男性の骨盤底筋の特徴とは
近年、女性の骨盤底に対する認識が高まってきており、女性向け情報誌などにも「骨盤底筋」の特集も見られるようになってきました。
では、男性はどうでしょう?男性に骨盤底筋はないのでしょうか?
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もちろん、男性にも骨盤底筋はあります。
女性医療クリニックLUNAネクストステージの骨盤底リハビリテーションでは女性を対象にしていますが、女性と男性との違いを知るために、先日開催された男性の骨盤底に関する研修会を受講してきました。講師はイギリスから来ていただいたGerard Greene先生で、男性の骨盤底障害のスペシャリストです。
解剖学的な構造の違いから、男性の骨盤底筋は女性の骨盤底筋ほどは弱くなりにくいといわれています。だからといって、問題ないかというとそうではなく、手術による侵襲の影響で骨盤底筋を鍛える必要が出てくる場合もありますし、過剰に骨盤底筋が働くことにより問題が生じることがあります。
男性の部位別がん罹患率第2位は前立腺がんで、今後1位になるだろうと予想されています。治療として前立腺を摘出することがありますが、前立腺全摘除術後は「内尿道括約筋」という通常時は尿が出ないように働き排尿時にリラックスして尿を出す不随意的に働く筋やその筋を支配している神経が損傷することで、尿漏れや勃起障害が生じる可能性があります。
骨盤底筋が過剰に活動すると・・・
一方、骨盤底筋が過剰に活動すると骨盤痛が出現することがあります。骨盤痛は痛みの原因が骨盤底筋の問題ではなく、骨折や脊髄圧迫など他の疾患を有する場合もあるため医師に診てもらうことが必要になります。反対に、整形や神経疾患などが否定されてどこにも問題がないと言われた場合は骨盤底筋の過活動により骨盤痛が生じている可能性があります。骨盤痛とともに頻尿や排尿時痛、直腸の違和感、排便時痛、勃起の弱化などの症状も併発していることもあります。
手術後の尿漏れに対しては骨盤底筋の筋トレ、骨盤痛に対してはリラクゼーションが必要になり、リハビリテーションの対象になります。しかし、前立腺除去手術後の尿漏れに対するアプローチを行っている病院は少しずつ増えてきているようですが、まだまだ男性の骨盤底筋障害という視点では女性以上に少ないのが現状です。世界的な動向としても男性の骨盤底に関する研究は女性の骨盤底の研究より遅れているそうです。
勉強会では、確実に女性の骨盤底だけでなく男性の骨盤底障害に興味を持っている医療従事者がいて増えていることを実感しました。今後の日本での研究や治療が行る環境が整ってくることを期待しています。
女性医療クリニックLUNAネクストステージ
骨盤底リハビリテーション部 理学療法士 笹岡愛加
[文:女性医療クリニックLUNA]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。