるのでした。

 能天気に見えてじつはネガティブな美古都も登場人物として魅力的ですが、こうなると気弱そうで意外にガッツありげな猫崎さんの内面もより深く知りたくなってくるところ。

 徐々に仲を深めていくにつれ輪郭を帯びてくる、ふたりの素顔にも注目です。

抱き合うふたりと突然の乱入者

 神社というふたりきりの空間で、このままジリジリと距離を詰めていくかに思えた美古都と猫崎さん。

 一方で、“巫女部”設立というできごとは波紋のように各所に広がっていき、思わぬ形でふたりに変化をもたらすのでした。

 生徒会役員である猫崎さんが生徒会室に向かうと、なぜか前に人だかりが。

 どうやら彼女たちは規則上、部活の新設を認めてもらえなかった者の集まりで、一致団結して寄せ集めの部の結成を目論んでいたようです。

 ちなみに部活新設に必要な条件は、“部員4名”と“部室”とのこと。はて、するとまさか“巫女部”の件は猫崎さんが裏から手を……!?

 そんな騒動を目にした後日、再び神社を訪れた猫崎さんは美古都から巫女服を手渡されます。

 彼女からのプレゼントに「嬉しい」と素直な感想を口にした猫崎さんは、そのまま半ば押し切られる形で着替えることになり……。

 美古都から直々に巫女服の着かたの手ほどきを受けたり、さらには汗を拭いてもらっちゃったり!

 猫崎さんにとってはもちろん美古都にしても、うれし恥ずかしなひとときが過ぎていきます。

 そして気付けば、ふたりは“巫女服、静寂、ふたりきり。”のページでも描かれていたあのシーンへと突入。

 なんとか猫崎さんをよろこばせたいと気張っていた美古都を、後ろから優しく抱きとめる猫崎さん。なんと美しい光景でしょうか……!

 ……しかし、そんなふたりの甘酸っぱい雰囲気をぶち壊す乱入者たちが見参!

 以前、生徒会室の前で騒いでいたどマイナーな趣味の方々が、どこからか“巫女部”のウワサを聞きつけ厄介になりにきたようです。

 とくに(裏でいろいろ画策してたっぽい)猫崎さんにとっては、非常に都合の悪い事態に違いありません。

 もっとも、美古都としては友だちを増やして健全な高校生活を送るためのまたとないチャンス!

 これまでのふたりの、そこはかとなくインモラルな関係性も美しかったのですが……人(障壁)が増えたことで一層燃え上がる愛情というものもあるでしょう。

 かくして“静寂”&“ふたりきり”は早々に崩れ去ったものの、むしろより深みを増していく彼女たちの青春模様。

 美古都と猫崎さんの今後の進展や、マイナーな趣味の方々との関係性が気になった方は、ぜひ6月27日発売となったコミックス1巻を手にとってみてください!

 (画像はニコニコ漫画『雨でも晴れでも』より)