by York Art Gallery

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策として、多くの博物館が休館を余儀なくされている中、Twitter上で「#CURATORBATTLE(キュレーターバトル)」が開催されました。イギリスにあるヨークシャー博物館が主催するこの大会では、博物館のキュレーターらが「靴」や「魔法のアイテム」といった週替わりのお題をテーマに自慢の収蔵品を出し合い、競わせています。そんなキュレーターバトルの中でも、ひときわ白熱した戦いが繰り広げられた「#CreepiestObject(一番奇妙な物体)」のテーマでは、世界中の博物館から続々と不気味な展示品が寄せられていたので、特に異彩を放っている物体をピックアップしました。

Scary mermaids, cursed toys and mummified cats… Curator battle started by Yorkshire Museum goes global in bid to find creepiest objects | York Museums Trust

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ヨークシャー博物館は2020年4月17日のツイートで「美術館ども集まれ!いよいよキュレーターバトルの幕開けだ!今日のテーマは#CreepiestObject!」と高めのテンションでバトルの開始を宣言しました。そんなヨークシャー博物館が繰り出したのは、3〜4世紀ごろのローマ人女性の埋葬品として出土した毛束です。持ち主のものとおぼしき黒玉製のヘアピンがついたままなのがポイントとのこと。



ヨークシャー博物館の挑戦を受けて立ったのが、スコットランド国立博物館の自然科学部門です。同館にはさまざまな動物の剥製が収蔵されていますが、中でも最も不気味なのが「人魚」の剥製です。



ヨークシャー博物館と同郷のヨーク・キャッスル博物館は、金塊を運ぶ人やトランプに興じている人をカニのハサミや殻で表現したフィギュアを出展。「典型的なヴィクトリア朝の人たちは、不気味なものが好きでした」とのこと。



ロンドンの国立陸軍博物館でキュレーターを務めるKirsty Parsons氏は、「ブロンコ」のあだ名で呼ばれていたマイケル・レーン少佐の「指先」を出展しました。レーン少佐は1976年にエベレスト山に登った際に、呼吸困難に陥った仲間に酸素ボンベを装着するために手袋を外しました。そのため、レーン少佐の指は凍傷になってしまい、切除を余儀なくされたとのこと。この収蔵品は、そんなレーン少佐の勇敢さをたたえるためのものです。



オックスフォード大学附属のピットリバーズ博物館のキュレーターで、同大学の考古学者でもあるDan Hicks氏は、1911年ごろのイギリス南西部で作られた、羊の心臓にくぎを刺した物体を出展しました。どう見ても呪いのアイテムですが、実際には「邪悪な呪文を解くためのもの」だとHicks氏は説明しています。



ドイツ歴史博物館からは、17世紀ごろに流行したペストの治療にあたった医療者のペストマスクが登場。防疫のため頭をすっぽりおおう形状をしているのは、現代の防護服にも通じるものがありますが、特徴的なのが鳥のようなクチバシです。これは、当時ペストが悪臭を通じて感染すると信じられていたことから、フィルターとして香草などを詰めて感染を予防するのに使われていたとのことです。



アイルランド国立博物館に収蔵されている、紀元前数世紀のものと見られる首のない上半身のミイラはオールドクロウハンマンと呼ばれています。



オールドクロウハンマンは、失脚した古代の権力者が殺害された遺体だと見られていますが、別のものに見えてしまった人もいる模様。



博物館とは少し毛色が違いますが、ヨーク・アート・ギャラリーからは切断された人間の足に四本足と動物の頭がついた物体が出展されました。これは、陶器や木材を使ったアートで知られるKerry Jameson氏の作品とのことで、本物の足ではありません。同氏のサイトにアクセスすると、ほかにもさまざまな作品を見ることができます。



日本からは奈良国立博物館が参戦。出展したのは、同館に収蔵されている巻物「辟邪絵」に描かれた「神虫」です。映画「風の谷のナウシカ」に登場しそうな巨大な昆虫の怪物に見えますが、災いをもたらす魔物や鬼を食べてくれる生き物で、ガや蚕が神格化された姿とのこと。奈良国立博物館は日本語のツイートの中で「かわいらしい顔をした、辟邪絵の中で一番の愛嬌者」と評しています。