全世界が新型コロナウイルスの影響を受けている中、スポーツ界でもこの情勢に関連した様々な動きがある。世界最大のマーケティング調査会社・ニールセン傘下の「ニールセンスポーツ」は、プロスポーツクラブや関連企業の取り組みについての調査や事例報告を定期的に配信。AZrenaではニールセンの協力を元に、コロナウイルスに関連した“世界のスポーツ団体”の動きをレポートしていく。

 

投稿数は増えるも…エンゲージメント率は下降

各スポーツリーグにおける、SNSエンゲージメント率の推移(Facebook、Twitter、Instagram)

 

2020年3月から、新型コロナウイルスの影響で各国のスポーツリーグが活動できていない状況が続く。そんな中、アメリカのプロスポーツリーグがSNSを活性化させている。2020年3月12日〜18日と3月19日〜25日の期間で比べた際、投稿数としては全体で29%増だ。(グラフ上記、濃い青)

 

にもかかわらず、エンゲージメント率は全体で54%下がっている。(グラフ上記、薄い青)さらに、1投稿の平均エンゲージメント率は64%も下がっていると報告されている。

コロナの影響により、各自がひとりで過ごす時間は増えているはず。それでもエンゲージメントが下がっていることを示すこの分析は、興味深い。

 

唯一エンゲージメントを高めることに成功しているのが、米最大のモータースポーツ統括団体・NASCARである。同じく2020年3月12日〜18日と3月19日〜25日の期間で比べた際に、エンゲージメント率が上がったスポーツ選手上位10人のうちなんと7人がNASCARの選手であることもわかる。(グラフ下記)

参照:『COVID-19 SOCIAL CONTENT RATINGS UPDATE』Nielsen Sportsより

 

ファンとの“対話”を実現。NASCARのSNS戦略

2019年より、NASCARのSNSは圧倒的なエンゲージメント率を獲得するようになっている。その理由はなぜなのか。

多くのスポーツリーグ同様、これまでのSNSではファンへの“一方的な”発信が多かった。そこに問題意識を持ち、オンライン上でもファンと相互のコミュニケーションをとることを心がけたのだ。

 

NASCARのソーシャルチームでは、毎日少なくともひとりは各SNS上のファンのコメントを確認するようにしている。ファンが関心を持っていることを的確に把握し、刺さりやすいコンテンツを見出している。さらに、ファン同士で議論を始めるきっかけとなるようなコンテンツを増やしていった。

 

例えば、9つの車の写真を挙げ「3つ選ぶとするならどれにするか?」とInstagramで問いかけた。この投稿では単にファンがコメントしているだけでなく、それぞれの意見についてコメント欄内で議論が活発になっている。

 

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NASCAR(@nascar)がシェアした投稿 -

 

Twitterでも、ファン同士が関わるきっかけを作っている。あるレーサーの「どの勝利が一番好きか?」と質問したり、「レーサーのお気に入りの写真を見せて!」と呼びかけるなどしてエンゲージメントを高めている。

 

オフラインでファンとコミュニケーションを取ることができない今、スポーツ界でもSNSが鍵を握っていることは間違いない。スポーツのある日常が戻るまで、各スポーツ団体がどのようにファンと関わっていくのかに注目が集まる。

 

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