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京都鉄道博物館は30日、阿佐海岸鉄道が2020年度から定期運行の開始をめざすDMV(デュアル・モード・ビークル)の特別展示にあたり開催されたイベントを報道公開した。当日は線路上を走行するための「鉄道モード」、道路上を走行するための「バスモード」に切り替える実演などが行われた。



DMVは線路と道路の両方を走れる新しい乗り物。車両はマイクロバスからの改造となっており、一般的な鉄道車両とは大きく異なる。

阿佐海岸鉄道は徳島県の海部駅と高知県の甲浦駅を結ぶ全長8.5kmの阿佐東線を運営する第三セクター鉄道。海部駅でJR牟岐線(徳島〜海部間)と接続している。2020年度からDMVによる定期運行をめざしており、実現すると世界初だという。

DMVの導入後、JR牟岐線の阿波海南駅から海部駅を経て甲浦駅までの区間が「鉄道モード」で走行する区間になる。この区間の所要時間は現在の列車とあまり変わらないとのこと。阿波海南駅と甲浦駅に「鉄道モード」「バスモード」を切り替える「モードチェンジ」が設置され、両駅から路線バスとしても運行される予定となっている。

阿佐海岸鉄道がDMVを導入する背景として、沿線の観光開発と防災対策が挙げられる。沿線人口が減少している現状において、DMVの定期運行を観光の目玉にしたいとの思いがある。また、沿線は太平洋に面しているため、南海トラフ地震による被害が想定されている。DMVは線路と道路の両方を走れることから、どちらか一方が寸断されても問題なく運行できる強みを持つ。













京都鉄道博物館のイベントでは、徳島県マスコットキャラクター「すだちくん」の出発合図により、「すだちの風」をイメージした緑色のDMVが「鉄道モード」で館内に入ってきた。入線シーンを見ると、鉄道車両というより「線路の上を走るマイクロバス」といえる。目標位置に止まった後、「鉄道モード」から「バスモード」へ切り替える実演を実施。前輪と後輪が吸い込まれるように収納され、マイクロバスに変身した。

一方、「バスモード」から「鉄道モード」への切替えでは、前輪と後輪が降りてくることで、前方のタイヤが持ち上げられるような格好になる。双方の切替えは20秒以内で終わり、想像以上にスムーズだった。

DMVはその後、館内から扇形車庫へ「バスモード」で移動。「バスモード」での走行シーンは一般のマイクロバスとなんら変わりはなかった。扇形車庫では蒸気機関車D51形と並び、鉄道技術の進化を感じさせる2両を前に、多くの来場者が興味深そうに見入っていた。













DMVの特別展示にともなう各種イベントは12月22日までの土日に開催予定。DMVのモード切替えの実験と車両解説をはじめ、オリジナルDMVペーパークラフトのプレゼント、オリジナルの記念撮影ボードやこども用のミニDMV(ボール紙仕様)と一緒に記念撮影ができるイベントも行われる。DMVの展示場所に関しては、京都鉄道博物館のホームページに掲載される。