XFN-ASIAによると、EU(欧州連合)欧州委員会のバローゾ委員長は、EU首脳会議の行われているベルギー・ブリュッセルでの記者会見で、懸案となっているエネルギー問題と、欧州内で台頭している保護主義のムードについて、「他の地域に対してオープンであるべきとは限らないが、域内では密接であるべきだ」との見解を示した。ロシアによるエネルギーを武器とした強硬なエネルギー外交と経済改革の推進について、欧州域内の結束を必要としているなかで、加盟国内での保護主義化は域内の亀裂を生じさせる火種となりかねず、同委員長はこうした動きをけん制した。併せて、初日の会議で各国首脳がエネルギーに関する共通政策の導入について、「明確に合意した」と語った。

  EU内では、フランス政府が公益大手スエズへのイタリアの国営石油会社エネルによる敵対的買収を阻止するために、フランスの国営ガス会社GDF(ガズ・デ・フランス)との合併を進め、両国間の緊張が高まるなどし、「保護貿易主義」は域内経済上の大きなキーワードになっている。伊ベルルスコーニ首相はこの問題を首脳会談に持ち込む姿勢を見せているが、議長国オーストリアのシュッセル首相は、23日の協議では「野心的な意見の表明はあったが、(保護貿易に関する話題は)協議の対象にはならなかった。政府による保護や企業合併についての話は出なかった」との認識を示していた。 【了】