ドラフト後の“採点”は適正か? 豊作と言われた2010年、10年後の12球団の現実は…
ドラフト直後に高く評価されていたのは西武、日本ハム、巨人
今季もルーキーたちが球界を賑わせ、明るい光を見せてくれている。中には開幕1軍や、開幕スタメンを伺う選手もおり、将来に大きな期待を抱かせてくれる選手もいる。ただ、ルーキーたちは誰しもが入団して即、活躍するわけではない。身体作りを経て、数年後にようやく花開く選手たちも多くいる。ドラフトの真の成果は、ある程度の年数が経ってから分かるものだ。
では、かつてのドラフト会議は一体どうだったのか? 当時のドラフト直後の評価を振り返り、現在、その選手たちがどうなったのか、検証してみよう。
ちょうど10年前、2010年のドラフト会議を見てみる。この年は田中将大や前田健太らと同世代が大学を卒業し指名される年だった。注目は斎藤佑樹、大石達也、福井優也の“早大三羽ガラス”や中央大の澤村拓一、佛教大の大野雄大ら。好素材が揃う大豊作の1年と言われていた。
複数の競合が出ると予想されていた2010年のドラフト。蓋を開けてみると、大石に6球団、斎藤に4球団が入札。澤村の巨人、大野の中日が一本釣りに成功している。その後の1巡目指名で広島が福井、ヤクルトは履正社の山田哲人を指名している。
2010年のドラフト直後、指名選手の評価が総じて高かったのは巨人、西武、日本ハムの3球団。巨人は澤村を一本釣りし、西武は大石、日本ハムは斎藤を獲得した。次いで大野を単独指名した中日や、外れ1位で塩見貴洋を指名した楽天が挙がり、低評価が多かったのはソフトバンクやDeNA(当時は横浜)、ヤクルト、オリックスだった。
では、そのドラフトから10年経って成果はどう出たのだろう? ドラフト直後の評価は果たして、その通りに結果に結びついているのだろうか。
まず、高評価された3球団だ。巨人は澤村のほか、2位で宮國椋丞を指名。澤村は入団1年目から2年連続2桁勝利、2016年には最多セーブのタイトルを獲得している。宮國も1軍の戦力となっており、十分に成果のあったドラフトだった。
ソフトバンクは低評価だったが、柳田、千賀、甲斐らが入団
西武は大石が度重なる故障に苦しみ、期待されたほどの活躍はできないまま、昨季限りで引退した。ただ、2位で牧田和久(現楽天)、3位で秋山翔吾(現レッズ)と2人のメジャーリーガーを輩出している。6位の熊代聖人も健在。1位の大石こそ厳しい結果だったが、ドラフト全体としては十分な成果が残っている。
斎藤を引き当てた日本ハムはどうか。大きな期待を背負って加入した右腕だが、1年目の6勝を最高に、その後は低迷。2年連続で未勝利となっている。2位の西川遥輝が不動のリードオフマンに成長したのは大きな成果だが、指名全体で見ると、指名直後の高評価とはイコールではないだろう。
外れ1位で塩見を指名した楽天は2位で美馬学が加入。今季、ロッテへと移籍したものの、ローテの一角としてチームに貢献しており、塩見と共にまずまずの働きを見せた。大野を一本釣りした中日だが、2位の吉川大は巨人、3位の武藤はDeNA、4位の森越は阪神を経て今季から西武へ、それぞれ移籍している。
では、ドラフト直後に低評価だった球団はどうか。評価を根底から覆し、今ではこの2010年が“神ドラフト”と言われるのがソフトバンクだ。1位の山下斐紹は頭角を表せぬまま楽天へとトレードとなったが、2位の柳田悠岐は球界最高の打者の1人へと成長した。支配下で成果を残しているのは柳田だけだが、この年は育成4巡目で千賀滉大、同6巡目で甲斐拓也と球界を代表する投手、捕手を指名。同5位の牧原大成も二塁手のレギュラー筆頭候補になっている。“育成のソフトバンク”と言われるようになった、重要なドラフトになっている。
ヤクルトもチームにとって重要なドラフトとなった。外れ外れ1位で指名した山田哲人は史上ただ1人、3度のトリプルスリーを達成し、球界を代表する打者に成長した。3位の西田明央も貴重なバイプレーヤーとして今も健在。5位の久古健太郎も左キラーとして通算228試合に登板している。
一方でオリックス、横浜は残念ながら、低評価を覆せるほどの成果はドラフト全体では出ていないと言えるだろう。また、ドラフト直後はまずまずの評価だった中では、広島の6位・中崎翔太が守護神となったが、阪神やロッテでは大きな成果はなし。阪神1位の榎田大樹は1、2年目と中継ぎで活躍したものの、その後は低迷。2018年に2桁勝利をマークしたが、西武に移籍した後だった。(Full-Count編集部)