お金にまつわる心配は、将来の生活が成り立つかどうかが見通せないこと。子どもの教育費や住宅ローン、老後資金など、かかることはわかっているけど、その実態がつかめず、漠然と不安と焦りを感じている人も多いのでは?
そこで、60代までの未来計画を立てて、お金の不安を解消した達人にクローズアップ。貯めどきと使いどきを把握して、身の丈にあった生活を送りつつ、無理なく貯蓄も。その暮らしぶりを取材しました。

60代までの計画を立ててお金の不安なし。年180万円の貯蓄に成功




将来のお金の予測が見えたら暮らしにもゆとりが

貯め上手な人たちを『オカネジェンヌ』として選出したESSEのコンテストで、銅賞を受賞したHさん。2度の出産を経験して見えてきた、“自分たちがしたい暮らし”のため、あえて正社員からパートへと働き方を切り替え。妻の月収は半分以下になりましたが、逆に貯蓄ペースは加速し、総貯蓄額は5年前の約2倍に!

「ライフプランを作成して、お金を貯める時期、使う時期を把握してから、むやみに焦ることがなくなりました。今は、負担の少ない働き方で子どもたちとの時間を大切にしながら、身の丈にあった生活を送る時期。細かい節約はしていませんが、気持ちが満たされたら暮らしがよりシンプルになり、ムダを省けた分が貯蓄として形になっています」
今後も、仕事も貯蓄も“細〜く長く”続けていくつもりだそう。

●Hさん(岡山県・31歳)

夫(32歳)、長男(4歳)、長女(2歳)の4人家族。住まいは4DKの賃貸一戸建て。建設会社の事務パート勤務。先取り、学資保険を合わせた毎月の貯金とボーナスで年180万円貯金。

【Hさんの家計表】

夫の月収(手取り) 340,000円
妻の月収(手取り) 70,000円
児童手当 25,000円
収入合計 435,000円

住居費 30,000円
食費 50,000円
電気料金 10,000円
水道料金 5,000円
ガス料金 7,000円
通信費(携帯電話2台分) 8,500円
日用雑費 20,000円
レジャー費 16,000円
子ども費 30,000円
クルマ費 20,000円
こづかい(夫) 40,000円
こづかい(妻) 17,000円
保険料 10,000円
奨学金返済 33,500円
貯金 105,000円
支出総計 402,000円
収支 +33,000円

<Hさんの貯めHISTORY>

2014年 結婚
独身時代の貯金は結婚式に。貯金ゼロからのスタート!
総貯蓄額0円

2015年 長男出産
なにかと物入りで出費増。貯蓄ペースがダウン。
総貯蓄額250万円

2016年
総貯蓄額450万円→190万円
妻のクルマを購入し、利子のつく奨学金を返済。

2017年 職場復帰
時短勤務で仕事と育児の両立に奮闘!
総貯蓄額410万円

2018年 育児休暇
前年に長女を出産し、2度目の育休を取得。夫が転勤で新幹線通勤に。
総貯蓄額90万円

2019年 退職
再び時短勤務で職場復帰するも、想像以上のハードさに退職。パートに。
総貯蓄額330万円

2020年
総貯蓄額500万円

貯まる家計への第一歩はお金の流れをシンプルにすること



まずは、貯蓄先や支払先の一本化から手をつけたというHさん。一度手続きしたら、ほったらかしでも「貯まる」&「支払いダウン」というシステムをつくりました。

●先取り貯金で確実に貯まる仕組みをつくる


貯金は先取りでしっかりキープ。メインの貯蓄先は夫の勤務先の財形制度口座とし、毎月7万円(うち一般財形4万円、住宅財形3万円)を給与天引きに設定。財形は高利率の上、金利利子が非課税などのメリットが。

●クレジットカードは不要なものを解約して一本化


使用頻度の低いものを解約し、現在はイオンカード1枚に集約。
「管理がラクになり、ポイントも貯まりやすくなりました。イオンではフリードリンクのラウンジも無料で利用できておトク」

●奨学金は利子のあるものから返済する

妻は大学、夫は高校〜大学院の学費を30代のうちに返済予定。
「あらためて状況を見直し、利子が発生する借入先にはまとめて完済。これだけで十数万セーブできました」

●夫婦で格安スマホに乗り換えて節約のはずみをつける


以前は夫婦で大手キャリアを使用し、月額2万円を超えるときも…。
「夫を説得するために通信速度が速いと評判の通信会社に。結果はまったく問題なし。毎月1万円以上カットできました」

将来のお金が見通せて、貯まる仕組みがつくれたら、お金の不安は解消できます。いつ、いくらかかるのか? まずは家族のライフプランを立てることから始めてみませんか?

<撮影/山田耕司 取材・文/ESSE編集部>