若者の強いキャラ意識は、SNSの「アカウントの数」に表れている
いつの世もオトナたちにとって「最近の若いやつ」はよくわからないものですが、近年ますます若者の採用やマネジメントは難しくなっています。
【関連記事】朝6時にスタバにチェックイン!本当に意識が高い人と意識高いふうの人
・パワハラが気になって指導しにくい。
・じっくり話したいけど飲みに誘っていいかわからない。
・何がモチベーションかわからない。
・優秀な人ほど急に辞めてしまう。
・職場のオトナたちからは、こんな悩みの声が尽きません。
最近の若者たちは、いったい何が不満で、何を望んでいるのでしょうか?本企画では、ツナグ働き方研究所所長・平賀の著書『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』から、若者の職場での生態を表す20のキーワードを紹介。彼らの労働観や仕事に対する考え方を解き明かしていきます。
あなたの職場の若者は、どのキーワードに当てはまるでしょうか!?
自分のキャラは死守したい!見せて見られて、あふれ出す自意識
最近の若者たちは「キャラ的に」とよく口にします。例えばこんな具合です。
「え〜? 私が歓迎会で一発芸なんて、キャラ的になくない? ムリムリ!」
「平賀さんがそんなこと言うなんて、キャラ的に想像つかないんだけど」
周囲から見て誰がどんなキャラクター(=性格)であるかを、強く意識していることがわかります。もちろん、自分自身のキャラもです。
かつてこんなことがありました。20代のハツラツとした体育会系男子を、リーダー的なポジションに抜擢したときのことです。
「ありがとうございます! 頑張ります!」
期待通りの力強い返事。彼の抜擢はやはり正しかったと、より一層の期待を寄せていました。ところが、ある日、彼から意外な申告を受けることになります。
「やっぱり私には務まりません。元のポジションに戻していただけませんか」
ちょっと仕事のストレスがかかりすぎたのかな。よくよく話を聞いてみると、彼の悩みはそこではありませんでした。
「理想の自分」と「できない現実の自分」のギャップに耐えられない、と言うのです。
職場での彼は「仕事ができる」キャラを演じたかったのです。しかしポジションが変われば、うまくいかない仕事も増えていきます。そんなのは当たり前なのですが、「役割を全うできていない自分」がストレスでたまらないということのようです。よく言えば誠実なんですが、壁を突破する前にしおれてしまう点はかなり意外でした。
若者がキャラを気にするのも、SNS村社会が背景にあります。
若い頃は他人の目が気になって仕方がない……というのは一般的な話だと思いますし、家での自分は違うという人もたくさんいるでしょう。そんな誰にでもある自意識を、SNSは膨張させます。24時間365日、他人とつながり続ける環境の中で、一挙手一投足をお互いに見せ合っているからです。
若者の強いキャラ意識は、SNSの「アカウントの数」にもよく表れています。
20代の若者たちに聞いてみると、「ツイッターのアカウントは3つ」「インスタグラムのアカウントは2つ」などというのが当たり前でした。例えばツイッターの場合、「リアルの友達用」「趣味のつながり用」「職場の人用」などと、目的によって複数のアカウントを使い分けているわけです。そして、アカウントごとにキャラづけがあることも珍しくありません。「職場の人用」では真面目キャラ、「リアルの友達用」ではお調子者、みたいな多面性があるのです。
SNS村社会では、「他人を鏡のようにして相対的に自意識が膨らみ」ます。自分を見ている目、見せつけられる他人の姿が昔とは比較にならないほど増えて、自意識を刺激される回数がオフラインの住人より圧倒的に多いのです。
[文:ツナグ働き方研究所]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
平賀充記(ひらが・あつのり)
ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を歴任。 2014年株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任。2019年よりツナググループ・ホールディングス エグゼクティブフェロー就任。著書に『非正規って言うな!』『サービス業の正しい働き方改革・アルバイトが辞めない職場の作り方』(クロスメディアマーケティング)、『パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド』(かんき出版)、『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)。