急がつく動作やちょい乗りはクルマを傷めやすい

 クルマというのは消耗品の塊だ。所有している間に寿命が来るかは別として、ボディだって消耗品のひとつ。最終的には各部に力が溜まり過ぎて、形を維持するのが困難になって、ガタガタになってしまう。

 ただし、消耗のスピードがすべて同じかというとそうではなく、個々によって異なるし、乗り方に大きく影響されるものだ。優しく乗れば長持ちするし、激しく扱えばその逆だ。今回は消耗を早める乗り方について見てみよう。

1)急が付く操作

 雪道でのドライブで避けるようにとよく言われる急が付く操作。急発進、急ハンドル、急ブレーキの3つは、クルマに対して極端で、急な入力となるものばかり。やはりいつでもスムースに発進、余裕をもってハンドルを切り、じんわりとブレーキを踏むのがベストだ。

2)ちょい乗り

 ちょっと近所まで。時間にすると10分程度のドライブはクルマに大きな負担となる。人間にたとえるといきなり運動して、体が暖まる前に止めてしまうのと同じ。短ければストレスが少ないというわけではなく、体への負担は逆に大きくなってしまう。クルマではエンジンへの負担は大きいし、バッテリーは内部が活性化する前に止まってしまうので、消耗がとくに激しくなる。

渋滞時やゆっくり走ることもクルマにとっては悪影響を及ぼす

3)渋滞

 クルマにとって不得意なのは、エンジンをかけたまま止まっていること。もちろん止まったままでのアイドリングを想定して作られているので、表面的には問題ないが消耗は進む。エンジンだとオイルの温度が上がらないし、ボンネット内の熱抜けも悪くなる。ミッションも低速での間断を繰り返すので、負担は大きくなる。

 渋滞にはまりつつ、アイドリングストップも同様によくない。夏の雨の夜、ライトやワイパー、そしてエアコン、カーナビもつけっぱなしの状態を考えてもらうと想像しやすいだろう。

4)アクセルやブレーキの操作がラフ

 急が付く操作まではいかないまでも、ペダル操作をラフにする人はけっこういる。スイッチのようにオン、オフさせていては、駆動系、足まわりを中心にストレスがかかり、ブッシュといったゴム類の消耗も進む。じんわりが基本で、もちろんハンドルも滑らかに切るほうがクルマへの負担は小さい。

5)ゆっくり走る

 今まで紹介したことと矛盾するように思うかもしれないが、とくにエンジンをしっかりと回さないのは逆にストレスをかけることも多い。適度に負荷をかけて走るほうがカーボンなども溜まりにくく、調子もいい。最近流行りのディーゼルではとくにいえるポイントだ。

番外編)乗らないで保管したまま

 乗らないとクルマは消耗しないと思いがちだが、機械である以上、乗らない=動かさないと自然に消耗してしまう。ゴム類はひび割れたり、油脂類も内部で変質したりする。湿気でサビが発生するなど深刻な問題も出てくるので、ある程度のスパンで乗ったほうがいい。閉め切った家のほうが傷みが早いのと一緒だ。