井上尚弥【写真:荒川祐史】

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統一戦を控えるテテ、プロモーターが予告「勝った後、アラムにすぐ電話する」

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム決勝でWBA&IBF王者の井上尚弥(大橋)がWBAスーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ち。WBSS制覇を見事に果たした。試合後、米興行大手トップランク社との契約を発表した。次戦に注目が集まる中、WBO同級王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)と契約する大物プロモーターは井上に“公開挑戦状”を突きつけた上で「イノウエは我々に弱点を晒した」と挑発している。

 WBSS頂上決戦を受け、英地元紙「デイリースター」でコラムを綴ったのは「クイーンズベリープロモーションズ」の総帥、英国人プロモーターのフランク・ウォーレン氏だ。テテらを顧客に抱える同氏は、こう主張している。

「ナオヤ・イノウエはバンタム級で世界最高と信じているかもしれない。しかし、彼は本当に最高になる前にゾラニ・テテを倒さなければいけない。そして、私はイノウエの新たなプロモーター、ボブ・アラムにすぐに電話をすることになる。我がテテがこのファイトの準備ができていると、告げるために」

 17年に世界タイトル戦史上最速記録となる11秒KOで、その名を轟かせたテテ。今大会も参加していたが、準決勝ドネア戦の直前に右肩を故障。急遽棄権し、ドネアが代役のステフォン・ヤング(米国)を倒し、決勝の舞台に勝ち上がってきた。

 ウォーレン氏はWBOのタイトルを失うことなく、最強決定戦から離脱したテテを倒すことが、バンタム最強を名乗る条件と訴えている。30日に英バーミンガムでテテは同級暫定王者のジョン・リエル・カシメロ(フィリピン)との統一戦を戦うことになるが、こちらも自信満々の様子だ。

ドネア戦で死角ありと主張「イノウエが弱点の持ち主であることも我々に示した」

「我々は彼(テテ)こそが世界最強だと知っている。彼がこの試合を乗り切り、WBOタイトルを保持することを完璧に確信している。そして、イノウエ戦を迎えれば、センセーショナルだ」と綴り、カシメロ戦後に井上との3団体統一戦を熱望。テテが出場できなかったWBSS頂上決戦については「年間最優秀ファイト候補」と高く評価する一方、流血したモンスターに死角ありと力説した。

「この対戦で彼は様々な嵐を巻き起こしたが、イノウエが弱点の持ち主であることも我々に示している。テテ以上にその弱点をさらけ出せるファイターはいない」

 2回にドネアのフックを受け、キャリアで初めて右目の上をカットした井上。ドネアの強打に揺らぐシーンもあった。同氏は「37歳になるドネアがイノウエをあそこまで追い詰めることができたのならば、もっとフレッシュなテテは間違いなく彼を倒すことができる。だから、我々はこのファイトを実現することに恐れはない」と主張した。

 37歳の誕生日が迫るレジェンド、ドネアは5階級制覇王者に相応しい強さを見せつけたが、31歳のテテなら井上を必ず仕留めるとウォーレン氏は挑発。「彼がカシメロを仕留めた後は、トップランクのアラムに一番最初に電話するだろう」とし、トップランク総帥のボブ・アラム氏との電話会談を予告した。

 井上はダブル世界戦で弟の拓真を倒したWBC世界王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)との「敵討ち」を熱望しているが、大注目の次戦は11秒KO男との統一戦となるのか。(THE ANSWER編集部)