ヤクルト移籍の嶋が甲斐に伝えた“野村氏の教え” 捕手に大事なものとは…
「細かいことをよく言われたんですけど、そういうのはキャッチャーが1番大事」
沖縄・金武町で報道陣に公開されたソフトバンクの甲斐拓也捕手の自主トレ。この自主トレで甲斐が“弟子入り”しているのが、楽天からヤクルトに移籍した嶋基宏捕手だ。昨オフから合同自主トレをはじめ、今年が2年目。この日は朝9時から約6時間、ヨガに始まり、下半身強化のメニューやスローイング練習、フリー打撃などでみっちりと汗を流した。
甲斐が「捕手としてだけじゃなく、バッティングだったり、野球以外の部分、全てに関して学びたいと思ってお願いさせてもらった」と嶋に志願して実現した、この自主トレ。ただ、嶋にとっても「今や球界を代表するキャッチャー。3年連続日本一ですし、野球のこと、野球以外のこと、全てが野球に繋がっていると思うので、僕も学ばせてもらおうという気持ち」と“学び”の場になっているようだ。
2006年の大学・社会人ドラフト3位で楽天に入団した嶋。入団当時、楽天で監督だったのが、甲斐が尊敬してやまない野村克也氏だ。その教えはもちろん嶋にも受け継がれており、そして、甲斐へと伝えられている。
嶋は野村氏の教えをこう振り返る。
「挨拶をちゃんとしろ、とか、そういう細かいことをよく言われたんですけど、そういうのはキャッチャーが1番大事なんだと思います。そういうところをピッチャーや野手は見ている。そういうところがなかったら信頼されるキャッチャーにはなれない」
野球ももちろんだが、どのポジション以上に捕手に求められるものは「人間性」だという。グラウンド上、そしてグラウンド外でも信頼される人間であるか。その中で「拓也はそういうところもしっかりしていて、あの若さで出来ていて凄いなと思います」と嶋は語った。
「野村さんの野球の考え方とかは一緒に生活する中で伝えられることは伝えています。配球とかは物事が起こらないとなかなか話は出来ないですけど、拓也の試合を見ながら話したりしています」と言う嶋。甲斐にとっては、この上なく有意義な時間になっているようだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)